
映画『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(2019年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画タイトル:9人の翻訳家 囚われたベストセラー
原題:Les traducteurs
製作年:2019年 フランス・ベルギー
監督:レジス・ロワンサル
映画『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』は、
人気ミステリー小説の完結編の翻訳のためにある洋館に集められた9人の翻訳家をめぐるミステリーです。
『ダ・ヴィンチ・コード』と同シリーズの小説『インフェルノ』の出版の際のエピソードをモチーフにして作られたこの映画。複雑に進行するストーリーとその裏に秘められた創作への思いに心惹かれる1本です。
キャスト
・ランベール・ウィルソン(エリック・アングストローム)
出版社のオーナー
・オルガ・キュリレンコ(カテリーナ・アニシノバ)
ロシア語の翻訳者
・アレックス・ロウザー(アレックス・グッドマン)
英語の翻訳者
・エドゥアルド・ノリエガ(ハビエル・カサル)
スペイン語の翻訳者
・シセ・バベット・クヌッセン(エレーヌ・トゥクセン)
デンマーク語の翻訳者
・リッカルド・スカマルチョ(ダリオ・ファレッリ)
イタリア語の翻訳者
・パトリック・ボーショー(ジョルジュ・フォンテーヌ)
書店経営者 アングストロームの文学の師
映画『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』の見どころと感想

全世界で続編の出版が待たれているミステリー小説『デダリュス』 世界同時発売を目論む出版社は、情報漏洩を避けるために翻訳家たちを隔離して作業にあたらせます。
外との接触を一切絶たれ、毎日20ページずつ渡される原稿の翻訳を続ける9人。そんなある日、出版社に「冒頭10ページをネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ、次の100ページも公開する。要求を拒めば、全ページを流出させる」という脅迫メールが。
9人の翻訳家の中の犯人とはー。そしてなぜ原稿がー。
評)謎解き要素が薄まるとともに浮かび上がってくる人間ドラマ
これは絶対にネタバレ禁でお楽しみいただきたい映画です。
冒頭のアングストロームが誰かと面会しているシーンからずーっとミスリードさせられっぱなし。なので終盤にその相手が誰か、いや実はー、という展開には驚きました。ま、ミステリーに詳しい人にとっては物足りない展開かもしれませんが、私レベルには充分な大どんでん返しです。
しかしこの映画の見どころは、そうしたミステリー的な仕掛けではないとも思いました。
時間を行きつ戻りつしながら描かれる9人の翻訳家の背景。そしてそれぞれが翻訳という仕事に込める思い、さらにそれを金儲けの手段にしようとする出版者への怒りー。謎解きの要素が薄まるとともに浮かび上がってくる人間ドラマ。
そんな人間ドラマとしての一面を音楽が効果的に演出しています。バート・バカラックの名曲「世界は愛を求めている(What The World Needs Now Is Love)」ほか、ジャズを基調とした音楽がこの映画を単なる謎解きミステリーに終わらせない極上の余韻をもたらしています。音楽を担当したのはパリで活動する日本人アーチストの三宅純。
注目のキャストはイギリスの若手俳優アレックス・ロウザー(Netflixドラマ『このサイテーな世界の終わり』)
とにかくネタバレ禁でお楽しみください。
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