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「日本刀の華 備前刀」

ゴールデンウィークだし、曜変天目の展示もやってることだし、ということで二子玉川まで足を伸ばして「日本刀の華 備前刀」を見に行ってきました。
刀剣の展示もあるので、曜変天目と合わせて一石二鳥です。

BRUTUSで特集されたりしているので、最近何かと目にする機会の多い曜変天目。
刀剣乱舞が好きな人的には、アニメの「続 刀剣乱舞花丸」で一期一振が歌仙兼定のお茶会に参加した時に使っていた茶碗が曜変天目でした。
国宝でお茶飲むなというツッコミどころですが、アニメだから深く考えてはダメです。
だいたい一期一振自体がかつて豊臣秀吉が使っていて現在は天皇御物となってる刀剣の付喪神だ。


今回の備前刀の展示については、刀剣乱舞とは関係ありません。
ですが刀剣男士と同じ刀の流派の刀剣がたくさんあるし、いつかゲームにもこの中のどれかがキャラクターとして実装されるかもしれないじゃないですか。
くわえて音声ガイドは鳥海浩輔さん。
刀剣乱舞では三日月宗近役やってます。
三日月宗近は備前刀ではなく京都の三条宗近作なので、岡山である備前とは刀剣乱舞的には関係ありません。
けど、鳥海さんが刀剣のことを語るというだけで、やっぱりおいしく感じてしまうオタク心なのです。

展示自体は古備前から始まり、一文字、長船などの備前刀の流派別に展示されていて、これがまた分かりやすい。
さらに刀剣一振りごとに、見どころが書いてあるボードも一緒に展示されている。
ありがとう、静嘉堂文庫美術館の学芸員さん。とても分かりやすいです。
素人目には刀剣の違いなんて分かりはしない。
どれも切れ味良さそうだし、持ち手のところには何かしら穴があるとか、そのくらいしか分からない。
けど刀剣鑑賞に慣れない人にも分かりやすいようになっているのにとても感心しました。
展示されている刀剣は約30振り。その一振り一振りを鑑賞しやすくしてくれた学芸員さんに感謝です。

備前の代表的な刀派、長船といえば燭台切光忠の刀工、光忠が祖と言われています。
燭台切さんも言っています。「長船の祖、光忠が一振り──参る!」と。
その光忠が作刀した『太刀 銘 備前国長船光忠』も出品されています。
この作品は通常は宮内庁三の丸に所蔵されている刀剣ですが、元々は静嘉堂創設の岩崎家が昭和天皇に献上したもの。
燭台切さんの兄弟刀とも言える刀剣が、譲位と即位のこの時期に展示されているというのも、とても感慨深いものがあるのです。

ゲームには実装されていなくとも、同じ流派の刀剣が揃っていると、やっぱりいろいろ妄想してしまうわけです。
小龍景光の刀工、長船景光作の短刀が多く現存しているということなので、一期一振のように弟がたくさんいるかもしれないと思ってみたり、相州長光は古備前長光を尊敬していたようなので、相州長光作の大倶利伽羅は鶯丸や大包平にあまり強く出られないかもしれない、など。
そんなことをいろいろ考えながら刀剣鑑賞をしてきました。

我ながら鑑賞目的が不純ですね。


曜変天目は刀剣とは違うスペースで展示されています。
曜変天目の美しい柄を見るには、自然光が最適ということでしょう。
大きな窓ガラスのあるスペースに、360度くまなく見れるように透明ケースに入れられて展示されていました。
私が行った日は曇りだったので、晴れの日だとまた違う表情を見せてくれるかもしれません。
それでも濃紺の宇宙の中にただよう星雲のような茶碗の柄は美しかったです。
どうしたらあんな色がでるんだろう。
世界で3碗しかないとても貴重な茶碗のひとつ。
人混みがもうちょっと少なかったらじっくり見てみたい茶碗でした。

曜変天目も刀剣もそうですが、光の反射を使って鑑賞する美術品なんですね。
曜変天目は光によって見え方の変わる銀河のような柄を、刀剣は刃文や沸などを鑑賞します。
そのため、どれを鑑賞するにも腰を屈めてみたり上から覗いたりしていました。
美術鑑賞には筋肉が必要ということが、とても分かりやすい美術展でした。


静嘉堂文庫美術館は住宅街にもかかわらず、ちょっとした森の中にあります。坂を登ったり下ったりします。

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美術鑑賞後には散策をするのも良いと思うので、スニーカーで行くのがオススメです。
岩崎家の財力を目の当たりにする敷地の広さで、ちょっとしたハイキング気分が味わえます。
美術鑑賞と庭園散策で、かなりヒーリング効果高い美術館ですね。


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