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映画『ザ・サークル』(2017年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:ザ・サークル
原題:THE CIRCLE
製作年:2017年 アメリカ
監督:ジェームズ・ポンソルト

映画『ザ・サークル』は、

IT企業に就職した女性が自らの24時間をネットに公開し「隠し事のない世界」の実現を目指す姿を描いた映画です。ネットに自分を晒す「隠し事のない世界」は本当に平和なのかー。

キャスト

・エマ・ワトソン(メイ・ホランド)
大手IT企業「サークル」の新入社員

・トム・ハンクス(イーモン・ベイリー)
「サークル」のCEO

・ジョン・ボイエガ(タイ・ラフィート)
「サークル」の創設者のひとり

・カレン・ギラン(アニー・アラートン)
メイの同僚

・エラー・コルトレーン(アーサー)
メイの地元の友人

映画『ザ・サークル』の見どころと感想

STX Entertainment / Photofest / ゲッティ イメージズ

コールセンターでクレーム対応の仕事に就くメイ。アーミッシュな暮らしをおくる両親のもとに育ちますが、父は半身不随の障害を抱え母はその介護。そんな両親を経済的に支えたいと願うメイは、友人アニーの口利きで大手IT企業「サークル」に転職します。

同社のSNS「トゥルーユー」の顧客サポート担当に就いたメイは、社内のコミュニティ活動にも積極的に参加し、自身のSNSアカウントを開設します。

そんなメイのもとに旧知の友人アーサーが訪ねてきます。アーサーが”鹿の角”で作った手作りシャンデリアの画像をメイがSNSに上げたことが原因で「鹿殺し」と中傷され殺害予告まで受けていると。メイの弁解も及ばず、アーサーはメイと距離を置くようになります。

ある日、趣味のカヤックで事故を起こしたメイ。このことがきっかけとなり、SNS専用の超小型カメラ「シーチェンジ」を用いたプロジェクトに抜擢されます。

「他人に知られて不都合なことー「隠し事」があるから世の中が悪くなる、隠し事のない世界になれば争いもなくなる」、というベイリーの信念に共感したメイは、「シーチェンジ」を装着して自身の24時間を公開することにー。

自分自身だけでなく、両親のプライバシーまでもすべて公開するメイ。「透明化」によって一躍有名になったメイは、社内の重要会議にも出席するようになり、公的選挙の投票にもリンクさせられるよう「サークル」への加入の義務付けなどを提案します。

そして「サークル」は、SNSを使って行方不明者らを捜索する新サービス「ソウルサーチ」を立ち上げます。プレゼンの壇上に立つのはメイ。メイの呼びかけによって逃走中の犯罪者を10分足らずで探し出すことに成功し、次なるターゲットは一般人にー。

「アーサーを探そう」と聴衆に煽られたメイはー。

評)ネットに自分を晒す「隠し事のない世界」は本当に平和なのか

「隠し事のない世界」が平和なんでしょうかね。

この会社のCEOとは絶対に話が合わんな、ワタシはー、と思って見ていたら、案の定お偉いさんたちはしっかり隠し事をもっているんですよ。

で、それを暴こうとするのが、創始者のひとりでありながら閑職に追いやられているタイ・ラフィート。何かやってくれそうな「顔」のジョン・ボイエガです。今回はチョッと活躍してくれます。

「見られていないと思ったから悪いことをしてしまった」と、カヤック無断拝借―転覆事件を反省するメイですが、このあたりの考えの単純さが逆に恐ろしい(だからズル賢いCEOたちにつけこまれるわけですが)。

「人に見られていると悪いことをしない」って、そんな簡単な話じゃないでしょうにー、と、人が見ていようと見ていまいと、悪いことを(もちろんいいことも)してきたワタシは思うのです。

誰にも見られない、見せられない自分の善も悪も引き受けること、それが「自分を生きる」ということではないのか。ネットの中には聞こえのいい言葉も多くて、素直な人ほど影響されてしまうんだろうけど、よく考えないとトンデモナイことになるよ、という警鐘にはなっているのでしょうね、この映画。

ですが、「ネットは怖いよ」「監視社会ってヤダね」「プライバシーを守ろうね」という人間らしい着地点ではなく、隠し事のない世界が広がるブラックなラスト。

とっても気持ち悪い映画です。

エマ・ワトソン、トム・ハンクスという豪華キャストに見合わないB級感(映画のキャッチコピー は”『いいね!』のために、生きている。”)も見どころの一つです。


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