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【読書】「35歳の教科書」藤原 和博(著)

“パリで暮らす人々は日常の中にこうしたちょっとした喜びを発見し、それを楽しんでいます。その背景には「人は生を受け、死を迎えるまで、結局他人とは完全にわかり合うことはできない」という絶対的に孤独な人間観が横たわっていると感じました。そう、これが「それぞれ一人一人」の時代の根底に流れる認識です。しかし、だからこそ「いかにわかり合えない者同士がともに幸せに生きていくことができるか。美味しい食事、知的な会話、そこに人が幸福を共有する時間があり、方法そのものがあるのではないか」と考えているのだと思います。”



自分にしかできない仕事をやっているか。組織に埋没していないか。定年後に自分の居場所はあるか。残業をしても給料は上がらず、ポジティブシンキングだけでも乗り切れない時代に、どう働き、生きるべきなのか。そんな不透明な時代を生きぬくための教科書。

だんだん年を重ね、30代半ばが見えてきた。ふと、これからの人生について考えたとき、明確なものが想像できなかった。このままではいけないと思い、自らの視座を高めるために本書を手に取った。

成長社会であった戦後の日本では、「みんな一緒」という共通の考えがあった。良い高校、大学に入り、一流企業に就職する。マイホームを建て、犬を飼い、定年後は盆栽を楽しむ。そうすれば、国や会社が私たちを幸せにしてくれていた。それは年金や保険も同じだ。そのような社会では、個人の人生戦略など必要がなかったのだ。ところが今はどうだろう。バブル経済の崩壊やコロナの蔓延によって、新卒採用は急速に収縮し、終身雇用や年功序列は崩壊。これまで信じられてきた成功モデルは、過去のものへと姿を変えた。

今の日本は成熟社会。モノは溢れ、あらゆるものが多様化し、複雑になった。これにより、個人で人生戦略を練らなければならなくなった。この時代を生きるうえで大切なのは正解ではなく、自分だけの納得解を見つけることだ。


もし、未来について少しでも不安を感じているならば、本書はあなたの役に立つだろう。たとえ35歳を超えていたとしても大した問題ではない。なにもしないまま過ごすより、一歩前に進む方がいい。

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