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映画『アイ・アム・サム』(2001年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:アイ・アム・サム
原題:I Am Sam
製作年:2001年 アメリカ
監督:ジェシー・ネルソン

映画『アイ・アム・サム』は、

知的障害を持つ父と幼い娘の絆を描くヒューマンドラマです。
親子を演じるショーン・ペンとダコタ・ファニング、そしてビートルズの名曲のカバーが見どころ。

そしてこれはファンタジーです。

キャスト

・ショーン・ペン(サム・ドーソン)
スターバックスコーヒー勤務 知的障害者 一児の父

・ミシェル・ファイファー(リタ・ハリソン・ウィリアムズ)
親権争いを担当する弁護士

・ダコタ・ファニング(ルーシー・ダイアモンド・ドーソン)
サムの娘 

・ダイアン・ウィースト(アニー・カッセル)
サムの隣人 広場恐怖症

・ローラ・ダーン(ランディ・カーペンター)
ルーシーの里親

・ロレッタ・デヴァイン(マーガレット・キャルグローブ)
福祉担当者

・リチャード・シフ(Mr.ターナー)

検事

映画『アイ・アム・サム』の見どころと感想

交際相手の出産によって一児の父となったサム。サムは7歳程度の知能しかない障がい者。子どもを産んだ交際相手は姿を消してしまい、サムは一人で子育てすることに。

ビートルズの大ファンのサムによってルーシー・ダイヤモンドと名付けられた娘。その後7歳となったルーシーは、サムがほかの父親たちとは違うことを感じながらも変わらぬ愛を抱いています。

しかし、周囲はサムによる子育てはこれ以上無理と判断。ルーシーを施設に保護し里親を探すよう促します。

親権をめぐる裁判のためサムは有名弁護士のリタを訪ねます。当初まったく相手にしなかったリタですが、無償で引き受けることが自身のイメージアップにつながると考えサムの支援に乗り出します。

そんなリタ自身も息子との距離に悩んておりサムの弁護を通じて心を動かされていきます。

裁判はサムの障害者の友人や広場恐怖症を乗り越えて裁判所に出向いたアニーらの証言もむなしく苦戦。そしてルーシーは里親に預けられることになりー。

評)これはファンタジーなのだ、と言い聞かせて観るべし

知的障害者の子育てというトンデモなくヘビーな問題を描いたこの映画。「心温まるヒューマンドラマ」と”感動”するだけでいいのだろうか、というモヤモヤがぬぐえません。

社会派ドラマとして見ればアラだらけのストーリー(子どもがあの年までよく育ったな、サムの経済力ってすごくない?でもこのままじゃヤングケアラーに……)なんですが、そんなツッコミをしてはいけない美談の力。いや、これはフィクション。これはファンタジーなのです。

主人公サムを演じるショーン・ペンは文句なしに上手い。実在の同性愛者を演じた『ミルク』(2008年)でも見せた、役作りをしてもやり過ぎに見せない演技はさすがです。

そして子役にしか出せない魅力あふれるダコタ・ファニング(その後、女優としても成長し『宇宙戦争』『ワン・ハリ』ほかに出演)。ちなみに幼少期のルーシーを演じるのは妹のエル・ファニング。姉妹揃って顔面の天使度が凄すぎる。

いい女ミシェル・ファイファーも良し。ダイアン・ウィースト、ローラ・ダーンはさらに良し。見るきっかけとなったビートルズのカバー(後述)も期待以上。美しいものを美しく撮るカメラ、演出も好感。サムの友人の一人に映画マニアがいてチョイチョイ『クレイマー、クレイマー』をぶっ込んでくるのも最高。

こんなに高評価なのに、どうしても自分の中の何かと折り合いがつかないというかぎくしゃくしてしまうのです。社会派ドラマじゃない、ファンタジーなのだ。だからわかりやすく福祉行政を悪に据えても、丸く収めた感ありありのハッピーエンドも許されるのです。

そういうことにしておこう。これはファンタジーなのだから。


というわけで、ここからはこの映画を見るきっかけとなったビートルズのカバーについて。

ストーリーにもビートルズの大ネタ小ネタが満載のこの映画。当初はビートルズの原曲を使用する予定が、権利や手続きのなんやかんやでそれを見送ることになり、カバーで、ということになったそう。

が、原曲の予定で映画は作られているのでカバーも長さやテンポは原曲通りに、という条件が付けられたと。なるほど。アレンジしすぎていないのも納得です。

愛娘にルーシーと名付ける「Lucy in the Sky with Diamonds」ほか、「Blackbird」「Strawberry Fields Forever」(この曲が使われたシーンはホントに美しい)「Golden Slumbers」(カバーはベン・フォールズ!)ほか名曲揃い。

サントラは映画では使用されなかった曲も収録された全20曲、これは買いです。

映画『アイ・アム・サム』 ビートルズの名カバーとともにぜひ。


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