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映画『ハッカビーズ』(2005年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:ハッカビーズ
原題:I LOVE HUCKABEES
製作年:2005年 アメリカ
監督:デヴィッド・O・ラッセル

映画『ハッカビーズ』は、

あらゆるハッピーを提供するスーパーマーケット「ハッカビーズ」を舞台に、エリート社員であるブラッドやその恋人、環境保護活動家の青年、消防士らが「幸せとは何か」「人生の意味とは何か」を求めていく映画ー、なの?

ジュード・ロウをはじめとする豪華キャストのパケ写のイメージとは全く異質の映画です。

キャスト

・ジェイソン・シュワルツマン(アルバート・マルコヴスキー)
環境保護団体で働くオタク青年
詩を朗読することで環境保護を訴える活動を行っている

・ジュード・ロウ(ブラッド・スタンド)
「ハッカビーズ」のやり手社員

・ダスティン・ホフマン(ベルナード)
妻ヴィヴィアン(リリー・トムリン演)とともに「哲学探偵」として、実存主義の立場から人生の悩みを助けている

・ナオミ・ワッツ(ドーン)
ブラッドの恋人 ハッカビーズのキャンペンモデル
ブラッドとの関係に行き詰まりを感じている

・イザベル・ユペール(カテリン)
フランス人思想家 虚無主義的立場

・マーク・ウォールバーグ(トミー・コーン)
脱石油を訴える消防士 消防車にも乗れず自転車で火事現場に向かう

映画『ハッカビーズ』の見どころと感想

FoxSearchlight/Photofest/ゲッティイメージズ

ハッカビーズの新店舗の建設に協力している環境保護活動家のアルバートは、自身の活動がスタッフに理解されず、広報担当のイケメン社員ブラッドを快く思っていません。

そんな鬱屈したある日、アルバートはまったく別の場所で3度も同じアフリカ系黒人青年に出会い、「これは何か人生における重要な暗示なのでは?」と思いから哲学探偵を訪ねます。

依頼を受けた哲学探偵夫婦は状況を把握するためにアルバートを尾行、監視し続けます。しかし、アルバートの心の問題は一向に解決しないどころか、むしろ悪化。同じセラピーを受けているエコロジストの消防士トミーと意気投合し、黒人青年を養家を訪ね、近代的な生活(というか、ごく普通の生活です)を営む養父を偽善者呼ばわりしトラブルを起こしてしまいます。

そんな中、哲学探偵とは全く正反対の立場をとるフランス人の思想家カテリンと出会います。カテリンに連れられて両親のアパートを訪れたアルバートは、幼少期の母親との関係に悩みの原因があることを指摘されます。

アルバートとトミーだけでなく、ブラッドやその恋人ドーンもまた「生きる意味」を求めて迷走しー。

評)これがハッピーというのならー。「幸せ」って案外幅広い!?

パケ写を見て「おっ、これは泉ピン子が2時間ドラマでやっちょるようなアレか!」と思って期待して鑑賞したのですが、2時間ドラマ的要素はまったくなし。もちろんピン子も登場しません。

全編「人はなぜ生きるのか?」という哲学的問いです。

ダスティン・ホフマン演じる哲学探偵が毛布の部分部分をつまんで、「ここに〇〇がある、こっちのほうに△△がある、でもー」と説明。そしてその毛布をパッと広げ、「違っているように見えても、すべてはつながっている」という「毛布の理論」を説くんです。

なんじゃそりゃ! なんじゃそりゃですけど、何となくわかります。悩みには原因やつながりがあって、それを知ることが解決の糸口になるー、というような教えです、よね多分。

一方のカテリンは「つながりはない」と言い、「人間の苦しみはなくならない。逃げることもできない。生きるってことは欲望を伴う残酷な喜劇」と説きます。(私はこっちのほうに同感です)

ラストには、この両者の関係が分かるオチがあって、上手くおさまった風にまとめられています。

「幸せになれる、すべてのものが、ここにある『ハッカビーズは、ハッピー・マーケット』」いやいや、これがハッピーというのなら、ほとんどの状況はハッピーでしょうって。「幸せ」って、案外幅広いのかもしれませんね。


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