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他人と比べるな、自分と比べろ

デスクが一つ、空いたままになっていた。

ちらちらと気になる人を見るみたいに、誰も座っていない席を気にしてばかりいる。

そこに誰が座るんだろう、どんな人が来るんだろう。

隣に誰か自分より優れた人間が座れば、私の席なんてすぐになくなってしまう――。

私の中にある、それこそ強迫観念みたいな。信念めいたもの。

私の代わりなんていくらでもいる、いつだって席替えに耐えられるように、それが当たり前だと思うことで自分を必死に守っている。

見知らぬ幽霊が、まるでそこに座っているみたいだ。

空っぽの席を私は怖がっている。そこには“何もいない”のに。
何も起きてもいないのに。

これは私の思考のクセだ。

私は相変わらず自分で自分のことを「代替品」として扱うことを辞められないでいる。

自分より優秀な人間を見るたび(それが本当に優秀かどうかは関係なく、私が私より優秀であると感じたらそれが全て)

あぁ、私は必要なくなるのかな、と思ってしまう。
自分は常に他人の下位互換だと思っているからだ。

他人を見て自分より上だと思う人間は、自分より下だと思っている人も存在していると私は考えている。

思うに、上や下ではなく、ただただ横並びなんじゃないかと思う。
進む先も、ゴールだって違うのに、どうして勝手に上だとか下だとか考えてしまうのだろう。

比べていいのは過去の自分とだけだ、他人のことなんて正確には分からない、その時点で比較対象にすらなり得ないことを私は分かっていて、理解できていない。

私は「代替品」ではない。
代替品でいることで自分の心を守ろうとするのも、もう終わりにしたい。

良いものが来たら、ポイッと捨てられるようなものなのだと、自分で自分をそう扱うことを辞めたい。

この空いたデスクにどんな優秀な人が来たとしても、私がやることは変わらないはずだ。

自分ができることを、精一杯やること。

それを忘れないで、潰されないで、どうにか生きていたいと思うばかりだ。

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