
映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021年)のザックリとしたあらすじと見どころ
映画タイトル:パワー・オブ・ザ・ドッグ
原題:The Power of the Dog
製作年:2021年 イギリス・オーストラリア・アメリカ・カナダ・ニュージーランド
監督:ジェーン・カンピオン
映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は、
1920年代のアメリカ西部モンタナ州を舞台に、典型的ホモソーシャルに身を置く兄と対照的な弟、その後妻、継子の緊迫した関係を描くヒューマンサスペンスです。
残忍で執拗な兄にベネディクト・カンバーバッチ。その名演とねちっこい描写に想像力を掻き立てられる1本です。アカデミー賞監督賞受賞作品。
キャスト
・ベネディクト・カンバーバッチ(フィル・バーバンク)
牧場主
・キルスティン・ダンスト(ローズ・ゴードン)
レストランを営む未亡人
・ジェシー・プレモンス(ジョージ・バーバンク)
フィルの弟 ローズと再婚
・コディ・スミット=マクフィー(ピーター・ゴードン)
ローズの息子
映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』の見どころと感想

1920年代のモンタナ州。カリスマ的魅力を放つ牧場主のフィル。が、一方で女性や移民に対し差別的な発言や態度で、それは対照的な性格の弟ジョージにも向けられています。
そのジョージがレンストランを営む未亡人のローズと再婚。フィルとともに暮らすようになったローズのもとに、都会暮らしの大学生の息子ピーターが訪れるようになります。
自分とは価値観の違うローズ親子の存在を脅威に感じるフィル。敵視だけでなくピーターの妖しい魅力にひかれるようになりー。
評)ミソジニーに対する復讐か断罪か救済か 妄想を掻き立てる傑作
カンバーバッチ演じるフィルのミソジニーっぷりにムカッと来るんですが、このフィルがどんどん絡めとられていくんですよ、妖しい事態に。映画はその妖しさを遠慮なく映し出してくれるので、どんどん妄想が膨らんで、もうとまらない。
風呂には入らんクセにたびたび池で遊ぶフィル。フィルにはブロンコ・ヘンリーという憧れの人物がいるのですが、恩師のようなものかと思っていたら、どうもそうでもないらしく、形見? の布を片手に池に入りゴソゴソ。山の形へも異様なこだわりを見せる。街に戻るピーターのために編む縄。すべてがどエロイ! そう見えてしまう自分がおっかしいんじゃないかとも思いましたが、たぶんそうじゃない。意図的なんですよ。馬までもエロく見えるような撮り方をしてニクいっ!
フィルの身に起こることは、単なる「復讐」を超えたミソジニーへの「断罪」のよう。さらにあの世界の境地に至ったと捉えれば「救済」だったとも思える。
いつもは紳士然としているカンバーバッチが、文字通りいろんな姿を見せてくれます。ダンスト、プレモンスは息もピッタリなご夫婦。キーとなる息子ピーターのコディ・スミット=マクフィーは妖しさ全開。『アメホラ』でおなじみのフランセス・コンロイの姿も。
惜しくも作品賞は逃したものの同年のアカデミー賞の中心となった映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ぜひ。
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