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ナオコライフ119 図書館にて空は蒼く

2023.5.6図書館にて空は蒼く

4時起床。コーヒー淹れる。なかなか目が覚めないが、昨晩部屋に生けてある草に花が咲いた。裏庭の草だから、日陰でも育ってくれた。小さくて白いささやかな花。こんな何気ない草を求めて、ペットボトルに水を入れて鋏をもって川沿いを歩くこともあった。父といっしょのこともあった。前の家で庭づくりを手伝ってくれていたのは父だから。父はこんなところにも生きている。7時、母が起きてきた。よく寝るから元気なんでしょ、という。わたしと3時間も違う。すぐバテるのはわたしの方。母はパワフルだから。朝ごはんに目玉焼きの日、玉ねぎ炒め、フルグラ、紅茶、イチゴを食べて、片付けるのにさて何を聴こうかと、葉加瀬太郎『エトピリカ』を流し、片付けはじめた。父も大好きで聴き入っていたのを思い出して、皿を洗いながら涙する。涙もろかった父は、感動するとすぐに泣いていた。やわらかい人だった。

町の図書館へきた。返却し、3冊借りる。お気に入りの中庭で、自販で買ったコーヒーでくつろぐ。誰もいなくてひとり占めだ。

頭の後ろからの強い風に吹かれ、借りた本を読んでいる。夜は雨が降るらしい。ここの図書館は冊数は少ないけれど、小説とエッセイでコーナーが分かれているのが見やすくてよい。それにしても空は蒼く、光と影がくっきりとしている。長居していたら、わたしの席もすっかり日向になった。

帰宅し、母が美容院から帰宅するのを待ってから、かた焼きそばをつくる。いつもと同じはずなのに、二人ともお腹いっぱいになる。部屋で横になってごろごろしていたら、気持ちが起き上がれなくなってきたからカフェにいこうとなる。

カフェで深煎りコーヒーをいただく。曇ってきたので、庭に光が足りなくて残念。ピンクはむずかしい色だけど、ピンクのバラはありのまま美しく感じる。すぐ隣で年配の女性が二人で静かに話している様子が素敵で、いつかこんなふうに歳を重ねていけたら、とおもう。ふとやさしい気持ちになった。そのお二人が帰ったあと、その方がお店に自宅のバラをおみやげにもってきていたのを、ナオコさん3本おすそわけ、と分けてくれた。オールドローズなのだった。母もわたしも楽しめるように、台所に生けた。



2023.5.7大雨の日

2時起床。昨日少しテンション上がったのか、早くに目覚める。台所でうとうとする。4時、すでに雨風強し。紅茶を淹れる。5時から6時まで寝る。緑茶を淹れる。ゆったり過ごす朝。高木正勝を聴く。昨日いただいたオールドローズを撮影する。

朝ごはんの支度にとりかかろうとしたとき、母がお茶碗を落として割ってしまった。父と母のお茶碗を。いっしょに買いにいった思い出のお茶碗なだけに、ショックが大きい。二人で片付ける。形あるものいつかは壊れる。静かに朝ごはんを食べる。片付けなどして、コーヒー淹れて部屋へあがる。また雨が降ってきた。読書してるうちに寝てしまったり、のくり返しで、頭がぼんやりしている。雨がひどくなっている。

昼ごはんに焼きうどんを作る。うどんばかり食べている。味薄くない?ちょうどいいわよ、と話す。今日は部屋中が暗い日。コーヒー淹れて、部屋で飲む。しばらく閉め切って読書してたら、息苦しくなってきて窓を開けた。

牧野伊三夫『アトリエ雑記』を読み終わる。画家の日々、そして酒。素朴で何気ない人とのやりとりや、居酒屋風景、自作の料理についてなど。呑んではいけない身のわたしには読んでいてむずむずする本だった。牧野伊三夫を知ったのは、ある台所特集の雑誌にご夫妻で自宅台所風景が掲載されていたから。毎晩、七輪を挟んでご夫妻向かい合い、食パン、めざしなどを焼いたり、鍋を炭の柔らかい火で煮るのだった。ぐい呑み片手に酒を呑んでいる様が堂に入っている。こんな時間が絵を描く心に染みているのかもしれない。なんとも味のある絵と文章だった。

部屋に生けた草から次々に花が咲いている。雨は相変わらずで、心静かになる。紅茶を飲む。ジャズを聴く。

午後5時前より台所に立つ。鶏もも肉人参玉ねぎの和風煮、キュウリスティック、冷奴。




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