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幸せになってくれ、副業おじさん

「文学フリマで本を出すぞ!」と決めてから、本を読む時間が増えた。たぶん参考になる本を無意識に探しているんだと思う。今日はマクドナルドに2時間ほど滞在して、読書した。

読んだのは
若月澪子さんの『副業おじさん』という本だ。

副業おじさん

内容はタイトル通り。いい年した「おじさん」たちが副業探しに迷走する様子をまとめた一冊だ。登場するおじさんは、概ね救いようがなく、本全体からほの暗い未来を連想せずにはいられない。

アンケートモニター、フードデリバリー、せどり、ポスティング……、おじさんたちは、本業の傍ら足りない収入を補てんするために副業を探す。

中にはYouTuberを夢みたり、国家資格を取ろうと勉強したり、起業して一発逆転を狙ったり…夢見がちな行動をとるおじさんもいた。

プライドが副業の邪魔をする

気持ちはわかる。できれば自分の才能や頭脳や、隠れた素質を活かしてお金を手にしたいよね。誰だって、汗をかいたり、キタナイ仕事は避けたいはずだ。でも、そんな風に仕事を選んで生きていけるのは一握りなんだよな。頭ではわかっているはずなのに「もしかしたら」という希望を捨てられない。

そして詐欺に巻き込まれたり、初期投資で損をしてしまったり、シビアな現実に殴られる事になる。

登場するおじさんたちの未来を想像すると、なんだか悲しくなった。肉体の衰えと、社会的な疎外と、捨てられないプライド。彼らに明るい未来はやってくるのだろうか…どうか幸せになってほしい。

正直なところ、私も大学生の頃、Webライターやブロガー、アフィリエイターやYouTuber、音声配信者、ナレーター等々に挑戦したことがあり、おじさんたちが通る道を経験している。

パソコンやマイク、防音室に何万もお金を注ぎ込んで「後で回収するから」「これは必要経費だから」と自分を納得させていたのは、そんなに昔の話でもない。

「稼げない」とわかって辞めたはずなのに、恥ずかしながら、私の中にもまだ夢を見ていたい気持ちは残っている。自分を特別だと思いたい気持ちは、何歳になっても捨てられないものなのかもしれない。

副業成功の鍵は、複業?

多少上手くいってるなと感じる人たちは「まぁ、自分はこの程度よ」と良い意味で諦めて、現状に満足しているように見えた。

コンビニ定員や警備員、塾講師、皿洗い、清掃員など、副業(…というよりは複業と言ったほうがいいかもしれない)で時間を切り売りしてアルバイト代をもらい、できるだけ長く稼ぎ続けていこうとしている人の方が、満足度が高い印象を受けた。

本業がデスクワークなら、副業では外でカラダを動かす仕事を。本業で自己実現できないなら、副業では多少時給は安くてもやり甲斐のある仕事を…というように、本業の気分転換を副業で果たすような働き方が、金銭的・精神的に安定するように思えた。

問題は、肉体を酷使しないといけないところ。
おじさんたちは、終業後や休日に副業へと出かけていた。すごい体力、そしてすごい精神力だと思う。私が50代、60代のおばさんになったら、同じように動けるだろうか。無理な気がする…。

諦めきれない私たち

諦めた方が、人生いろいろ上手くいきそうと思いつつも「それはおじさんの戦略でしょう」と思う自分もいる。諦めという名の達観にたどり着くまでには、あらゆる失敗の積み重ねが必要なわけで…。

私は今「本を書きたい」から、これはもう書くしかない。いくら自分が、理想の高い/現実を直視できない/かわいそうな/イタイ大人だとわかっていても、いったんは挑戦しないといけない。そういうものなのだ。まだ自分を諦められるほど、私は老いていないのだから。

#ノンフィクションが好き
2024/04/19_10

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