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子供の頃のクリスマスの思い出

あれは確か5歳ころだったか。少なくとも小学校に上がる前の話だったと思います。

クリスマスイブの夜、翌朝届いているであろうプレゼントが待ち遠しくてものすごく早い時間に眠りにつきました。

子供とはいえいつもより早く眠れば当然夜中に目が覚めてしまうわけで、まだ真っ暗で家族が全員寝静まっている時間に目が覚めてしまったのです。

枕元を見てもまだプレゼントは届いていない、そんな状況で早く寝ないとという気持ちばかりがせって余計に目が冴えてしまいます。

そんなこんなでしばらく眠ろうと格闘していた時、遠くでシャンシャンとなる鈴の音を聞きました。

バッと布団から跳ね起き、窓に駆け寄ります。

耳を澄ますと確かに聞こえる鈴の音。
あ、近くまでサンタさんがきてる。そう思ったのを覚えています。

一緒の部屋の2段ベッドで寝ていた兄が目を覚ましてどうしたのと聞いてきます。

サンタさんが近くまで来たよ! 鈴の音がするから!
と、私はすっかり興奮して兄に説明します。
兄も「えー?」と半笑いでベッドから起きて、私の横に立って窓の外を眺めました。

外はすっかり雪が降り積もっていて、お向かいさんのイルミネーションが綺麗でした。

しばらく耳を澄ませた兄は
「ああこれは…」と何か言いかけてから
「サンタさんが到着する前に寝ようか。姿を見ちゃうとプレゼントは貰えないんだよ」
と私をベッドに戻してくれます。

2段ベッドの上で「プレゼントはいらないから絶対にサンタさんを見るんだ、絶対来るまで眠らないぞ」と決意しましたが、いつの間にか遠く夢の彼方。
目が覚めたのはいつもの起床時間でした。

枕元には大きなラッピングされた箱が届いており、サンタさんに会えなかった残念さとプレゼントがもらえた嬉しさがまじって、なんだかしんみりしたような記憶があります。


雪国で育った方はもしかしたら同意してくださるかもしれませんが、実は静かな時間に雪が積もり降ると実際に「シンシン」と音がなっているように聞こえることがあります。
兄はきっとそのことを知っており、これは雪が降る時に聞こえる音だと気づいたのでしょう。

私がそのことを知ったのはもうしばらく後になってから。
その頃に私の中のクリスマスは「特別で素敵な日」から「おもちゃやゲームをもらえる日」になりました。

でもあれは本当にサンタさんの音だったんじゃないかって、今でもたまに思い返します。

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