ムーニーの営業マンが、脱サラ保育士になり、おむつのサブスク「手ぶら登園」を始めた理由
はじめまして!BABY JOB株式会社の代表をしています、上野公嗣(うえのこうじ)です。
私たちは「すべての人が子育てを楽しいと思える社会」というビジョンの実現に向けて、保育園向けのおむつのサブスク「手ぶら登園」や保育園を探せるサイト「えんさがそっ♪」を運営しています。
今回会社のnoteを立ち上げるにあたり、私の子育て世帯向けのサービスにかける想いや、サービスをつくった経緯を、保護者の皆様に知ってほしく記事を書くことにしました。
ちなみにnoteのアイキャッチ画像は、私が保育園運営をしていた時代のものです。(若いですね…笑)
特に下記に当てはまる方に読んでもらい、私の想いが伝わると嬉しいです。
自己紹介
改めて簡単に私の自己紹介をします。
おむつ販売で気づいた『お母さん』の可能性
BABY JOB株式会社を起業する前、私は会社員としてユニ・チャームで働いていました。
当時はおむつの営業を担当していたので、毎日ベビー用品店やドラッグストアを駆け回り、時には店舗で販売のお手伝いをすることもありました。
店舗でおむつを販売する時は、スーパーの試食のように、サンプルを配りながら商品の良さをお客様に伝えることがよくあります。学生さんや主婦の方などいろんなアルバイトの方に手伝ってもらっていたのですが、販売成績を見てみると群を抜いて活躍していたのが主婦の方々でした。
考えてみれば当たり前のことなんですが、おむつを売る時に、学生さんよりも、実際に使ったことがあるお母さんが「このおむついいですよ!」と売った方が説得力が何倍も増しますし、じゃあ買ってみようかなという気持ちになりますよね。
お母さんだからこそ売れる商品があるんだ!と気づき、お母さんにとてつもない可能性を感じました。
加えて、その頃ちょうど私の妻が二人目の子どもを産んだばかりで、一日中子どもの育児をしており、大人と話す機会や、社会と接する機会が無い状態でした。
だからこそ余計に「お母さんの力」を使って世の中に価値を提供したいと思ったんです。
気付けばユニ・チャームに退職届を出し、「お母さん専門の人材派遣業」を始めるため、主婦の方を集めて説明会を開いていました。(笑)
「子どもを預けるところもないのに、私たちが働けるわけないやん!」
ですが、実際に主婦の方々を集めて説明会をしたところ、
「子どもを預けるところもないのに、私たちが働けるわけないやん!」
と、ごもっともなご意見をいただきました。
また同時期に私のユニ・チャーム時代の同期に子どもができたのですが、保育園に入るために大田区から品川区に引っ越しをしているのを見て「保育園に入るために引っ越しまでしなければいけない時代なのか...」と衝撃を受けたことを覚えています。
当時は今よりも待機児童の問題が深刻で、そもそも保育園が足りなくて預けられず、それ故にお母さんが活躍できないという社会構造でした。2016年にはあの「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログ(※)が大きな話題になりましたね。まずは子どもの預け先を増やさないとお母さんたちが活躍できないと思い、保育園の運営から始めることにしました。
※ 2016年2月15日に投稿された「保育園落ちた日本死ね!!」という匿名ブログ。
ただ、私も保育園運営は未経験の領域。
どんな保育のアプローチがいいのかを知りたかったため独学で勉強し、保育士の資格を取得しました。また、現場で一緒に働く社員たちとのコミュニケーションを円滑にするためにも、私自身が保育の専門家でありたいと考え、保育園を立ち上げながら夜間は大学院に通って2年間教育学の研究をしておりました。
少しずつ保育園を増やしていって、最終的には全国に40ヶ所以上を運営するまでになりました。保育現場は常に人手不足だったため、私も現場に入って、子どものお世話はもちろん、エプロンを着て調理などもしていました。
保育士として働いて気づいた、名もなき家事の多さ
保育園の現場で働いてみて驚いたのが、送り迎えに来られるお母さんたちがとにかくしんどそうだったことです。
荷物を両手いっぱいに持ち、朝バタバタして子どもを預け、すぐ仕事に向かっていて余裕が無さそうでした。
特に0〜2歳児を育てているお母さんだと夜泣きもあるので睡眠不足だし、お母さんたちは朝から晩まで様々なタスクに追われています。
さらに、保育園の風習は昔からあまり変わらない傾向にあることにも気づきました。
保護者さんにアンケートを取ったところ「おむつに名前を書いて持ってくる」「使用済みおむつを持って帰る」というのは登園準備の負担TOP3に入っていましたが、昔から変わらずに存在する習慣なのです。
私は保育業界の外から参入したこともあって、これまでの保育業界では当たり前だったことに対して「これは本当にこのままでいいのかな?」と違和感を感じるようになりました。
そして手ぶら登園をスタートする決め手となったのは、ひとりのお母さんの忘れ物です。
私が公立園の一歳児クラスで保育実習をしていたころ、いつもおむつを忘れてしまうお母さんがいました。
どんどんカゴから減っていく保育園のおむつ。保育士たちはおむつが無くならないように気を付けて保育をしていました。
「本当に毎回忘れてすみません」
申し訳なさそうに謝るお母さんにして、「貸したおむつを返していただきたいのですが...」と保育士も申し訳なさそうに伝えていました。
ずっと記憶に残っていた、このお母さんと保育士の姿。
「だったら園におむつが届く仕組みを作ればいいのでは!?」と考えて、2019年に手ぶら登園を始めることにしました。
手ぶら登園をスタートするも全く浸透せず...
初めはおむつやおしりふきのサブスクを立ち上げる意識なんて全くありませんでした。
私たちは認可外保育園を1つだけ運営していたのですが、そこで保護者の負担を減らすためのサービスとして、完全に手ぶらで登園していただける「手ぶら登園」を始めたのが最初です。
具体的にはおむつも布団も持ってこなくていいし、服も最初に持って来たものをすべて園で洗濯する。だから「子どもと手をつないで登園してきてください」というサービス。
最初はサブスクという意識もなかったので、年齢、サイズ、1日あたりの利用枚数、登園日数など、かなり複雑な価格表を作ってスタートしました。
しかしながら、それでは全く浸透しませんでした。
現場に行って原因を見てみると、プラン内容が複雑なせいで保育士と保護者のやりとりが非常に煩雑になっていました。保護者が保育士に対して「他の子におむつを使ってるんじゃないか」「おむつを使いすぎなのでは?」「サイズは小さい方でいい」など伝えており、結果的に保育士の仕事を増やすことになってしまっていました。
保護者の負担を減らしたい!という一心でサービス設計をしていましたが、実際に利用する保育士の使い心地を考えられていないことに気付かされました。
保護者だけが利用者じゃない。保育士も使いやすいサービスへ
次は土曜日の登園があるか無いか、というシンプルな価格体系に変更しました。「これならいけるだろう!」と思ったのですが、土曜保育ありプラン(6日登園)で申し込んだ保護者から「土曜は登園したけど平日は休んだ。週に5日しか来てないから、今週は土曜登園無しプラン(5日登園)を適応してほしい」などのやりとりが発生しました。
そうした紆余曲折を経て、最終的に「単一料金・使い放題」という料金体系になりました。そうしたら自然と「サブスク」と呼ばれ始めたのです。
「保育園におむつやおしりふきを持っていかなくてもいいサービス」と聞くと保護者にとってだけ嬉しいサービスのように聞こえると思いますが、実は保育士の負担軽減にも繋がっています。
振り返って考えると、使っていただく保護者、保育士両方の様子を現場に行って確かめたことで、しっかりニーズにこたえることができ、利用が浸透していったのかなと思います。
全国展開までの道のりは苦悩の連続
今ではサービス開始から4年がたち、ありがたいことに4,000以上の保育施設で累計10万人の保護者の皆様にご利用いただいております。
ただ、ここまでの道のりは全く順調ではなかったです。
サービス開始直後にコロナ禍になってしまったり、保護者に良いサービスだと思ってもらえるまで時間がかかったりしました。
また、最初の頃は保育園にどれだけ良さを伝えようとしても、「おむつの定額制サービス」という聞いたこともないサービスのため、話すら聞いてもらえない状態で、社内メンバーもかなり疲弊してしまいました。
次回のnoteでは、サービスの立ち上げ期の無名で誰からも振り向いてもらえなかった頃からどのようにして保護者の方にサービスを利用していただけるようになったのか、その経緯や苦悩を書いていきたいと思います。
ここまで読んでくださった方へ
このnoteを読んで、良いなと思っていただいた方、少しでもおむつのサブスクが世に広まってほしいと思っていただいた方はぜひSNSでシェアをしていただけると大変うれしいです。
また、BABY JOBで働くことに興味が沸いた方がいらっしゃれば、以下の採用サイトを覗いてみてもらえると嬉しいです!社員の半数以上が子育て中のママパパで、リモートワークやフレックスタイム制なども導入しており、働きやすい環境です。
・手ぶら登園サービスサイト
・えんさがそっ♪サービスサイト
・取材依頼はこちらまでお願いします
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最後までお読みいただき、ありがとうございました!