Don’t be a sucker

 NHK の 「映像の世紀」、時々見ています。2日(月)は「プロパガンダ」を取り上げていました。番組の最後の方で手に手にプラカードを持ってデモ行進する人たちの映像が映し出されました。プラカードには Don’t  be  a  sucker  と書かれています。日本語で字幕が出ました。「だまされるな」。
 
 
 「a  sucker  」に(は)なるな」、がどうして「だまされるな」になるのか。sucker  の意味を知らないので、早速英和辞典(ジーニアス5版)を引きました。
 ①だまされやすい人 
 ②[・・・に]夢中になる人  とあります。なるほど と納得です。面白いなと思いました。日本語では「だまされるな」だけですが、英語では「だまされやすい人」にはなるな、と「人」に焦点を当てた表現をしているように思ったのです。
 
 しかし、動詞だけの表現もあるのではと思い和英辞典(スーパアンカー4版)の「だます」を引いてみました。すると、3つの動詞が記載されていました。

①   trick    +  (目) (巧妙な策を作って)
②   deceive +  (目) (うそをつくなど人を惑わして)
③   cheat       +  (目) (詐欺など不正なやり方で)

騙し方(?)によって、用いられる動詞が違うのですね。

 これでは、日本語のような「だまされるな」という言い方をしようとすると、無理があるのだなと、一人勝手に納得した次第です。

 一方、日本語では「だます」以外に、どんな言葉があるのか。ちょっと気になりました。「騙る(かたる)」はすぐ思いつきましたが、その他は・・・

 『類語国語辞典』(大野晋+浜西正人著 角川書店)を見ると、なんと六十を超える単語が載っています。最近ではあまり聞かなくなった「騙かす」「騙くらかす」から「誤魔化す」、「まやかす」「晦ます(くらます)」、「引っ掛かる」「引っ掛ける」、「偽る」「欺く」・・・・・・。

 いやはや、日本語のほうが細かく分かれすぎです。それ故、これらの「語」の上位語が「だます(騙す)」があり、とりあえず、この一語で済ませられるのだなと、一人身勝手な解釈に、悦に入っています。

 どんな言語であれ、教えるとき、教わるとき、動詞について自動詞か他動詞かということも大事ですが、その動詞がどのような動き、状態などを表しているのか、表そうとしているのかということをよくよく考えてみる必要があるなと思った次第です。

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