現役高校生の前で話をするなら、


この前高校に遊びにいった。
高校生活はとっても楽しかったし、私立なので先生もほぼ変わらないし、3年間担任が同じ先生だったこともあって卒業しても定期的に遊びに行っている。

英語に特化した学科なので大学進学率も高かったけど、私がこの学校に行った理由は理数の授業が1年生で無くなることと制服が可愛いぐらいしかなかった。

あわよくば無難な文系大学に進学できればと思っていたけど、途中から今の仕事を本当にやりたい事に気づいた私は高校で学んだ勉強の全てから逸れて美術系の専門学校に進学した。

正直あの時は止められたし、

「とりあえず大学に行ってからにしたらどうか、」

「世の中はそんなに甘くないぞ」

と前例の無い動きをする生徒に対する先生の反応はなかなか厳しいものだった。


会社に所属する可能性も薄く、賃金もいくらか分からない。
"美術系" 、"芸術系" というなんとも食っていけなそうな仕事に進みたがる無知な高校生を見て、大学進学率の高い高校の先生が行ってらっしゃい!なんて快く送り出せるはずはないよな、と今なら納得できる。

今年で高校を卒業して6年になるけど、私は専門学校にしっかり2年通って卒業した。
社会人4年目になるけど今のところ仕事はとても楽しいので辞める予定も無い。

言い方は悪いが、これでも上手くいってる方だと思う。

学生の間に同じ学科の子は数人辞めたし、残ったメンバーの中でも卒業する段階で半分ぐらいはこの界隈の仕事に就く事が選択肢に無かった。
そしてあとの残り半分ぐらいはこの界隈に残り、安定したところに就職する子、フリーランスでやると決めた子が居た。

そんなにネットワークが広い方ではないので詳しくは分からないけど、今もフリーランスで続いてる子はたぶん8人ぐらい。
これでも私たちの代はかなり残っている方だと思う。


高校の先生が必死に私を説得したのはこの事だった、
私だってこっち側じゃなかった場合があったはずだ。


高校時代の私はまだ何も知らなかったけど、
「仕事をする」というのは簡単なことではない。
仕事内容や人間関係、環境、給料、割り切れる所やどうしても納得できない事が人それぞれある。

どんな生き方をしようと個人の自由だし、辞めるも続けるもそれぞれの人生。
とりあえず分かるのは、つらいと思ったらすぐにそこから逃げた方が良い。


今辞めずにここに居れば現状は維持できるから安心感がある、でもここから離れなければ良くも悪くも何も変わらない。

まだ社会人も3年しかやっていないが、3年生きてこれを学んだ。


「安定」や「慣れ」というものには安心感を抱きやすい。だからこそ、そこに浸かりすぎず、変化することを怖がらずに良い意味で雑に生きる。


そうしていればどんな未来になっても、なんとなく良い感じに楽しんでいけるような気がしている。

自分の未来は考えるけど、考えすぎてはいない。

高校に行くと「高校の時から最近の仕事についての話を生徒の前でしてほしい!」と言われる。

あの時は反対されたこともあったのに、上手くいってることが分かれば 私も "前例" になる。
まあ世の中そんなもんだよなと思う。

他人の成功した話なんか聞いても全然意味は無い。
高校生の時は授業時間を割いて卒業した先輩たちの話を聞いたこともあったけど、あれがありがたいのは授業の時間が減るから、ただそれだけ。

それぞれの勉強方法や時間の使い方、それぞれの未来の進み方、将来の夢、前例と似た環境に居る人はいるのかもしれないけど、結局自分の将来は他人の前例と同じではない。

他人の成功体験なんかに感化されてないで、誰に何を言われても曲げられないような自分の好きなものが1つでもあったり、自分はこれをやりたい、と折れずに言い続けられる何かがあれば現役高校生は十分すぎるぐらいだと思う。

私が現役高校生に話すとしたらこんな事を言ってしまうだろう、話終わった頃には絶望かドン引きの眼差しを向けられるんだろうな、そもそも私は人前で話をするのが本当に嫌いなので絶対やらない。

現役高校生に話してみたい事、おわり。

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