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芥山賞) ひとりの議員と ナマハゲ 、 聖火を救う

不思議なナマハゲが、、不評の聖火リレーを、復活させるオハナシでしょうかーー
桜の季節に書きました。


(なんか、スゴい?おかしな話になったけど、、最初のとっかかりは、軽い短いストーリーを、手軽に笑って書くつもりだった、のでした〜。) (2,200文字)



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たとえば、、

ここに  本日の「聖火リレー」のスタート地点が、ある。


つまり、カモメたちが鳴く、F区の沿岸、 南国を思わせる景観で、かつては 名の知れた「松ヶ浜記念公園」である。


パレードも、名物の三尺花火も、老人クラブのケンコウ盆踊りも、何年も前から、とうとうミスが  見えなくなるまで、みんなで繰り返した。
『こりゃ、死ぬまで忘れない ネ〜』と、笑い合って 練習してきた。日常の一部のように、日々の日課のように。

海鳥たちや  行き交う船も、誰も彼も 式典のプログラムまで、暗記してしまったようだ。

参加者全員の、それぞれの日焼けした顔も、互いの生い立ちや身の上話も、大概みんな覚えてしまった。
そして、奇妙なことに、近頃、老人会や女性部会は、安土桃山時代と江戸時代当時の、郷土「松ヶ浜」の歴史調査を熱心にはじめ出している。
今、町の不思議なブームが「歴史さかのぼり」なのである。

町の公民館が その現象について、報告と見解を出したところ、、
『ついに、明治から令和の、この地区の出来事や話題を、中高年は、喋り尽くして しまったのかも 知れない』と。



白く薄い霧が流れる。朝の日が光り、そして 風が  海に向けて動き出す頃、、

街の音も目を覚ます時刻。


この日が、いよいよ、、

約束の「聖火リレー」なのだ。


花火が、 まだらに 上がる。

不規則なリズム

打ち上がる音も、少し おかしなリズムだろうか?

その「ワケ」を説明すると、、、
松ヶ浜みらい青年団〜花火組男衆の面々が、三日前から酒浸りの『伝授伝統の継続中毒』という、今どき ひじょうに困った状態にあるからなのだ。

それは、いつもの、悩ましい深い この集落の風習であったが、、
大きな潮の流れを感じながら、、そういう事情を  長年に渡り、いつも  あたたかく見守る、岬の剣ノ”松林”や 停泊中の複数の”商船”は、とても穏やかに頷きながら、、不規則に打ち上がる炸裂と音響を おとなしく微笑むように鑑賞していた。


とにかく、今日、松ヶ浜の町民は 全員で大きなイベントを開く。
それも、「世紀の催し」なのだ。
「世界的なイベント」なのだ。


青年団のかなり微妙な際どい慣習も はらむのだけど、、空の高所〜爆発の音源は、広大な美しい平野と濃い紺色の繊細な波面に、荒々しく 次々と『光の命』を 投げつけては、魂と力を吹き込んでいく。
素早くつぎつぎと。動いている、小さなターゲットを見おろしながら 狙う。
無限の矢を、世話しなく つぎつぎと放ち消える。




◇ ▽



三々五々、緊張ぎみのランナーも 準備スタッフも、それぞれ話を交わしながら、早朝の坂道を なだらかに のぼってきた。

本番の、一日だ。

この一日で終わる。

ここに いる、みんなの努力が、ここまで 積み上がって来た。

しかし、 共通の不安が、皆 にある。

『世間からの厳しい不評』である!

「無駄なリレーを中止せよ」と、脅すような電話・メールも 数件  届いていた。



大型船が、
太く汽笛を鳴らした。港が 吠えている。

いっせいに、屋根の上の カモメ達の群れが、森を目指し 遠方に消え散る。

突然 鳴らされる、巨大な船からの、低くて重たい音は、しばらくの間  背中と胸にビリビリと響いて、残り続けた。



そして、

その時、

みんな、ポツンと 遠くに存在している、人型のシルエットに気づく。



三人の立ち姿 ?


広場の中央に ナマハゲが、

二匹、

立ち尽くしている。



怖い姿だ


遠くの林が、大きく、もだえた。
激しい風が渡って来るぞ!!。

 一陣
 
─── 身構えたが、 皆んな、あおられ、たじろいだ。


そして、、

その二匹の、

ちょうど真ん中に



ふ ん ど し 姿 の 男



これは ただごとではない 。





サクラが舞う。

男  ねじり鉢巻

ふんどし一丁




老齢だが、かなりオーラを感じる。



もう、 これは、


常人ではない。




───サクラ舞う───


花ビラの流れ が、広場を、うねりながら ゆっくりと 下って進む。

しかし、、
腕を組んだままの、その老人は目をつむり微動だにしない。
ずっと、口が真一文字のままなのである。





 あれ!

 総理!。

「あれ、スガ 総理だよ」


声が上がる。

皆んなのざわめきが、少し大きくなるが、、



サクラの枝が、静まると、とたんに   広場は、水を打ったようで  静となり、、そして、全体が、

透明な固まりに  無音と、なってしまった。




しかし、、やっと、〜〜子ども達からの救いの声〜〜により、、、氷が溶け出したかのように、少しずつ  動き出した  大人達であったが、、

まだまだ、とてもとても、声などは出ず、まるで モニターのコマ送りのようにギコチなく、フラついた。



ただ、、、

ここにいる、全員の心の中で、、「ひとつのフレーズ」が、終わらずに 繰り返される、鼓動のように、響き渡っていた。






総理は、 聖火リレー も、 オリンピック も、


本 気 だ 。


必 ず ヤ ル




桜の  長い並木の  喝采がはじまった。

春の香りと 潮風の乱舞も 高まり昇る。




両腕を 広げて、

胸を 大きく震わせて、

体を ゆすりながら、

誇り高く

大音量で 激しく、ナマハゲが 

長く 笑う。




突然、

 二 匹が 同時に 走りだす




そして、 

  一匹が 青い面を かなぐり捨てた。



青い面は  土の上を、転がりつづけて、総理の足元で止まる。泥だらけになり、汚れきった群青の塊が、そばに来ても、総理は、変わらず  微動だにしない。
対する、、もう一匹の、、走りながら 野蛮な声を張り上げる、ナマハゲは、踊るように  しなやかに、脚を、腰を、腕を、大胆にしなやかに曲げながら、、その白い面を、あざやかに 天に向かって、、放つ。 発せられた矢のような  声。
その力は、たちまち 深く碧い空へ空へ 飛ぶ、 、多くの視線を集める、面を、もう、小さな光の粒に、押し上げ、押し上げて 消え、ついに 空に吸われた。

( 瞬間 柔らかく 空が 太陽と 輝いた。)■ 工事中。



空 と さくら は  これで  断ち切られた。





▶  前を 見て進む   「今日だけ」は、クヨクヨしない。   ■  批判されても ◀


みんなの心が、空によって 鮮やかに撃ち抜かれた、瞬間だった。



■うつくしい、高い音が鳴る気配に、皆が 一点を 見る。

地に落ちて、音もなく、ちり散りに、粉々の波が、爆薬のごとく、砕けて消えていく。
白い月と同色のごとく、静かに。

その運命の  白い鬼の面が、まだ 天空に舞う、その刹那に、松ヶ浜広場の光風を浴びた 全員が、秋田の三体に  救われた。




総理は、消えていた。




とにかく、聖なる火を、

我々は 燃やそう



とにかく

燃やすんだ。

消 さ ないように。



陽が、 沈むまで。


今日が、 沈むま で は 。






(つづく、予定はないけど、 なんか凄いね。。)

まだまだ、修正必要ですね。。


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桜の季節と、6月中旬では、かなり、状況が違いますね。。

そういうのも、面白いかも。。


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