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小笠原伯爵邸で食べて見て刀剣男士に想いを馳せる

少し前の記念日に、念願だった小笠原伯爵邸で夫婦2人でランチをしてきました。
どうして小笠原伯爵邸に行きたかったのかと言えば、おいしいスペイン料理が食べられるからというのともうひとつ、刀剣男士とゆかりがあるからです。

現在はレストランですが、名前の通り、小笠原伯爵が住んでいたスパニッシュ様式のお屋敷です。
東京都選定歴史的建造物に指定されている建物で、竣工は1927年(昭和2年)と、約100年前。
東京大空襲を免れたということですね。
しかしその後は米軍に接収されたり東京都の施設になったり、いろいろ波瀾万丈のお屋敷です。
2000年代初頭まで廃墟で傷みも酷かったようで、邸宅内に当時のものが残っているのはわずか。
しかし行かねばならない、それが刀剣男士にゆかりのある地であるというのならば。

※今回は長めの投稿なので目次つけました。興味のあるところから読んでください。


【建物のこと】

入り口を探していた私たちは脇道の工事現場の人に「伯爵邸に行くんですか?」と、現代ではおよそ聞くはずのないフレーズを言われ、昭和初期にタイムスリップしたような気分になりました。
あの一瞬の出来事は異世界への入り口に立ったのに似た体験でした。

実際の入り口は若松河田駅の地下鉄出入り口を左に行けばすぐでした。
駅のある場所そのものが小笠原伯爵が持っていた敷地の一部だというのは、肌感覚ですぐに理解できるような立地です。

予約時に邸宅の案内をお願いしておいたので、食事後に店員さんからレクチャーしていただきました。
案内してくれたのは食事中もずっと担当していただいた方で、こちらの店員さんは覚えることが多くて大変そうで、恐縮の極みでした。

ラウンジ
シガールーム

シガールームはテレビや雑誌の撮影でよく使われる場所。
建築当時のままの部分が多くて、スパニッシュ様式の建物の中にありながらもアラビアンな雰囲気のあるお部屋です。

当時のままのステンドグラス

ラウンジ内の窓のひとつには1927年竣工当時のステンドグラスが残されています。
廃墟だったことを思えば、よくぞご無事で、としか言いようがありません。
インテリアなどは当時の写真を元に新たに収集されたものです。
お店側の小笠原邸を再現しようという意気込みが感じられます。

庭園側から見た邸宅
屋上からシンボルツリーのオリーブの木を見下ろす
ちょうどオリーブの実がなっていました

庭園ではガーデンパーティーができるようになっていて、結婚式を挙げることができるようです。
屋外なのにオーブンとかもあって、賑やかなパーティーの様子が目に浮かびます。
華やかなんだろうなぁ。

小笠原長幹氏製作の彫刻

スパニッシュ様式ということもあって、パティオもあります。
こちらの彫刻は竣工当時の小笠原家当主、長幹氏によるものというから驚きです。
しかし言われないと分からないような、控えめな佇まいをしていました。

建物だけでも見所がたくさんで、こちらに来た際は建物見学することを強くオススメします。
昭和初頭当時のモダンがそこにありました。

【食事のこと】

建物がスパニッシュ様式ということもあって、料理はスペイン料理です。
今回は記念日なので大奮発しました。
おそらくこの後の人生に2度と注文できないんじゃないかっていう金額がランチで飛びました。

年齢的なこともあって、夫婦2人とも少食です。
画像を見て「少ない!」と思われるかもしれませんが、予約時にお願いした通りの少なめな量なのであしからず。

Gran Condeメニュー

少食なら品数少ないのにしたら良いのでは、という案もあったんですけど、いろんなものを食べたいという欲求が強い夫婦なので、Gran Condeにした上で一皿ごとの量を少なめにしてもらいました。
厨房の皆さん、ありがとうございました。

しかしタパスの後に立派な生ハム原木を持ってこられたので、我慢できずに注文。
少なめにお皿に盛っていただきました。
原木というと動物っぽさがありませんが、豚の足や蹄がついたままなので間違いなく動物です。
おいしくいただくことがこの豚へのせめてもの供養。
カットしたばかりの生ハムはとろける脂身が最高でした。

ハモン・イベリコべジョータの生ハムカッティング

全部で8皿のコースだったんですが、全て大満足のお食事でした。
美味しいのは当たり前として、バランスの取れた味付けや普段目にしないような食材や調理法など、まさにエンターテインメントな料理な数々です。
一皿でいろいろな食感が楽しめるのもまた良い。
口にした時に味覚も嗅覚も視覚も、一度も嫌な思いをしませんでした。

平貝 季節の野菜 緑のガスパチョ
特選牛フィレ肉 アンディーブのキャラメリゼ オロロソ・トリュフソース

肉料理に使われたオロロソ・トリュフソースがとてもフルーティで感動したんです。
店員さんによると、シェリーを煮詰めて作られたソースということで、納得の味わいでした。
このソースをつけたお肉、お腹がもういっぱいになりつつあるにも関わらずもっと食べたくなりました。

私たちが食事をした個室は他のお客さんたちがいるホールから離れていたたこともあって、とても静かでした。
もっとも、平日だったこともあってそもそもお客さんが少なかったのですが。
窓の向こうにはパティオがあるのですが、中を覗かれることがないようにしているのか、外壁には木が這わされていて、適度にプライベートは保たれました。
おかげでパティオを見学している人の目を気にすることもなく、ゆったりとした時間を過ごすことができました。
それと、誰かに遠慮することなく食事を撮影できたのも良かった。
こんな感じで豊前江を撮影したりして。

【ゆかりの刀剣男士】

刀剣男士に関わりのある小笠原家は越前勝山藩と豊前小倉藩とあるのですが、小笠原伯爵邸に関連するのは豊前小倉藩主だった方の小笠原家になります。
もう一方の越前勝山藩主の小笠原家には鶯丸が伝来していました。
なので、これ以降「小笠原家」と書いてあるのは、豊前小倉藩主だった方と捉えてください。

1927年に小笠原伯爵邸ができた頃に小笠原家が所有していた刀剣の中で、今日現在刀剣乱舞に関わりのある刀剣は「豊前江」「博多藤四郎」「秋田藤四郎」「不動行光」の4振。
いずれも確実にこの年から小笠原家にあったと言える史料はないようなのですが、竣工時の当主、長幹氏が所有していたのは間違いがないようです。

1947年の華族令廃止に前後して4振とも小笠原家から離れてます。
豊前江は時折所蔵先が判明しているものの、現在は行方知れずで文化庁が情報提供求めてます。
速くて来歴追えないんですよ、豊前は。

他の3振は現存していて、博多藤四郎は一時所在不明だったけど現在は文化庁所有のトーハク保管、秋田藤四郎は京博所蔵、不動行光は個人が所有しています。

つまり、この建物で彼らが時を過ごしたことは間違い無いのではと思うのです。
そうなるとまさしく「ご実家」と言えるのではないでしょうか。

あと、これはくだらない妄想ですけど、細川のお屋敷まで徒歩30分程度なので、細川護立さんともし親交あったらお互いの所有している刀剣とか見せ合ってたりしてたら良いなぁなんて思ったりしました。
歌仙兼定や古今伝授の太刀とかと邂逅してたら良いなぁ、なんて。
夢と妄想が広がります。

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