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【読書】「読書のちから」若松 英輔(著)

“「読む」と「書く」はまさに、呼吸のような関係にある。「読む」は言葉を吸うこと、そして「書く」は吐くことに似ている。「読む」あるいは「書く」という営みは、世に言われているよりもずっと身体を使う。「あたま」だけでなく、心身の両面を含んだ「からだ」の仕事なのである。(略)
「読む」を鍛錬するのは「書く」で、「書く」を鍛えるのは「読む」なのである。「読む」と「書く」を有機的につなぐことができれば言葉の経験はまったく変わる。それを実現する、最も簡単な行為は、心動かされた文章を書き写すことなのである。”

内容

知識ではなく、人生の手応えを与えてくれる「生涯の一冊」に出会うための方法も記す、読書をめぐるエッセイ集。柳宗悦やシモーヌ・ヴェイユ、池田晶子らの言葉を引きながら、コトバの深遠へと誘う。

感想

若松さんは、私の人生で最も影響を与えた人物。はじめて知ったのは、数年前のこと。書店へ立ち寄った時に「本を読めなくなった人のための読書論」という一冊を目にし、すがるような気持ちで買って帰った。そのときの私はほとんど本を読めていなかった。忙殺される毎日に疲弊し、それどころではなかったのだ。恐らく心のどこかで読むことを諦めていたのだろう。そんなときに出会った一冊だったが、その後の人生を大きく変えた。徐々に本との距離が縮まってきたのである。読書に没頭するようになったのは、それが始まりだった。

至るところで書き記しているが、私の今年のテーマは「書く」こと。やはりそこにも若松さんの影響がある。「読む」と「書く」は呼吸。これまでは読んでばかりだったが、これからは「書く」ことを通して「読む」を鍛えていきたい。

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