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【映画日記】若き日の恥ずかしい記憶が刺激され過ぎる『ディーバ』

2023年12月6日

「映画好き」といっても見ていない名作やヒット映画が多々ある。「えっ、アレ見てないの?」という一言はネットの”映画好き界隈”では炎上のもとだけれど、自分に対して言うのはいいだろう。「えっ、映画好きなのにコレ見てないの?」 そんな映画『ディーバ』(1981年)

パリで暮らすオペラ好きの郵便配達員の青年が、闇組織の陰謀に巻き込まれる(超ザックリです、スイマセン)という話。

もうストーリーがどうだの、演技がどうだのじゃない。キャストも全員知らん。オープニングからスタイリッシュな映像と音楽にクラクラしてしまう。ため息が出っぱなし。このため息をつかずにはいられない気持ちがラブストーリーと逃走劇とバイオレンスでさらに大変なことになる。で、ちゃんとまとまっている。なんだコレは。

監督は後に『ベティ・ブルー』(1986年)を撮ったジャン=ジャック・ベネックス。1980年代にレオス・カラックス、リュック・ベッソンらとともに「Enfant Terrible=恐るべき子供たち」と形容された。(ベネックスは『ベティ・ブルー』以後3本の映画を撮ったのみ。2022年1月に病気で他界)

『ベティ・ブルー』は正直”愛”が狂気過ぎて、いまだ見直す気になれないのだけれど、今回『ディーバ』を見て1980年代当時の衝撃を思い出した。若かったのだ、私。ミニシアターブームの中、ハリウッド大作映画ではなくこうした映画を見ていることがお洒落だと思っていた。そして「映画は一人で見るものだから」とカップルで映画を見に行く人たちをバカにしていた。「よくわからないけどスゴイものを見た」という気持ちを素直に吐き出せずこじらせていたのだ。お恥ずかしい。

「ほら、よく見てごらん。一見バラバラに見えるモチーフが対をなしていてね……、ココ、ココなんてちょっとヒッチコック風よね、小物使いやキャラクターにサブカルの匂いもするよね」と、今の自分が30数年前の自分に語り掛ける。いや、そんな今の自分も充分に恥ずかしいな。「なんかスゴイものを見た」これでいいじゃねぇか。


Wordpressからnoteへ記事を移しながら、過去に自分が書いたものをザっと読み返す。こんなことを考えていたのか、と恥ずかしくなるものもある。

中でももっとも恥ずかしいのはアクセス狙いでSEOを意識しまくった記事。「いかがでしたでしょうか」と書かないまでも、そんな気満々なのがわかる。が、そう多くはなかった収益を支えてきたのもこれらの記事。お疲れさまでした。noteには連れて行かないので、PC内でゆっくりお休みください。

この判断もいつか恥ずかしいと思ったりするのだろうか。






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