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危機に直面した日本人大学生による5kg減量バルト諸国学生柔道大会での学び

2024年5月17日にリトアニアの
カウナスで開催された
バルト諸国学生柔道選手権
(正式名称はSell student games 2024)
-60kg級に出場してリトアニア選手として
優勝した。

高校以来13年ぶりに5kgの減量に加えて
大会1週間前の練習で右肩を畳に強打して
肩を回すだけで激痛が走る状態で
我ながらよく4試合も踏ん張ったと思う。
追記:
試合後の病院受診にて鎖骨脱臼と判明。

一方で、試合の結果ではなく
試合までのプロセス・出場の危機に接した際の
マインドセットについて
今後のキャリアや生き方に対しても役立つ
エッセンスが詰まっていたと感じた。

今回は、おそらく史上初?日本人大学院が
バルト諸国学生柔道選手権に挑戦したプロセスや気付きを残したい。

今までの柔道歴

まず、私は、競技者としては千葉県習志野にて
中学高校の6年間+大学時代お遊びレベルで1年間
柔道に合計7年打ち込んでいた。

高校時代は、本当に厳しい環境の中で
今では完全にアウトなアレコレも経験した。

3年間を集約すると「生き抜いた」
という表現が相応しい。

柔道の成績としては、千葉県大会で個人でベスト8
団体でギリギリレギュラーとして3位&関東大会出場。

個人では、大した成績も残せなかったが、
一生懸命に1つの事に取り組んだ。

高校時代の影響から
コツコツ粘り強く目標に向かって取り組むことを
身に付けたと感じている。

大学時代は、体育会の柔道部に所属していたが
週2回の練習だけ&掛け持ちで国際NGOサークルに所属していた。

大学1年の夏休みに大学の夏合宿を欠席して
インドで家を建てるボランティアに行った事で
どっぷり海外・ボランティアにハマった。

体育会の合宿を拒否してインド渡航が許される環境に柔道部のゆるさを垣間見ることができる。

この環境のゆるさと柔道熱が皆無になり、海外への好奇心から1年の終わりに柔道部を退部した。

大学卒業までは年に数回
高校柔道部の練習に参加したが
定期的な柔道への取り組みには
19歳で終止符を打った。

それから10年の月日が流れ、リトアニア留学中に
ひょんなことから柔道を再開して
今回の大会2カ月前までは週に1-2回在住先の
Vilunisで柔道の練習に参加していた。

この練習場は、世界カデ3位やシニア、ジュニアのリトアニア上位者が参加している比較的レベルの高い環境で、毎回練習終わりに疲労困憊になっている。

バルト諸国学生選手権(SELL GAME)の歴史


次に今回出場したユニークな大会について

SELL GAMESは、大学生や専門学校生が参加できるマルチスポーツイベントだ。

大会名のSELLは、バルト海沿岸の開催国の
頭文字にちなんでいる。

フィンランド語:Suomi、エストニア語:Eesti、
ラトビア語:Latvija、リトアニア語:Lietuva

個人的に大変興味深かったのは、出場選手の国籍は全く関係なく、該当国の教育機関の正規学生で
あれば、だれでもエントリー可能ということだ。

実質、全柔道参加者男女合計85名のうち3名
(ラトビア2名、エストニア1名)を除き
ほとんどがリトアニアの選手だったが
列記とした国際オープントーナメントだ。

留学開始8か月、30カ国海外に行った中でも
リトアニアは私の大好きな国の1つになった。

日本国籍の私が一リトアニアの参加者として
国際オープン大会に出場できるのは、
なんだか嬉しく・誇らしい気持ちになった。

自分の名前の隣に出身国 Lithuania!


と同時に100年の歴史を持つSell game にて
日本人が出場して金メダルを取ったことは
史上初ではないかと信じている。

そもそも大会の該当国は日本人にとって
留学メジャー国ではないし
留学経験の日本の知人、友人で柔道経験者には
ほとんど出会ったことがない為、
高確率で間違っていない気がする。

出場を決めた4つの理由

このSell games の出場は、明確な理由、目的意識を持って参加を決めた。

理由は主に4つ。

1つ目は、自分のアイデンティティ・ルーツの根源である「柔道」を改めて振り返りたかった。

最近受講したキャリアコーチングを通じて
柔道に取り組んだことが自分のルーツの一部になっていることを再認識した。

困難なことにぶつかっていくことも、
時々気持ちが弱くなり、へこたれる繊細さも
そして柔道での完全アウトな経験が
人道、人権分野への関心に繋がっていることに
気付けた。

黒帯を結び、柔道着に袖を通して
真剣に相手と対峙することで、
過去の経験を鮮明に思い出す良きツールになっている。

ターゲットとなる大会に向けて真剣に取り組むことでさらに鮮明に血と汗のほろ苦い経験を
思い出すことが出来た。

2つ目は、自身のブランディング作り。

リトアニアに留学する日本人が少ない中で
さらに日本人がバルト諸国学生大会に出場するのは
留学の話題作り、ブランディング戦略に最適。

実際に外交関連の教授からは出場前の授業で
「リトアニア選手として日本人がこの試合に出る事自体がパブリック・ディプロマシー(文化交流を通じて、民間とも連携しながら、外国の国民や世論に直接働きかける外交活動) だね!」
と興奮気味におっしゃっていた。

教授にとっても大変珍しい事例だったと思う。

もはや、この出場自体が日本とバルト諸国の架け橋となる外交活動であると言っても過言ではない。

3つ目は、昨年10月に参加した
リトアニアサンボ学生の敗戦が
予想以上に悔しかったから!!

ちゃんと準備(身体作り、練習)をした状態で
もう一回チャレンジしたいと思ったこと。

この件の詳細はこちら。
本当に悔して、試合前日にこのNoteを読み返して
吹っ切れた。

ちなみにこの時負けた相手は今年のリトアニアシニア柔道選手権の60kg級チャンピョンだった。汗

そして4つ目
優勝すれば最後半年間の秋の授業料約40万円が
5割~9割減額となること!!!

減額範囲は、大学側との交渉になるが
Vilnius 大学の全競技の参加者で金メダル獲得者は私含めて13名

9割減額に向けて学部長、副学部長への根回し済み。

学部長は修士論文の指導教官で
大変気に入られている。

9割減額になることを信じたい。

5kgの減量

このような経緯から参加を決めたが
出場するためには、減量のハードルをクリアする
必要があった。

柔道は体重ごとに7階級のカテゴリーがある。
私は減量前の体重は65.3kgで5kg以上の減量が必要だった。

減量する理由は、シンプルで1つ上の66kg級より
60kg級の方が競技者のレベルが落ちるからだ。

そもそもバルト諸国において柔道は全く人気がなく
日本に比べたら雲泥の差がある。

授業料減額の為には、
60kgの方が優勝確率が上がると考え
見事に的中。

66kgの参加者は長年の柔道経験者が何人かいたが
60kgは素人レベルだった為
肩が激痛の状態でも4試合オール1本勝ちで
優勝できた。

といっても5kgの減量は
そんなに簡単なものではない。

ただ体重を落とせばよいのではなく
筋肉を維持して、脂肪だけを絞って
試合で動ける体を作らなければならない。

13年ぶりに減量した結果として
案外苦しくなく、コンスタントに落とせた。

下記グラフの通り
毎日朝晩に5週間体重を図り、6kgの減量に成功した。

日々の体重をアプリで毎日記入

もともと大学時代は3年間
スポーツインストラクターのバイトをして
トレーニングに関する知識をある程度持っていた。

加えて、Youtubeでアスリートの減量知識をインプットし、健康的な食事と運動量を
調整していった。

具体的には、
:体重を毎日図り
:タバタ式式高強度トレーニング
 or 長時間有酸素 or 柔道
:食事面のケア
(間食含めて3-4食/低脂肪高タンパクの食事)
で5週間というロングスパンで
6kgの除脂肪を行った。

もしダイエットに関心のある人は
日体大教授&元柔道全日本男子チーム体力強化部門長のバズーカ岡田先生のYoutubeがおススメ


ピンチに直面した時の大事なマインドセット

体重が順調に落ちて動ける体が出来始めた1週間前
柔道の練習で右肩を畳に強打した。

服を着る行為だけで肩に激痛が走る状態で
出場を諦めることを考えていた。

2週間前には首の捻挫、そのあと体調不良が続き
今日は絶対怪我しないと思って参加した練習で
今度は肩の怪我。

怪我して数日間は家でアイシングしながら
不貞腐れていた。

そんなとき、ふと高校時代を思い出した。
高3最後の大会前にも立て続けに怪我をして
気持ちが折れて、似たような状況だった。

この回想から、困難にぶつかった時こそ
心の持ち方が大事なんではないか
と考えた。

ピンチはチャンスではなく、
正真正銘のピンチだと思う。

柔道の試合で言えば、怪我のリスクが高い柔道で
肩が激痛の状態(ピンチ)は、チャンスになりはしない。

この過去の内省から
危機(ピンチ)に直面した時こそ
最後の最後1%までやれることに
最善を尽く・考え抜ける
かが
人としての本質が滲み出るのではないかと考えた。

だからこそ、諦め悪く
余計な事を考えずに、
:肩に負担をかけずに運動量を増やし、減量
:市販薬のゲルと多少のリハビリ
:肩に負担が少ない試合内容を考える
(実際は毎試合激痛だったが)
:当日ガチガチに巻く肩のテーピングを勉強

等でやれることをとりあえず全部やった。

留学中の柔道チャレンジ総括。


総括すると、挑戦してよかったと心から思う。

授業料の減額がトライしようと思った主要理由だったが、「もうダメだ」と思う危機に接した時の
マインドセットはこれから
キャリア、プライベートでも
直面する可能性が大いにある。

危機の時こそ、最後の最後1%まで
やれる事を全部やってやる精神を大事にしていきたい。


おまけ写真

クラスメイト(リトアニア、ウズベキスタン、ウクライナ)が駆け付けてくれたのが本当に嬉しかった😁

SELL GAME 2024公式HP


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