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【読書】「人生のほんとう」池田 晶子(著)

「人生を考える」という六回の講義のなかで、著者が語った内容をまとめたもの。

人生を考えるというと、たいていの人は人生論や処世訓を思い浮かべる。

だが、そういうものを期待していると完全に期待外れになるだろう。本書では、それよりももっと大事なことが語られる。

多くの人は、「人生」という言葉を聞いたとき、何をイメージするか。

おそらく仕事や家族、人間関係などの具体的な生活のあれこれではないだろうか。この生活のあれこれを普通は「人生」と呼んでいる。

それは確かにそうだ。なぜならわたしたちは、実際に日々を生きているのだから。

しかし、それは「人生の一面でしかない」と著者はいう。どうやら人生はそれだけでは決してない。そういうことに気がついてみると、人生は完全に変わるのだ、と。

「人生」は人が生きると書く。
だがその「人が生きる」とは、つまり「生きている」とは一体どういうことか。

生活よりも先にある「生存」のほうを考えることが物事を考えるうえでの正しい順序であり、この講義の出発点なのである。

「人生のほんとう」は、約2年ぶりに再読した。前回は全く歯が立たなかったが、今回は不思議とわかる内容が多かった。一度わかるとよりわかりはじめるのが、哲学のおもしろさなのかもしれない。

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