〈ひとりごと日記〉 ‘寝空’の日
「今日は寝空だね。」
我が母は、なんとも言えない天気の日によくそう言った。空一面 雲に覆われてるけど、変に明るくて、雲の上にある太陽を感じさせる日。
そんな天気の日に母は「寝空」と言う。
小さい頃から聞いていた私は、お天気ニュースでも言われてるもんだと思い込んでいた。
地元を離れて、友達か誰かに言った。
「今日は寝空だね〜」
「なにそれ」と言われた。
え、寝空だよ???
そこで初めて寝空は母語だと知った。検索しても“空寝”は出てくるが“寝空”は出てこない。
方言ならまだしも、母語は通用しない。母よ、さすがにそれは言っといてくれ。
しかしこの「寝空」、実は使い勝手がいい。
どんよりした天気の日はなんだか眠たくなる。やる気もないし、心なしか体も重くなる。
そんな時「今日は寝空だから仕方ないよな〜」と言い聞かせ、自分に優しくできた。
逆に寝てしまった日も「今日は寝空だからそりゃ寝ちゃうよね」と優しく(言い訳)できた。
寝空なんだから 起きただけでも偉い!と自分を褒める言葉として使うにはいいのかもしれない。我が母に変な感謝をする。
やる気が出ない、眠たい、もう帰りたい。心も暗くなりそうなどんより天気の日は、寝空だから仕方ない…ということにしよう。
おわり
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