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映画『ミルク』(2008年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:ミルク
原題:Milk
製作年:2008年 アメリカ
監督:ガス・ヴァン・サント

映画『ミルク』は、

同性愛者であることを公表しアメリカで初の公職についた実在の政治家ハーヴェイ・ミルクの最後の8年を描きます。実写部分も多く映画的脚色は少なめ。淡白な仕上がりながら、そこにミルク本人の誠実さを感じる作品です。

ドキュメンタリー『ハーヴェイ・ミルク』(1984年)と合わせてどうぞ。

キャスト

・ショーン・ペン(ハーヴェイ・ミルク)
同性愛者の権利獲得のため選挙に挑む政治家

・ジョシュ・ブローリン(ダン・ホワイト)
ミルクと同期の政治家 敬虔なクリスチャンでミルクと対立

・エミール・ハーシュ(クリーヴ・ジョーンズ)
ミルクとともに政治活動を行う活動家

・ジェームズ・フランコ(スコット・スミス)
ミルクの恋人

・ディエゴ・ルナ(ジャック・ライラ)
ミルクの新しい恋人

・アリソン・ピル(アンネ・クロネンバーグ)
レズビアンの活動家

映画『ミルク』の見どころと感想

(C) 2008 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED

1970年代のアメリカNY。40歳目前のハーヴェイ・ミルクは18歳年下のスコットと恋に落ち、サンフランシスコに転居します。

同性愛者が多く暮らすカストロ・ストリートでカメラ店「カストロカメラ」を始めたミルクは地域に溶け込み、「カストロカメラ」は同性愛者やヒッピーたちのたまり場となります。

そこから同性愛者たちの権利の獲得を目指して公職に就くことを志すミルク。保守的なカトリック系住民や政治家と対立しながらも、徐々に支持を集めていきます。

一方私生活ではスコットと破局。新しい恋人ジャックができますが、ジャックはミルクが政治活動に没頭することで孤独にさいなまれ自死。

が、その後も政治家として躍進を続けるミルク。そんなミルクに複雑な思いを抱くダン・ホワイトはー。

評)同性愛をめぐる社会の問題を問うガス・ヴァン・サント監督の意欲作

実話をベースにしており、実写映像も多用されている本作。ストーリーもミルクが暗殺を予期して遺したテープ音声に沿って進行。ミルクの語りも実際の言葉が使用されています。

映画的脚色も少なく淡々とした印象の一方、同性愛者に向けられる歪んだ感情と、それが生み出した悲劇が重くのしかかってきます。

こりゃドキュメンタリーを見なくては!というわけで、『ハーヴェイ・ミルク(原題:THE TIMES OF HARVEY MILK)』(1984年)を鑑賞しました。

『ハーヴェイ・ミルク』

ダン・ホワイトによる殺害の動機は妬みと私怨。が、相容れない価値観を持つ者を排除しようとする社会とその中で行われた裁判にみる問題の根深さを痛感します。

カジュアルに”カミングアウト”という言葉を使ってしまいますが、この両作を見てはじめてカミングアウトの重さを知った気がします。そしてミルクが伝える”同性愛という問題が理解されればされる一方で「問題はないこと」と片付けられてしまう矛盾”は、今の社会にもある問題です。

監督はマイノリティーを力強く描く社会派ガス・ヴァン・サント。
ハーヴェイ・ミルクを演じるのはショーン・ペン。アウトロー的な渋い印象の強いペンですが、本作のやわらかい表情は実に新鮮です。ドキュメンタリーを見るとわかるのですが、ミルク自身ホントによく笑う人で、同性愛者だけでなく多くの支持者が集まったことにも納得。

その他のキャストも見どころたっぷりです。ジェームズ・フランコとディエゴ・ルナが若い恋人を。レズビアンの活動家のアリソン・ピルもイイ。ゲイコミュニティの中に新人時代のボイド・ホルブルック(ドラマ『ナルコス』ほか)の姿も。そしてダン・ホワイトのジョジュ・ブローリン。

映画『ミルク』とドキュメンタリー『ハーヴェイ・ミルク』、合わせておすすめです。

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