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【気になる生態】 #2 親を知ることのない鳥 「カッコウ」

カッコウの生態ほど探究したくなるものはないかもしれません。

古くは童謡、今では横断歩道の効果音で鳴き声が使われている耳馴染みのある鳥ですが、その生態はなかなかファンキーです。そして何より謎が多いのです。

カッコウの生態における最大の特徴は「托卵」です。

托卵とは他の鳥の巣に卵を産みつけ、その鳥に子供育てさせる行為を指します。

まずカッコウは狙いを定めた巣にいくと、もともとあった卵を捨てて自分の卵を産みつけます。その時間わずか10秒

また最近の研究では産みつけた巣から飛び立つ前に、の鳴き声に似た声を発することで、卵を気づかせにくくしているということがわかったそうです。

胸の柄など見た目も少し小型の鷹に似ています。

ではなぜカッコウが托卵という子育て方法をしているのか。

その理由は明らかになっていません。

ただ、カッコウは鳥の中でも珍しく体温が安定しない鳥なので、安定して温めることのできる鳥に託しているというのが有力な説だそうです。

そしてカッコウの生態の脅威は親だけでなく子にも存在します。

カッコウのヒナは通常他の卵より2、3日早く孵ります。

そしてまずはじめに行うのが、他の卵を巣の外に落とすことです。

この動画は衝撃的でした。。。

第一印象は最悪ですね。

なんとも残酷ですが、たくさんの餌を必要とするカッコウは他の競争相手を排除する必要があるのです。

生まれた時点からその任務が本能的に備わっていることに驚かされます。

また、動画を見てもらうと分かる通りカッコウのヒナは背中が窪んでいて卵を落としやすい体格になっています。

さらに最近の研究では、生まれてからすぐに他の卵を落とせるように、卵の中でなんと筋トレしているということもわかったそうです。

誰に習うわけでもなくその行動が自然とできるのは非常に興味深いですね。

そして餌を独り占めすることのできるカッコウは托卵先の親より何倍も大きくなり、最終的に巣立っていきます。

これだけ自分と見た目の違う子供に、親鳥が気づかないのも不思議に思っていましたが、そもそも親鳥が色や大きさで判別するのは難しく、たとえ気付いたとしても小さい頃から面倒を見てきた子供ということで育てきってしまうそうです。

カッコウがこれだけ托卵すると他の鳥が絶滅してしまうのではないかという話もあります。

実はこちらも興味深い話なのですが、托卵をされた鳥の中にも卵の異変に気づく種もいてカッコウの卵を外に捨てるようです。

ここでもカッコウのすごいところは卵の模様を似せることができるということです。巧妙なトリックで托卵先の親鳥を騙します。

しかし、それにも気づく親鳥もいて、世代を超えて長い間騙す方と見破る方のレベルの高い戦いが今も続いています。

最後に言えることは、”騙す進化”と”見破る進化”があったからこそどちらも絶滅することなく、絶妙な生態系のバランスが保たれているということです。

カッコウについてはまだまだ語りたいことがありますが、キリがなくなってしましいそうなので今回はこのへんで。

立教大学名誉教授の上田恵介さんがカッコウの「托卵」の研究をされていたということで、いつか全ての疑問をぶつけてみたいですね。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!


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