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最期の津波 ■ ウソの使命 ■

 3・11から

── あなたへ 、

── 極限の リーダー達へ 、

── 最後の「命令の書」を
   開く
      一兵卒へ 

──

▷ とても、重たい話ですが、コロナの影響が酷くなりました。
だから、東北の311の経験を、忘れることなく、皆さんの為に、。

どうか お使い下さい。◁



次の津波が来たら、みんなさらわれる


何度も声を上げた。

「坂の上へ、早く、早く」と手招きし、

年寄りを 背に担ぎ、  転ぶ子を 他の人に託す。

声をかけ、  顔見知りの名を 叫びながら、 多くを励ました。


しかし、

もうダメだ


この坂道の先は、廃屋で、  そこで止まるのだ。  途絶えてしまう。

去年、 私が、この地区の公道を すべて調査し、崖下の、この道は、特に留意していた。


家々を潰し、 黒い大山の津波が現れる。そして、すぐに、また、いよいよ  我々を吸い取りに来るのだろう 。

もう、 この次が何回目の黒い壁なのか、分からない。

もう ダメだ。

この先は 道が ない。


私の腕章や、作業着の県庁のマークを見て、 たくさんの人たちが、 誘導に従う。

声の限り叫び、子供達を走らせた。

戻ろうとする女達を、 私は 引き止めるために、 数人殴りつけてしまった。

しかし、

もう、これはダメだ。


だが、 、 【公務員の義務がある】

【都市整備の  役人の義務がある】


私は、ここで   死ねないはずだ。

私が死ぬのは、 『今』じゃない。

5年後、 10年後だ。

県が 長年、関わった、 この地区の、道も建物も、数分のうちに、  あっけなく バラバラに 潰され砕かれ、のみ込まれて消えた。

新しい道を、次の 皆の建物を、 造る前に、、

この悪夢が、 現実ならば、

誰が、明日の 道や  応急の家のため、  新しい線をひくのか?。 誰が法令認可の書類を何枚も作り、吟味するのか?。

私は、死んではならない。  それまでは。  

見届け、 終わるまでは、。

今の、 私には、生き残る義務も、みんなを救う義務もあるのだ。



私の名を呼びながら、 顔を崩し、泣きながら、主任の竹内が 駆け寄り、叫ぶ。

「  行き止まりです。 

 課長。

 行き止まりなんです。

 奥は、廃屋だけで、、


 その先、 進めません !

 みんな、死んじゃいますよ !

 行き止まり、、

 みんな、  足止めです ! 」


私は、答えずに、

告げた。

「 さっき、 ウエから メールが来た。

 『 医療職員と 復旧作業の職員は、自身の生命は削らないように 』 と。

 竹内、  これは、最期通達だ。  大至急、本部に、もどるぞ。」


いつも おとなしい性格の、入庁6年目の竹内は、  一瞬目を丸く見開らいたまま、黙っていたが、 すぐ、  割れるような声をあげた。
腕を激しく 坂の方に向け 振り回し、

───みんな、 みんな 、死んじゃいますよ!、  課長

───中に、あそこに 赤ちゃんも いるんですよ!

───課長 !、 本部戻るって、、  ここ、ここ  離れるんですか?!


問答無用。  竹内の腕をつかみ、

私は  歩き出す。  強引に 無理やりに  走り出す。

( 車まで  5分 )

( 崖下の沢子橋が崩落してなければ、 市道まで、  8分で行く)


 これに   かける。


役人の【命】 二つと、

今、ここで 裏切られる、、 数十名の地区住民の、見捨てられる【人生】を、


 この 13分 に かけるしかない。


車になだれ込み。  竹内を何度か、怒鳴りつけた。


その時、

遠くから 女の声があった。

ひがし敬老会の  シュウさん だった。

車を動かしながら、  とっさに、私は叫び返す。


──すぐ戻ります !

──事務所に行きます。すぐ戻ります!。

──シュウ婆 !、 坂へ 、  坂に  走って!、シュウさん! 、 、



ミラーで、  手を振る 矢島さんを見た。  アクセルを 一気に、踏む。



エンジン音、


竹内の絶叫の後の、


それから数日間の記憶が、 消 え て い る  。


未だに、 記憶が、 白く、 無くなったままなのだ。




私が ここで、 言えることは、 、

「 10年 は とても 短い 」



そして、 

私の

あの、 わたしの【嘘】を 許してほしい。


──矢島サクラの シュウ婆よ、


──竹内よ、

あの 「命令」なんて、デ マ カ セ なんだ。


──みんな、

──東沢之地区 52人のみんな、

──みんな。


県課長級の 自分には あれが あれが オレの精一杯だった


オレを  許して下さい



そして  このオレに 教えてくれよ、


上手な  うまい【嘘】を


もっと  納得のいく 温 か い【嘘】を



いつも  まっすぐの


みんなの  【心】   だけは  


もう 二度と   凍えさせない





⭕   ○


現在 私の中で、 最善は ウソ です。


渾身の、、

「 待って いてください 」です。


だから、

その言葉に 市民の 私たちは しっかりと

つよく 肯くべきなのです


もう、すでに、、 ?

ウイルスの波 ?


○○

( 上官よ、 あなたが  決めるのです。 

相談していいから。



この わたしが 話を 急ぐ訳を、言う。


〜 雪の夜が、 

〜 あの日 訪れました 


上官たちよ、 

恐れなくていい。 全員が すべて、  必ず、失敗する。 必ず

突然の絶大事に、向き合った者は、 絶対に 最善を 選ぶことが出来ないのだ。 


それが

 3・11からの  バトンである。 

あなたへの   )



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