思い出になる瞬間が嫌い。

私は目の前の日常が思い出になる瞬間が怖い。
例えば卒業式。
笑いあって過ごした日々や、熱い太陽の下での体育、なんとなくどきどきと過ごした放課後。息苦しさを感じた日々があったとしても…。
この日常が思い出となる、その瞬間が卒業式。
さっきまで目の前にあった出来事が鮮度を無くし、日常が終わりを告げ、思い出になる。

だが思い出は、振り返ると温かくて心強い。日常が思い出になる一瞬を乗り越えると、新しい日常と温かい思い出が待っていると私は知っている。
しかし日常が思い出になる、この瞬間はあまりにも鋭く冷たい。

この痛みを私はいまだに乗り越えられない。

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