先生 PartⅡ

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最近の記事

 片仮名語 雑感

 テレビのニュース番組を見ていて、何故片仮名語(英語)を使う、何故日本語で表現しないのか、と少しの腹立ちさなどで複雑な気分になりました。日本語で全く表現できないのであれば仕方ないのですが。  それは、先日、ノンアルコール飲料の人気が高い昨今、あるるビール会社の人がその事に触れ、TVのインタビューに応えて、「ノンアルコール(商品)をスケールさせていきたい」と言うところが放映されたのです。親切にもその発言には字幕がついていて、理解できました。「スケール(=拡大)」。ノンアルコー

    • 外国人たちは日本語に接近している

      『言葉の人生』片岡義男著 左右社 2021年8月30日 第一刷発行   この本は『サンデー毎日』に連載されたもの。2018年11月から12月までと2019年6月から2021年1月までの計80回。 「外国人たちは日本語に接近している」という題で記述があります。日付が書いてありませんので、いつの号に載ったのかわわかりませんが、大いに興味をそそられました。 本当なのか、と驚いた記述が次の一文です。 「いまの日本人が日常的にたくさん使う片仮名語を学習する学校が、ニューヨークに

      • 「一気通巻」に驚く

        『プロ文章論』(上阪徹著 ㈱ミシマ社 2010) を読み始めました。読みやすい文章ですが、次の一文で、おやっ、と思いました。 「 私が意識しているのは、とにかく「一気通巻」で読んでもらうためにはどうすればいいか、ということです。」と著者は書いています。 「一気通巻」という言葉は初めてみました。「通貫」とか「通観」ではありません。雑誌や全集などの「通巻」です。 どういう意味なのかわかりませんが、とりあえず先へと読み進みました。  すると、すぐに、「一気通巻」について説明

        •  誤ったスキーマとは

          今井むつみ著 『学びとはなにか ー〈探求人〉になるために』 岩波新書赤                                2016年3月18日第1刷  興味深いタイトル通り、複雑なことも平易に書かれていて、読んで損は決してないといえます。    ただ、何故こんな書き方をされたのかと思うところがあります。  言語の習得に*スキーマが大きな役割を果たしていることは著者の言うとおりであると思いますが、外国語語彙についての誤ったスキーマ、という項目を立てて述べていると

          「豚」は 「ぶた」か 「トン」 か

          午前中に投票に行きました。  近くの小学校が投票所でした。  投票を済ませ、出口に向かうところの掲示板に給食の献立表がありました。 そこに、「ぶたにく」や「けいにく」がヒラガナで表記されていました。 低学年の子どもにもわかりやすく「豚」「鶏」の漢字を使わない配慮がなされていると思いました。では、その漢字は何年生で学ぶのかちょっと気になり、帰ってから「国技表記ハンドブック」を見ました。いずれも6年生で習うようです。  「けいにく」に少し違和感を持ちました。新明解では「鶏肉」

          「豚」は 「ぶた」か 「トン」 か

          「フィーチャー」とは、

           真山仁の『疑う力』(文春新書1447 2024年3月20日第一刷)を読みました。  第三章「ミステリーの女王」を通して疑う力を養う が特に興味深いものでした。  アガサ・クリスティの作品『葬儀を終えて』を使い「嘘」「本当」「正直」などについて解説というか、説明というか、わかりやすくそして面白く書かれていて、斬新だなと思いました。 (慶應MMCの講座を基に再構成されたもので、口頭語で書かれていますから、読みやすいといえばそうかも知れません) 印象に残ったのが、次の一文です

          「フィーチャー」とは、

          「幸う」の読みと意味

           月刊誌『一冊の本』10月号 Point of view の欄で文筆家・文芸批評家の水上文が、芥川賞作家の李琴峰の最新作『言霊の幸う国で』を取り上げています。 「幸う」とあるのを見て、えっ、なんと読むの、そして意味は、何。 ルビが振ってあります。ルビがなければ、七転八倒 ものです。 「さきわう」 いままで、見たことも、聞いたこともありません、恥ずかしながら。 当然、常用漢字表に音・訓ともにこの読み方はありません。    新明解をひくと、きちんと見出し語で載ってあり、

          「幸う」の読みと意味

           英語優先? 喫煙所の表示

           近くの公園に喫煙所が設置されました。7~8人は楽に入れる広さです。空調も設置されています。来年から、路上での喫煙が禁止されるその対策の一環としてのことだと思います。  気になったのは、ドアの表示です。一番上に英語でSMOKING  AREA と書かれていて、それより小さく、順に、日本語、中国語、ハングルの順で書かれています。(当座はこれでいいのかもしれません。最近、ネパールの人、ベトナムの人、それ以外のアジアの人を多く見かけるようになりました)  外国の方が多く日本に来

           英語優先? 喫煙所の表示

           不思議、テレビの字幕

           以前から気になっていることがあります。それはテレビの字幕です。ニュースなどでの街頭インタビューで、字幕のつくことが多々あります。その中で特に気になるのが、観光地のお店の人たちが「お客さんに楽しんでいただきたい」と言っているにも関わらず字幕は「・・・楽しんでもらいたい」となってることです。発言をそのまま示さずに、なぜ変えているのか、よくわかりません。  「いただきたい」では相手ー観光客のことも意識して自分の気持ちも発言していると考えられます。しかし、「もらう」では発話者の気持

           不思議、テレビの字幕

          「本を出そう、・・・どうなった?」

           多くの人は、自分もそうですが、本を出してみたいと思っているのではないでしょうか。  そのことを応援する1冊。 『本を出そう、本を出そう、出したら どうなった?』 城村典子著 みらいパブリッシング 2024年7月10日初版第1刷  この本の中で私が一番気に入ったところは、ホモサピエンスはネアンデルタール人より弱かったにも関わらず生存したのは、ホモサピエンスのコミュニティが100人以上でネアンデルタール人のそれを大きく上回っていたことにより、社会性があり、集団内での知識を共

          「本を出そう、・・・どうなった?」

          「ひりつく」って、どんな意味?

           朝日新聞14日のスポーツ欄。「優勝争いで、ひりつく試合が続くが、・・・」    恥ずかしながら、この「ひりつく」という言葉、私の使用語彙どころか、理解語彙にもありません。こんな言葉、あるのかな。校閲はされているのだから、新たにできたのかな、などと考えましたが、五里霧中。「ひりひりすること」かと思われるのですが、「ひりつく」という語はあるのかなと疑心暗鬼で辞典を引きました。新明解(八版)、類語国語辞典に、ちゃんと見出し語で載っています。驚きました。知らなかった自分を情けなく思

          「ひりつく」って、どんな意味?

          Don’t be a sucker

           NHK の 「映像の世紀」、時々見ています。2日(月)は「プロパガンダ」を取り上げていました。番組の最後の方で手に手にプラカードを持ってデモ行進する人たちの映像が映し出されました。プラカードには Don’t  be  a  sucker  と書かれています。日本語で字幕が出ました。「だまされるな」。      「a  sucker  」に(は)なるな」、がどうして「だまされるな」になるのか。sucker  の意味を知らないので、早速英和辞典(ジーニアス5版)を引きました。

          Don’t be a sucker

          強まる、それとも、強くなる。

           台風10号が熱帯低気圧に変わりましたが、まだまだ雨に対する注意が必要です。    台風を伝えるニュースの中で気になったことがあります。   「風雨が強まる」と「風雨が強くなる」です。  同じ放送局であっても、「強まる」と言うアナウンサーと「強くなる」と言うアナウンサー。他の局でも同じ。面白い現象だなと思います。いずれの言葉を使っても、特に問題というものはないのですが、ただ何となく、各局とも、アナウンサーの研修はきびしくやっていて、言葉の使い方も同様がと思うのですが、統一さ

          強まる、それとも、強くなる。

          外国人介護職員

           先日、また、大学の公開講座を受講しました。テーマは「介護施設における外国人介護職員の現状と可能性」です。 現在、多くの介護施設では外国人介護職員が働いています。今後も増えていくでしょう。  やはり、気になるのが、言葉の壁、心の壁などですね。日本語能力検定の2,3級を取っていたとしても、仕事や日常生活はなかなか大変だというのは想像に固くありません。そして文化の違い等による、迷い、困難も当然あることも想像できます。これらのことが、外国人介護職員と接する日本人がどれだけ知ってい

          外国人介護職員

           本の挿絵

           加藤周一の『読書術』岩波書店同時代ライブラリーを持っています。1993年が第一刷で第8刷のものです。  先日、図書館のリサイクルコーナーに『読書術』があるのを見つけ、もらって帰りました。光文社のカッパ・ブックスです。昭和37年10月25日初版発行とあります。単行本で出版されて後、同時代ライブラリーに収められたものと思っていたのですが、カッパ・ブックスで出版されているとは思いも寄りませんでした。改めて同時代リブラリーの方を見るとあとがきの最後のところに「本書は、1962年1

           「やさしい日本語」とは

           ここ数年、夏の外出時にはボトルに冷やしたミネラルウォーターを入れて出かけます。熱中症対策です。買い置きがなくなったのでスーパーへ買いに行きました。驚きました。いつもの売り場にミネラルウォーターが1本もありません。売り場は空間になっていました。やむなくお茶を買うことにして、レジにゆきました。レジには外国の方。尋ねました。「水は、いつ、はいりますか」とゆっくり、はっきり、言いました。表情から、私のいったことは分かったようです。そして、ゆっくりと首を左右に振りました。(私のいった

           「やさしい日本語」とは