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映画『クーリエ:最高機密の運び屋』(2021年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:クーリエ:最高機密の運び屋
原題:The Courier
製作年:2021年 イギリス・アメリカ
監督:ドミニク・クック

映画『クーリエ:最高機密の運び屋』は、

キューバ危機の回避につながった2人の人物を描く実話を基にしたサスペンス映画です。
イギリス人セールスマンとソ連の内通者。スパイものとしてのスリルとヒューマンドラマとしての見どころもたっぷりの1本です。

*キューバ危機とは
東西冷戦下の1962年10月、キューバにソ連のミサイル基地が建設されたことをつかんだアメリカ政府。核兵器の配備を防ぐため海上封鎖を発表。ソ連はこれに対し艦隊を派遣。米ソ間の武力衝突の危機が生じた。

キャスト

・ベネディクト・カンバーバッチ(グレヴィル・ウィン)
イギリスのセールスマン

・メラーブ・ニニッゼ(オレグ・ペンコフスキー)
ロシア連邦軍 情報局大佐

・レイチェル・ブロズナハン(エミリー・ドノヴァン)
CIA職員

・ジェシー・バックリー(シーラ・ウィン)
グレヴィルの妻

映画『クーリエ:最高機密の運び屋』の見どころと感想

(C)2020 IRONBARK, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

1960年工業製品を扱うイギリス人セールスマンのウィンは”運び屋”の役割を引き受けることになります。依頼主はMI6とCIA。頻繁に東欧に行き来しているウィンに任されたのは、ソ連での販路の拡大の名目の裏でソ連側の内通者と接触し情報を持ち帰ってくるという任務でした。

一旦は拒否するウィン。しかし、詳しい内容は知らされないまま半ば強制的にモスクワへ送られます。

ソ連側の内通者は政府高官のオレグ・ペンコフスキー。フルシチョフ(第一書記)がアメリカに対し核の使用も辞さない姿勢でいることに危機感を募らせたオレグは、ウィンの仲介でMI6とCIA(エミリー)と接触。西側への情報提供を申し出ます。

その後、自身の任務が核戦争に関わることと知るウィン。家族のことを考え任務を降りようとしますが、自宅を訪ねてきたオレグの説得により覚悟を決めます。

1962年、キューバにソ連の核配備が決定。オレグはウィンを通じ機密情報を西側に提供し続けますが、そんなオレグの行動がKGBに怪しまれー。

評)核戦争の危機を救った人間同士の絆

歴史的危機の回避の裏にこんなことがあったとはー。

オレグ・ペンコフスキーについては、NHKの『世紀の映像 バタフライエフェクト』(「キューバ危機 世界が最も核戦争に近づいた日」)にも取り上げられています。その命がけの行動に”HERO”というコードネームが与えられたと。

この映画はそのオレグの協力者となったウィンが主人公です。民間人ですよ。フツーのセールスマン。こんな人がいたのも驚きですが、民間人を使う計画自体が驚きです。しかも、民間人を使っておきながらサポート薄くないですか!?

終盤のネタバレはしたくないのですが、ウィンはトンデモナイ窮地に追い込まれます。CIA職員も捕らえられはするのですが、”外交特権”で国外追放で放免されるんですよね。なのに民間人は……。

とにかくカンバッチさんの熱演がスゴイ。悲愴過ぎる終盤もさることながら、序盤のよくわからないままに任務を引き受けてしまう人の良さ。家族にも任務に就いては話すことはできないので妻(ジェシー・バックリー良き!)にも冷たくされてしまう寂しさ。そして平和を願うオレグに共感せずにはいられない情け深さ。そんな人間臭いウィンにどんどん魅せられていきます。「はよ、なんとかしてやらんかいっ!」ですよ、まったく。

映画のラストでは、実際のウィンとオレグのその後が描かれています。そちらを含めて、映画『クーリエ:最高機密の運び屋』をぜひ。

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