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『銀河鉄道の父』の映画感想まとめ

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『銀河鉄道の父』についてのすてきな映画感想をまとめるマガジンです。
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2023年6月の記事一覧

母娘で『銀河鉄道の父』と書道アート部

門井慶喜さんの小説が好きで、時々読んでいます。 『銀河鉄道の父』を読んだとき、お父さんが主役の伝記(歴史)小説って 面白い! 『銀河鉄道の父』ありがとう! 「宮沢賢治のお父さん、ありがとう」と思いました。 宮沢賢治のお父さんがいなければ、宮沢賢治にも宮沢賢治の作品にも私たちは出会えなかった。 だって 父過ぎる父 銀河鉄道の父 「父過ぎる父」の意味は映画『銀河鉄道の父』を観てね。 私は小説派で、すでに読んだ本が映画化されても大概観ようと思いません。 でも今回、

映画感想文「銀河鉄道の父」家族との関係に焦点を当て宮澤賢治を語る

誰か応援してくれる人がいて、才能は世に出る。 生前の出版は、2冊。37歳で没後、父や弟の尽力で世に知られるようになった宮澤賢治(菅田将暉が飄々と演じる)。 そんな彼の父(役所広司)に焦点を当てた直木賞受賞の原作の映画化。 明治29年、岩手県花巻市にて。質屋を営み地元の名士である、商才に長けた父の下に生まれる。 だからこそ、その豊かな生い立ちから来る罪悪感から、生涯を通じ農民の暮らしに心を痛め、試行錯誤した。 長男である賢治を溺愛した父、放蕩息子である兄の代わりに家業

映画「銀河鉄道の父」

今日、恵比寿で用事を済ませた後、ふと恵比寿ガーデンプレイスに映画館があったなと思いついた。 丁度良い時間で、良い感じのがあったら見ようかなと調べてみた。 宮沢賢治の映画、全く知らなかったけれど、時間もピッタリだったし惹かれたので見てみた。 本編前の予告編二つから、すでに泣けた。😂 「銀河鉄道の父」 とっても良かった。 宮沢賢治(菅田将暉)のピュアさ、正直さ、兄弟に与えることとか。 妹トシの強さとか。 お父さん(役所広司)は、放蕩息子を温かく見守り応援している聖霊。 マキ

映画「銀河鉄道の父」

まだぼーっとしています。 泣きすぎました。 役所広司さんと菅田将暉さんの、演技ということすら感じさせない存在感にやられました。 涙の壷にまだ八割方涙が溜まっていて、どうかするとまたあふれそうになります。 あの場面のあのタイミングであのセリフは、泣くなと言う方が無理です。 宮沢賢治。 今でこそ、世界中で愛されている作家はしかし、生前は無名のまま、三十七歳の若さで亡くなりました。 その作品が知られるようになったのは、ひとえに、家族がその才能を信じ続け、遺稿を出版社に売り

仏画とパリと銀河鉄道の父

マドモアゼル愛先生繋がりの星読みの仲間であるMさんは仏画をされ、パリの街角のアクリル画のスケッチを定期的にインスタグラムにアップされている。 仏画にはあまり関心はなかったが、彼女の緻密な仏画が出来上がっていくプロセスに触れて、惹かれるものがあった。五月の連休に家の整理をしていて次男が家に引きこもりがちであった時期に書いていた大日如来の写仏画を見つけた。写仏も途中のままであるというのもいかにも太陽魚座の次男らしい。彼は宇宙人気質で、彼の行動パターンはなかなか予測できない。 祈り

「銀河鉄道の父」、利他主義と宇宙

役所広司氏、菅田将暉氏が、父とその子、宮澤賢治として向き合う。 賢治が終生慈しんだ妹を、森七菜さんが演じる。 そして「八日目の蝉」の成島出氏がメガホンを取る。 期待しない方が難しい作品だが、予想をはるかに上回っていた。 とにかく、物語の器が大きかった。 聖人としての宮澤賢治、(欲望に基づいた人間の経済活動という見地から言えば)だめんずの宮澤賢治、その間にある、私のような凡人には到底理解できない(また理解できなくても作品に感動する心からは何も引かれない)、宮澤賢治の、いわば

トロント日本映画祭で「銀河鉄道の父」を見た話。

6月8日の夜、何年ぶりかで自宅以外の所で映画を見た。トロントの日系文化会館(JCCC)で開催された「Toronto Japanese Film Festival」の初日に、相方と行ってきた。 20数本の面白そうな最近の日本映画が勢ぞろいしている中で、なぜ初日の作品だけを選んだか。その理由は簡単だ。宮澤賢治に関係した作品だったからだ。日本では今年の5月に公開されたようで、国外で公開されるのは、このフィルム・フェスティバルが初めてだそうだ。 「銀河鉄道の父」(監督・成島出、原