母の残した手帳を見たら、謎解きみたいになって、悔やみまくった話 2/3

1/3 の続き。

母は、私が話しかけても、顔をこっちに向けず、テレビを見ていることが多かった。
たまに座いすに寝そべるような姿勢で眠っていて、私はパソコンでネットしてテレビを見ていないので、だったらこれ消そう、とテレビを消すとすぐに気づき、
「聞いてるのよ」
と不満げな表情で起き上がって、またテレビをつけた。

直接、「そういう態度はやめてよ!」とはっきり言ったこともある。

テーブルをはさんで私の前に座っていたので、文字通り、面と向かって、だ。

そんなときはだいたい、私が言ったことをちゃんと聞いているのか聞いていないのかよくわからなくて、結局、話し続けている私が疲れてしまい、話す気がなくなって終了していた。

そんな人だったから、
この人はあまり、自分の子に興味がないんだ、とずっと思っていた。

私の母親はそういう人だから。
親なのに、そんなに親らしくない人だ、って。


けど、2016年のスケジュール帳の後半にある、自由に書けるページを読んで、がくぜんとした。読んだことを後悔した。


5cmになったら手術なので
娘は今、4.5cmなので
あと5ミリ大きくなったらば(中略)

だから親としては
どうか手術をしないで治る様に御祈願申し上げます。



(私のこと、こんなに心配してくれてたんだ)

(ずっと間違っていたんじゃないか)

(なんであんなひどいことを言っちゃったんだろう。

 私はなんてひどいことを)

(……あ、ああ、うわあああああああ!)

気がついたら涙が止まらなくなっていて、一人で泣き続けた。



それは何年も前で。
はっきりとした記憶ではないけれど、
でも、話したことはおぼえている。

足のつけ根の上あたりにみょうな違和感があり、ネットで検索したら産婦人科と出たので、まず、家から近いところにある産婦人科に行った。
医師はかなり高齢と思われるおじいさんで、その人は「リンパ節がはれている」と。

しかしその違和感はなくならず、
あの人、おじいさんだったしなーと
別の産婦人科に行って診てもらうと、別の病気だとわかった。

それを治す薬はない、自然治癒を待つしかない。もし大きくなってしまったら、手術で取るしかないとのこと。

家に帰り、お医者さんに言われたことを家族に伝えた。

ねんがらねんじゅう痛いわけでもないから良かった。

ただ、自分にあるものを取るっていうのは、ちょっとねー……とか、
手術するとなったら、やっぱり全身麻酔だよね、私、局所麻酔だったらやったことあるけど、全身麻酔って怖いなーとか、言ったような記憶が。


ただ、ここでも信仰心出ていて。

 御祈願申し上げます

これ、天心聖教で祈願書を書くとき、文章の最後につけて書くように言われた。
私も昔、家族と宗教施設に行くことになんの疑問も持っていなかった頃、よく書いたし。笑

自分のメモ帳にまで書いてる。提出するわけでもないのに。

あと、ちゃんと母親らしいところがあったんだとわかって、なにかかたまっていたものが溶けたように安心した。


父親 = あまりよくわからない人

話は変わって。
私は母から、父の話を聞くのが好きだ。

ところが、その母がいなくなったため、もう知るすべがない。

両親は別居していて、父は週に1回、母の実家である家に来ていた。

別居したのは、母の体調がすぐれなかったから、と聞いた。

だから私にとって父親という存在は、「あまりよくわからない人」だ。
なにしろ、いっしょにいる時間がすごく少なかったし、父が生きていた当時の私の年齢は幼かったし、当然大人の事情を説明されることもなかった。

母は、体がすごく弱かったので、
自分は妻として、(私から見て父に)あまり尽くせなかった、ちゃんとできなかったと申し訳なさそうに言ったことがあった。

母が父に、「人と比べなくていいんだよ」と言われた、と、以前このnoteに書いた。

ここから先は私なりの推測と想像になる。

母は、自分のせいでほかの夫婦みたいになれなかったことを、何回か父に言ったのではないだろうか?

それに対しての「人と比べなくていいんだよ」だとしたら。

どんな会話があったかはわからないし、これが正しいのかどうかもわからないけど。



適切ではない。笑

父のほうは、母にどんな思いを持っていたのか。
もうちょっと父が長生きしてくれたら、本人から話を聞けたのに。私としてはそのほうがいい。

母は、父が大好きだった。これは断言できる。

おばが、「ときどきケンカしてた」なんて言ってたけど、私は信じないし受け入れない。

ラブラブだったんじゃない?
言い方が、適切ではない気がするけど。笑

だからきっといま、亡くなった人たちのいる世界で久しぶりに会って、夫婦で話す時間ができているんじゃないか、なんて思うのだ。

夫婦のことは、2人にしかわからない。そこは、子どもである私には立ち入れない部分だ。これも、謎と言っていいかもしれない。


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