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映画『誰でもない女』(2012年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:誰でもない女
原題:Zwei Leben
製作年:2012年 ドイツ・ノルウェー
監督:ゲオルク・マース

映画『誰でもない女』は、

第二次世界大戦時、ドイツ占領下のノルウェーでドイツ兵との間に生まれた一人の女性の数奇な運命を描くサスペンス映画です。

ナチスドイツによる人口増加計画「レーベンスボルン」によって終戦後も苦悩し続ける女性とその家族。戦争が残した傷はあまりにも深くー。

キャスト

・ユリアーネ・ケーラー(カトリーネ)
ノルウェー人女性とドイツ兵の間に生まれた女性 母と引き離されドイツの施設で育つ

・リブ・ウルマン(オーゼ)
カトリーネの母

・スベーン・ノルディン(スヴェン)
カトリーネの夫 海軍士官

・ジュリア・バッシェ・ヴィーク(アンネ)
カトリーネの娘

・ケン・デュケン(ビヤルテ)
カトリーネに、ある訴訟の証人の依頼する弁護士

映画『誰でもない女』の見どころと感想

ドイツの施設で育ったカトリーネ。終戦後ノルウェイに亡命し、再会した母、夫、娘や孫に囲まれて幸せな日々を送っていました。

そんなある日、カトリーネと母のもとをひとりの弁護士が訪ねてきます。戦時中にドイツ兵の子どもを産み、そのことで迫害をうけた女性がノルウェー政府に対して起こした訴訟の証人になってほしいと。

が、カトリーネはこれをかたくなに拒否します。その裏にはカトリーネ自身の隠された過去がー。

評)「レーベンスボルン」が残す傷跡とは

第二次世界大戦下、ドイツ民族の人口増加と純血性の確保を目的としてナチスドイツは人口増加計画を実施。「レーベンスボルン」は、その母子施設でした。

当初はドイツ国内だけの計画もヒトラーの考えにより北方人種を巻き込むようになり、占領下のノルウェー人女性にドイツ兵の子どもを産ませるようになっていきました。が、ドイツが降伏したのち、母親たちは母国ノルウェーで敵対協力者として処分され、多くの女性が収容所送りに。そしてドイツに連れ去られ施設で育てられた子どもたちも終戦後は恣意的な検査によって知的障害とみなされ、母親との再会を果たせぬまま亡くなった人も多いといいます。

この映画を見るまで、恥ずかしながら私はこのことを知りませんでした。この「レーベンスボルン」の事実だけでも心に重くのしかかります。が、カトリーネの過去だけでも充分つらい、と思っているところに、さらに追い打ちをかけるように驚きの展開がー。

カトリーネが意味深な変装をして空港にあらわれる出だしから驚愕のラストまで、どこをどう切り取っても心の安らぐことはないこの映画。ぜひ、ネタバレなしで見ていただきたい1本です。


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