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SDGsがひらくビジネス新時代、竹下 隆一郎著

今、我々は、「アイデンティティの経済」の時代に突入している、それを数多くの事例を使って教えてくれる。これまでは、商品であれ、サービスであれ、消費者は、それ自体(What)に対価を支払っていた。 例えば、その商品やサービスができる過程(Process)において、その企業は環境や人権に配慮しているのか。そうした観点は、生産者、そして消費者側でも最優先事項とは言えなかった。例え、消費者がそうした意識を持っていても、それは各個人のアイデンティティとして、自分自身だけ、もしくは自分の

    • 2050年 世界人口大減少 ダリル・ブリッカー、ジョン・イビットソン著

      世界は人口爆発によって、食糧不足になり、環境も悪化する。一度は聞いたことのある未来予想である。これまでの世界は、出産率が高い反面、乳幼児などの死亡率も高かった。それが、産業革命後、様々な技術発展のもと、医療や公衆衛生環境の改善で死亡率のみが、劇的低くなった。農業の発展によって、食糧供給も増加するものの、人口の増加は、食糧増加の比ではなく、最終的には食糧の争奪戦になってしまう。 超高齢社会に住む日本人や先進国では、人口は減ってしまうものの、発展途上国では、まさに人口爆発の未来

      • 女性のいない民主主義 、前田健太郎(著)

        日本は、自由で公平な選挙が実施されている民主主義国家である。これに異論を唱える人は、国内外で、決して多くはないはずだ。ただ、本当に、日本は、民主主義国家なのだろうか。その対象は、誰のか。著者は、我々が民主主義を語る場合、それは男性中心の民主主義ではなかったか、と素朴だが、強烈な疑問を投げかける。 公共の利益を目的とする活動である政治は、誰のためにあるのか。政治共同体の構成員による話合いによってなされる政治、その話し合いに女性の意見は反映されているのか。そして、そもそも女性は

        • 人新世の「資本論」斎藤幸平(著)

          マルクスの「宗教はアヘンだ」にかけて、「SDGsはアヘンだ」という挑発的なメッセージから本書は始まる。本の主題も、資本主義を根底から覆す「脱成長」を謳った内容であり、まさに挑発的である。ただし、一見、挑発的である結論も、それに至る豊富な先行研究、先行事例から導き出されたものだけに、非常に説得力がある。 ウォーラ―ステインの世界システム論にも触れつつ、資本主義社会では、富めるもの(グローバル・ノース)の成長の代償を空間的、時間的に「外部に転嫁」してきたことを説明する。つまり、

        SDGsがひらくビジネス新時代、竹下 隆一郎著

        • 2050年 世界人口大減少 ダリル・ブリッカー、ジョン・イビットソン著

        • 女性のいない民主主義 、前田健太郎(著)

        • 人新世の「資本論」斎藤幸平(著)