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生活者とつながり、共に創っていきたい━━日清オイリオがnoteでコンテストを開催した理由

みなさんにとって、"元気をもらった食事"はありますか?

日清オイリオグループ株式会社(以下、日清オイリオ)は、noteで投稿コンテストを開催。「#元気をもらったあの食事」というテーマを掲げ、約2,600件の投稿が集まりました。

実は、noteアカウントを開設していない日清オイリオ。
しかしながら多くの投稿を集め、受賞作のラジオドラマ化まで行いました。

日清オイリオは、なぜnoteでコンテストを開催したのか。そしてコンテストを実施して気付いたこととは。宣伝広告部の鈴木裕也すずきひろやさん、池田紗理いけださりさんにお話を伺いました。


noteコンテストを開催した目的

——日清オイリオさんはテレビCMをはじめ、幅広い広告・PR手段をお持ちだと思います。その中でなぜnoteコンテストの実施に至ったのか、理由をお聞かせください。

池田さん 当社は、長期ビジョン「日清オイリオグループビジョン2030」において、“植物のチカラ®”で「生きるエネルギー」を、すべての人へ提供し続けることを掲げています。ここに込めた私たちの想いを、一方的に発信するのではなく、生活者とともに双方向でエンゲージメントを創出するコミュニケーション手法を志向・検討し、今回の「note投稿コンテスト #元気をもらったあの食事 」企画を実施しました。

「生きるエネルギー」とは、食を通じて身体を作るという意味だけではなく、生きるために大切な、心を育む栄養の意味でもあると考えています。そんな「食べること」と重ねた、お一人お一人の心に残っている大切なエピソードを自由に投稿いただくことで、改めて食の持つチカラに気づいていただけるのではないか、と思ったのです。

鈴木さん 生活者が商品を購入する際、「この会社はこんな取り組みをしていたな」と思い出してもらえるような会社であれば、より安心して商品を買っていただけます。今回の企画であれば、生活者と双方向でコミュニケーションを紡ぎ、共感を得られるのではないかと感じました。

また、これまでもSNS企画やキャンペーンは数々実施してきましたが、文字数や投稿形式に制限のない「note」という投稿の場であれば、自由な形で表現できるため、この企画には一番ふさわしいと考えました。

日清オイリオグループ株式会社 宣伝広告部長 鈴木裕也さん

——今回、「#元気をもらったあの食事」というテーマを選んだ理由を教えてください。

池田さん みなさんには「食と重ねた、心に残るエピソード」を語ってもらいたいと考えていました。自由にご自身の経験を語ってもらうために、テーマは絞りすぎず、かつ「食」に限定されないものを意識して、noteさんにも一緒にテーマを考案いただきました。最終的には「食は心を育む栄養にもなる」ことへの気づきに一番近い「#元気をもらったあの食事」を選定。良いテーマで実施できたと思います。

鈴木さん 「あの食事」とすることで、食事だけではなく、自分自身を形成したエピソードと食事・食シーンを重ねて想いを綴ってくださると考えました。

——日清オイリオさんはnoteアカウントをお持ちではない中、コンテストを開催されたと思います。その辺に対して、懸念事項などはありましたか?

池田さん 多くの方が、自身の記憶から語ることができるテーマ設定をすれば、アカウントを持っていなくても多くの投稿をいただけると考えていました。また、コンテスト募集ページではしっかりと当社の想いをお伝えすることができたため、アカウントがなくても不安はなかったです。

日清オイリオグループ株式会社 宣伝広告部 宣伝広告課 池田紗理さん

総応募数が2,600件以上。
noteでコンテストを開催して

——結果的に2,600件を超える投稿が集まりました。応募作品や受賞作品を読んだ時の感想を教えてください。

池田さん 作品ではみなさんの人柄が強くにじみでていて、直接お会いしていないにも関わらず、とても「その人」を身近に感じることができました。入賞作品は、特に私たちが「実際に会ってみたい、そして一緒に食事して、話をしてみたい」と思った作品です。

——社内やお客様など周囲からの反応はありましたか?

池田さん noteの作品を読んだ人からは、「自分の記憶と重なりウルっときた」「思わずあの料理を食べてみたくなった」という声をいただきました。また、当社がnoteでの企画を実施したことに対して、これまでにないチャレンジングな企画だという声もいただいています。

——コンテストの準備で、印象的だったことはありますか?

池田さん コンテストの参考作品を古賀史健さんと桜林直子さんに書いていただいた際に、2名とも違った視点にも関わらず、当社が求めているような自身のエピソードに基づいた「生きるエネルギー」を語っていただいたことです。

参考作品を読んだ時点で、みなさんからもどんな作品が届くのだろうかと、非常にわくわくしました。

——コンテストを実施する中で、苦労したことはありますか?

鈴木さん 冒頭で申し上げた通り「自分の身体、心を育んだ食シーン」を語っていただくためのテーマ設定に悩みました。テーマを絞りすぎると自由に語ってもらえませんし、逆に広くしすぎるとイメージしにくいだろうと。この塩梅について、noteのみなさんにもご助言いただき、今回のテーマにたどり着きました。

受賞作の一部をラジオドラマ化へ。
生活者との「共創」とは

——今回、受賞作の一部がラジオドラマ化されて、SNSでも大きな反響がありました。ラジオドラマ化はコンテスト開始後に決まった企画だとお伺いしましたが、実施に至った経緯を教えてください。

池田さん コンテストを通じて、多くの方の「食と重ねた、心に残るエピソード」を読むことができました。作中のエピソードは私自身の経験とも重なり、改めて食について見つめ直したり、一緒に食事をした家族や友人などを思い出したりしました。そんな良い作品が多く集まりましたので、より多くの方に作品を届けたいと考えた際、ラジオが候補に挙がってきました。

ラジオは、リスナーとの距離感が近く、温かなエンゲージメント形成に期待ができるメディアだと考えています。音声メディアのメリットとして、さまざまな生活シーンに「ながら聴き」で寄り添うことができるのはもちろん、声だけで表現するからこそ、発信されたメッセージが、聴く人それぞれの記憶や体験に紐づいて映像化され、一層心を動かすことが可能だと思いました。今回お届けする人間ドラマにはまさしく相応しい企画でした。

また受賞者の方々もラジオドラマ化をご快諾いただき、放送前にはご自身のSNSなどで宣伝までしてくださいました。受賞者のみなさんにも喜んでいただくことができ、嬉しかったです。

——近年、多くの企業が生活者との「共創」を重視しています。今回はまさしくクリエイターとの「共創」が奏功した事例だと思いますが、いかがですか?

池田さん 私たちがテーマを考え、生活者にそれぞれの視点で語っていただく。こういったことも「共創」のひとつだと思うので、今後もこのような取り組みができればと思います。

実は、コンテストのテーマを当社のファンコミュニティのトピックスでも使わせていただいています。興味深いのはnoteで投稿された作品とは別の視点からの投稿も多く集まってきていることです。良いテーマというのは、おのずとご自身の視点で語っていただけるのだと感じました。

鈴木さん 昔はお客様相談窓口に上がってきたご意見でしか、生活者の生の声を聞くことができませんでした。しかし今では、SNSを通じて生活者の声を聞くことができるようになっています。また、私たちの発信に対しても多くの反応があり、さまざまな意見に触れられる環境です。

今後もお客様との関係を築き、共創関係をどのように作っていくかを考えていければと思います。

——全体を振り返って、コンテストの実施目的は達成しましたか?

池田さん 多くの方から投稿をいただいたことはもちろん、一つひとつの作品の質もとてもよく、自身の言葉で「食と重ねた、心に残るエピソード」を語っていただくことができました。また、クリエイターの方々にもコンテストを通じて、当社の想い(“植物のチカラ®”で「生きるエネルギー」を、すべての人へ提供し続けること)を体験していただけました。受賞作品をラジオでも多くの方に伝えることもでき、元々の狙いを大きく超えた企画にできたと考えます。

——今後noteでやってみたいことや、期待することはありますか?

池田さん クリエイターの方と共同で施策を行うことで、当社にはない切り口での企画ができたら面白いのではないかと思っています。やはり今回も、当社で施策を考えているだけでは気付けないような視点をクリエイターのみなさんから多くいただきました。

鈴木さん 今後は私たちが「〇〇な企画を実施します」と発信するのではなく、生活者側から「こういう企画をするのはどうか」といった意見が出てくることが理想です。それが私たちにとってゴールであり、スタートになると思います。



text by 須賀原優希


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