誰かとわたしの心の中の光になる。
以前、多くの方が訪れる職場で働いていた。
ちょっとやんちゃなお兄さんから、
電動車いすで颯爽と現れるおばあちゃんまで、
老若男女問わず本当にいろいろな方々と出会い、
朝から晩まで「誰かの人生」を垣間見せて
もらえる貴重な時間だった。
来られる方の中には、困りごとや不安を
抱えている方も多かった。
わたしには何の肩書もないけれど、
せっかく来て下さったのだから、
少しでも「来てみてよかった」と感じ、
心が軽くなって帰ってもらいたい。
そう思っていた。
ひとりひとりのお話を聞かせて頂く中で、
(なぜ、この制度を知らないのだろう)
(この前に来られた方は、知っていたのに)
と思うことがあった。
どうやら対応した人や場所によって、
得られる情報にバラつきがあるらしい。
「もうええねん、聞いてもどうせ分からんし」
と最初から諦めている方もおられた。
いつも心に残っている言葉があった。
「勇気を出して相談に行ったけれど
対応に傷ついて、それからは助けを
求めることをやめてしまった」
あるテレビ番組で聞いた言葉だった。
人間は小さなことで深く傷つき、
小さなことが生きる力にもなる。
それはきっと誰にでもどんな場所でも
起こり得る。
わたしも何度も経験しているし、
この先きっとまたどこかで出合うだろう。
ある日、職場に追い詰められた表情をした
若い女性がやって来られた。
その方が求めていた情報はうちにはなく、
わたしは何もできなかった。
専門知識も肩書も特別なスキルもない。
でも、ただひとつ出来たことがある。
「世の中にはたくさんの制度や機関があり、
そこで働くたくさんの人がいる。
どこかにきっとお姉さんの力に
なってくれる人がいる。
SOSを出すことをやめてしまわないで」
そう伝えると女性は一瞬、
面食らったような目をしたあと、
「ありがとう、諦めずにやってみる」
と、自分を鼓舞するように笑顔を見せてくれた。
1度でも心に残る出会いがあれば、
また頑張ろうと思える力になると信じている。
あのお姉さんとの出会いが今もわたしの
記憶に鮮明に残っている。
それがキャリアコンサルタントを目指す
きっかけのひとつになった。
キャリアコンサルタントは目の前の方の
話に耳を傾け、適切な情報を提供する為に
日々自己研鑽を積んでいく必要がある。
誰かの心の中の小さな光になる。
わたしの中にも小さな光を与えてもらえる。
そんな出会いを重ねられる未来のために、
今日を繋いでいく。
サポートして頂いた場合はキャリアコンサルタントの自己研鑽費用に使わせていただきます。これからも、いろいろな知識や経験を増やしていきたいです。