映画『エデンより彼方に』(2002年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画『エデンより彼方に』は、
1950年代のアメリカ、コネチカット州を舞台に差別や偏見が当たり前の社会の中、本質的な愛を得ようとする”理想の主婦”を描くドラマ映画です。
50年代のメロドラマを再現する衣装、撮影、編集、音楽のなか、現代的な問いを突き付ける1本です。
キャスト
・ジュリアン・ムーア(キャシー・ウィテカー)
テレビメーカー重役の妻 2児の母
・デニス・クエイド(フランク・ウィテカー)
キャシーの夫
・デニス・ヘイスバート(レイモンド・ディーガン)
ウィテカー家の庭師の黒人
・パトリシア・クラークソン(エレノア・ファイン)
キャシーの友人
・ヴィオラ・デイヴィス(シビル)
ウィテカー家のメイド
映画『エデンより彼方に』の見どころと感想
1957年、ハートフォードに暮らす主婦のキャシー。TVメーカー重役の夫と2人の子どもとに恵まれ”理想の主婦”として幸せな日々を過ごしていました。
が、ある日、夫のある秘密によって生活は一変。さらにキャシーは黒人の庭師レイモンドと一緒にいるところを好奇の目で見られるようになりー。
評)なくならない差別や偏見に麻痺した自分を思い知る
ホントに1950年代の映画では、と思うほどクラシカル。
サンディ・パウエル(『恋におちたシェイクスピア』『女王陛下のお気に入り』ほか)の衣裳、インテリアや雑貨、車も完璧な50年代。
紅葉の絶景と役者の表情をしっかりと捉える撮影、ディゾルブなどオプティカルな手法を多用した編集、エルマー・バーンスタインの音楽など「いま私、映画を見てるんだ!」を実感させる映画的演出の強さもハリウッド黄金期を彷彿させます。
その中で主人公のキャシーを演じるジュリアン・ムーアが圧巻。この時代の人か!?と思わせるほどマッチしてます。(しかも妊娠中だったようで、後半かなり体型が変わります。)
問題はやや退屈なストーリー? 50年代のダグラス・サークのメロドラマを現代的にアレンジした本作。同性愛が病気と見なされ、黒人対する差別も酷かった時代にそれらの問題に直面しながらも自分の正義を貫こうとするキャシーの姿に現代的な価値を見いだせる話ではあるものの、何か物足りない。
ここから70年余りを経た2020年代の今。同性愛や黒人への差別、偏見はなくなったのか。
今も変わらず続いています。むしろ、もっともっと煽情的に描かれる映画も多く、差別の酷さや無理解に慣らされてしまっているようなー。
あ、この映画に退屈さや手ぬるさを感じてしまったのだとしたら、そりゃ麻痺してしまっている私の問題かもしれません。
本質的な「愛」とは何かー。蔑視や麻痺を乗り越えて考えなければならないことを突き付ける映画『エデンより彼方に』 ぜひ。
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