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映画『セバーグ』(2019年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:セバーグ
原題:Seberg
製作年:2019年 アメリカ・イギリス
監督:ベネディクト・アンドリューズ

映画『セバーグ』は、

映画『勝手にしやがれ』(1959年・フランス)でヌーヴェルヴァーグの寵児となった女優ジーン・セバーグを描くサスペンス。

政治活動をめぐってFBIの監視対象となり執拗な盗聴とプライバシーの暴露によって心を病んでいくセバーグをクリスティン・スチュワートが熱演。単なるファッションアイコンではないセバーグを再認識する1本です。

キャスト

・クリスティン・スチュワート(ジーン・セバーグ)
アメリカ人女優 フランス映画『勝手にしやがれ』で人気に

・ジャック・オコンネル(ジャック・ソロモン)
FBI捜査官

・アンソニー・マッキー(ハキーム・ジャマル)
公民権運動家

・マーガレット・クアリー (リネット)
ジャックの妻

・コルム・ミーニイ(フランク・エルロイ)
FBI上官

・イヴァン・アタル(ロマン・ガリー)
セバーグの夫

映画『セバーグ』の見どころと感想

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1960年代後半、フランスで成功をおさめた女優ジーン・セバーグは、アメリカ国内での公民権運動に共感。急進派のブラックパンサー党らに多額の寄付を行ったことからFBIのコインテルプロ(初代FBI長官ジョン・エドガー・フーヴァーによる極秘プログラム。潜入、盗難、電話盗聴、家宅浸入などの違法な調査が行われていた)の対象となります。

セバーグは公民権運動家ハキーム・ジャマルと不倫関係になり、FBIはジャマルの妻を巻き込んで関係を暴露。セバーグは精神的に追い込まれるようになります。

一方、アメリカでの映画の仕事はパッとしない。そんななかセバーグは子どもを授かります。

が、子どもの父親は夫ロマン・ガリーではないという噂を流されたセバーグはー。

評)クリスティン・スチュワートの暗い瞳に蘇る本当のジーン・セバーグ

ジーン・セバーグというと映画『勝手にしやがれ』(1959年)の印象。

映画『勝手にしやがれ』

警官殺しで逃亡中のチンピラ(ジャン・ポール・ベルモンド)とアメリカ娘(セバーグ)の逃避行を描くジャン・リュック・ゴダール監督の長編デビュー作で、既存の映画手法を打ち壊した斬新な映像がのちの映画界に大きな影響を与えたエポックメイキングな作品です。

本作(『セバーグ』)の中で、FBI捜査官たちが「フランスじゃ大物」といい、セバーグ自身も「パトリシア(勝手にしやがれのヒロインの名)が人気だっただけ」というように、『勝手にー』以降はヒット作に恵まれなかったセバーグ。西部劇のミュージカル(映画『ペンチャー・ワゴン』のことと思われます。クリント・イーストウッドも出演) のオファーに対し「いまの時代に?」と不満をもらしながらも、こうした不本意な仕事をこなさなければならなかった。公民権運動への傾倒は政治信条というよりも、満たされない”渇望”からだったのか。ジャック・オコンネル演じるFBI捜査官にもその思いが見え隠れします。

うつ病を患い、失踪の後遺体で発見(自殺と思われる)されたセバーグ。その事実に向かっていく映画の中のセバーグをクリスティン・スチュワートが熱演しています。

映画『悲しみよこんにちは』(1958年)でトレードマークとなったセシルカットと60年代のレトロなファッションでセバーグを再現する一方、時代を超えファッションアイコンとなったジーン・セバーグからはうかがい知ることのできない「闇」がスチュワートの暗い瞳に映し出されています。ぜひ。


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