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281.いじめはね、関係ないではすまされない。子どもの親にも責任があるんだよ。


1.子どもの刑事責任
いじめ加害者に対する責任追及


一 刑事責任の追求
いじめ加害者に対しては「刑事責任」を追求することができます。
暴力を振るわれ傷害を負わされた場合には、傷害罪。また威圧されて金銭を奪い取られた場合には恐喝罪などの刑が成立します。また心理的な攻撃により、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を罹患した場合にも傷害罪が成立する余地があります。
 
二 告訴状の提出
学校におけるいじめについては、警察や捜査機関がすぐに動いてくれません。
そのため、自らが告訴しなければなりません。よく告訴をすると怖い、あとあと復讐されたらどうしよう…、嫌がらせをされたらどうしよう…と、心配する人が多いようですが、告訴しないことで相手を増長させてまう方が怖いものです。告訴は口頭でもできますが,確実に捜査機関に動いてもらうためには告訴状を提出する必要があります。
告訴状には、告訴事実(いじめの事実)を出来る限り時間・場所を特定して細かく書き、さらに告訴事実(いじめの事実)を裏付ける証拠を添付して提出し、捜査機関の捜査が早急に進むように準備しておくことが必要です。証拠のないいじめであっても、告訴内容が事実のものならば証拠資料として役に立つからです。
学校内の問題については、警察もよほどでない限り民事不介入のため立ち入ることに躇し、告訴の受理をされない場合もありますが、捜査機関には告訴の受理義務がありますので(犯罪捜査規範六三条等)、証拠上に告訴事実が明らかである場合は捜査機関に受理するよう交渉することができます。告訴については受理されるまで、あるいは受理されてから捜査を完了するまで相当の期間が必要になります。
また告訴はいじめ被害者本人ができることはもちろんのこと、いじめ被害者の法定代理人(親権者が典型例です)もすることができます。
 
三 民事責任の追求
いじめ加害者に対しては、不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。
ただし、いじめ加害者が未成年者で自己の行為の責任を弁識するに足りる知能(事理弁識能力)を備えていなかったときは賠償の責任を負わないことになります。
事理弁識能力とは、一般的に小学校の低学年程度で備るといわれています。
し かし、未成年だからといって何も責任を負わなくても良いということではありません。
 

2.親と学校の責任


四 いじめ加害者の親権者に対する請求
いじめ加害者の親に対しては、未成年者である加害者の監督義務者として監督義務を怠ったとして、不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。
 
いじめ加害者が未成年者で事理弁識能力を欠く場合には,民法第七一四条に基づき、監督義務者が義務を怠らなかったこと、もしくはその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったことを監督義務者側が立証しない限り、いじめ加害者の親が損害賠償義務を負うことになります。
 
 
しかし現実には、いじめ加害者が事理弁識能力を備えていないということは少なく,このような場合(いじめ加害者が事理弁識能力を備えている場合)にも監督義務者が損害賠償義務を負うかどうかが問題となりますが、これについては最高裁判決により肯定されているところです。
ただし、親がきちんと子どもの面倒をみて、適切な指導を果たしていたとしたら、加害者の親の責任が軽減されてしまいます。そのため、具体的な立証が必要になります。

 これらの立証のためには、
[1]いじめ加害者の非行歴
[2]学校内での態度
[3]被害者から監督義務者に対する申入れの有無
[4]被害者から学校に対する申入れの有無
[5]学校からの指導などの事実を主張し、監督義務者がいじめの事実またはいじめ加害者の他害的傾向を十分に把握していたこと、さらに監督義務者が適切な指導を行えば十分に加害行為を防止することができたことを立証する必要があります。

そもそも監督義務者がいじめ加害者の動静に何ら関心も示さず、放置していたような場合には、その事自体を監督義務者の過失と主張することが可能です。
ですから、親は何も知らなかった、関係ない、子ども同士の責任だ、という考えは、被害者の被害状況によっては通用しないことがわかります。
 
五 学校に対する請求
学校に対しては、不法行為に基づく損害賠償請求と学校が負うべき安全配慮義務に違反したとして債務不履行に基づく損害賠償請求が考えられます。
 
いずれの構成であっても、学校側が負うべき注意義務の内容及びその懈怠が争点となることに変わりありませんが、安全配慮義務違反による請求は、消滅時効の期間が10年ですから(不法行為による請求は3年)、消滅時効の点からは有利といえます。
なお、不法行為に基づく損害賠償請求については、国公立学校については「国家賠償法に基づく請求」となり、私立学校の場合には「民法に基づく請求」となります。
 
ここでの請求も「いじめ加害者の親権者に対する請求」と同様に、学校側の過失(安全配慮義務違反)及び加害行為による損害との因果関係を立証する必要があります。
学校や教育委員会、担当教師等に何度も相談に出向いたのにも拘わらず、何も改善されなかった、というような場合です。
 
これらの立証のためには、
[1]被害者の学校内での態度に不審な点があったこと
[2]いじめ加害者の学校内での態度
[3]いじめ加害者の非行歴
[4]被害者が過去にいじめの被害者になっていたこと(また、その際に学校に対して改善の申入れをしたこと)
[5]被害者から学校に対する申入れの有無などの事実を主張し、学校がいじめの事実を把握していた。または把握すべきであったのに怠ったことを立証する必要があります。
 
担当教師がいじめの事実を把握していない場合であっても、通常の担当教師であれば、いじめの事実を認識し得たという場合であれば、その事自体を義務違反と主張することが可能です。
 
六 担当教師に対する請求
担当教師に対しては「不法行為に基づく損害賠償請求」を請求できます。
ただし、国公立学校においては教師は公務員であり、最高裁判決(最高裁昭和三〇年四月一九日判決)により、学校に対して「国家賠償法に基づく請求」を行っている場合には、公務員個人は被害者に対して損害賠償責任を負わないことになっていますので注意が必要です。
 
七 裁判のための証拠収集
いじめ被害についての訴訟はあくまでも事実の証言、証拠が必要になります。
なぜならば、いじめ自体が秘密裏に行われる行為であり、親権者や学校の責任を追求するためには細かい事実を積み重ねるほかありません。
 
ですから、できるかぎり、
[1]いじめの事実について日時,場所、誰にされたかを特定したメモを作成する
[2]レコーダーでいじめの実態を記録する
[3]いじめ加害者からのメールを保存しておく
[4]ネットいじめにおいてはサイトのページを保存する
[5]学校やいじめ加害者への申入れ・話合いについては書面で申入れし、レコーダーで記録するなど、事実を記録化することを心がける
このように「事実の記録化」は証拠として充分な役割を果たすので、本当に遭ったことの事実を記録することが、重要な証拠書類になります。

みんな、スマホも大切なお守りです。




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一番の被害者は、子どもたちです。それを確認できないお父さんやお母さんたちにも問題があり、子どもたちは何も知らないまま犯罪に手を染めてしまったり、人を傷つけてしまいます。ぜひ、お読みください。

本内容は、全国の都道府県、市町村、学校、NPО団体、中小企業、クリエイター、個人の方々を対象としているものです。また、全国の職員研修での講演先のみなさまにもおすすめしています。
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