『JOKER』をみた
JOKERを見た。いろいろ解釈が分かれそうな話で(それを意図してるんだろうけど)、考察サイトとか元ネタ解説とか見るにも一先ず思ったことをまとめておいた方が良さそうな気がしたので書く。
ちなみに僕はJokerについての知識≒0。バットマンについても限りなく無知。一応ダークナイトは見た。三部作の真ん中だけ見たっていうやばいやつ。あとはゲームのトレーラーでアーカムナイトだかシティだかの映像をちらっと見たり、たまにYoutubeのおすすめに出てくる「ヒースレジャーの演技力すげー!」みたいな動画を見ている程度。俗にいうミリしらってやつ。
そういうノリで書いていく。よって、ちゃんとしたJokerの(っていうかDCの、ってとこまで範囲を広げた方がいいかもしれない)ファンは読まない方が良さそう記事になっております故、留意のほどよろしくお願いいたします。
オチの派閥
考察サイトは見てないみたいな雰囲気を出したけど、実はちょっとだけ見た。でもそこまで他人の意見に染まらないように薄目で見た。
しかし薄目で見てもわかる程度には、結末をどう解釈してるかはかなり分かれており、喧々諤々の議論がなされていたようで。
ざっくり分けると「事実オチ(そんな言葉はない)」か「妄想オチ」か、ってところ。確かに両方あり得るし、両方あり得るって時点で妄想オチの方が圧倒的に有利。
まず、この作品にはずるいところがある。それは飽くまでもJoker――アーサーの視点で語られているということ。アーサーは明らかに精神病であり、それも妄想たくましくなってしまう類のもので。西條拓巳と仲良くなれそう。ギガロマニアックスになったアーサー、見てみたいかも~!
閑話休題。
つまりこのままでは、どのカットが現実で、どのカットが妄想なのかを確定させることができない。故に「この話全部妄想!閉廷、以上!解散!」ってなるのが一番手っ取り早い。だってわかんないもん。よう知らんけど、ドグラ・マグラってそういう構造らしいですね。知らんけど。
ただ、それだとつまらない。ちょっと面白いけど、それだけ。
ということで、これから、「ぼくがかんがえたさいきょうのじょーかー」をつらつらと連ねていく。
一応ストーリーに沿って書いていこうとは思うけど、書きながら気になった方向に自由なハンドリングで駆け巡るので流れがぐちゃぐちゃになるでしょう。(追記:なってました。)
市のカウンセリング
多分本当。でもラストシーンのせいでよくわかんなくなっちゃう。
最初のカウンセラーも、妄想で得た偽りの彼女も、最後のカウンセラーも、あとカルテ見せてくれた事務員さんも、みんな黒人なんだよな。心の拠り所、とまではいかなくても、少なからず協力的な態度を見せていたのはみんな黒人。この文書きながらアーサーの人間関係振り返ってみたけど、マジで親切にされてねえなこの男。あの小人くらいか? でもあれ親切にしたっていうか否定しなかったって感じじゃない? それをすら優しくしてくれたって感じちゃうアーサーの感受性……可哀そうな男だよほんとに。
気を抜くとすぐ話がぶれるのが僕の悪いところです。読みにくいだろうけど書いてるときはこれが最高に楽しいんです。ごめんなさい。
ということで話を戻すと、アーサーに親切な奴全員黒人説があってぇ(反例あり)、それが全部アーサーの作ったストーリー説を採用すると、あのラストシーンのカウンセラーのイメージがあっての冒頭シーンカウンセラーの可能性とか考えられてぇ……これ妄想説支持ってことだから考える意味なくね?
最後にマレーと熱烈なハグをして終了
はじめの方のシーン。マレーのテレビを見て、回想シーンが如く客席に座っているアーサーのエピソードが始まる。
あれ、妄想なんだね。アーサーがコメディアン目指すきっかけのエピソードじゃねえのかよ。最後まで明かされないのヤバいでしょ。何が「初めて会ったとは思えない」だよ。初対面かどうか覚えてない人と会った時に言う予防線じゃん。
いやでも、もしかしたら本当にそうなのかな。アーサー自体、後半では自分が割と妄想癖のやべーやつっていう自覚ありそうだし、無くはないかも。
なあおい、これから殺そうとするやつにそんな予防線張るか?
ウェイン家とのつながり
アーサーママはウェイン家にしばしば援助要請の手紙を送っているそう。これもね、訳わかんないっす。
ウェイン家で働いていたのは本当?→それは本当。多分。ブルースパパからアーサーママは一応認識されてるっぽいし。やべーやつとして。やっぱり、やべーやつの息子はやべーやつなんだな! まずいぞ、優性思想だ!
アーサーがブルースパパの子供って本当?→これは嘘。多分。これ律儀に多分って書いてたら真偽判定するとき毎回書かないといけなくなるな。以降に断定っぽい文体があっても断定はしてません。最初に書いたようにアーサーが信頼できない語り手なので。
また話がブレてるので戻すと、病院のカルテみたいなやつに諸々病状とか罪状とかと一緒に養子縁組のやつが書かれてるんで実子じゃないとは思う。これを全部妄想だとすると、なんでアーサーごときが医療資料の詳細を知ってるん? って思っちゃうし。
あ、アーサー養子じゃん。やっぱ優性思想はナシナシ。これで一安心、人権派からは狙われません。
養子
これ。全く分からん。養子縁組、DV、ネグレクト、イカれ女。これらのキーワードが頭の中でぐるぐるしている。
なぁに? どういう状況? アーサーママはウェイン家で働いてて、けどブルースパパとは関係がなくて、別に男がいて、養子を受け入れる何らかの状況になって、その上で養子に虐待してたってこと? マジでわからん。
子供虐待するような家庭が養子とれるとは思えんし、実子が死んだから養子とったってのも考えにくいし、養子とってから荒んだってのも立証しようがないし、そもそもブルースパパが養子縁組してくれるくらいあのイカれ女に肩入れしてたとも思えんのよな。たまにめんどくせー要求してきて、しかも精神状態ヤバいからある程度受け入れてたってこと? 精神異常者を? 解雇もせずに? 解雇されておかしくなったのか? わからーん!
あの事務員さんがカルテ出し渋った理由もわからんし。血縁じゃないと手続きがめんどくさくなるとか? なんもわからん。 アーサー ようし かわいそう くらいの理解でいいのか?
出会い、なにをいわんやエレベーターデスマッチ
駆け込み乗車はお止めくださいってあのシーン。これは事実でしょう。部屋に不法侵入してきた成人男性相手に「お母さん呼んできましょうか?」なんて挑発できる女なら、エレベーターに乗りながら自分の頭を撃ち抜くジェスチャーなんて恥ずかしげもなくできますわ。そしてあのジェスチャーの意味が分からない。シーン的には「アーサーのユーモアを理解できそうな人大発見!」みたいな役割があるんだろうけど、原義が分からないよ。やっぱ銃社会怖えわ。時代は刀でしょ。
ストーキングミッション
出会って1日でストーカー。なんなら出会ったその瞬間に、アーサーはストーカーとして目覚めていたかもしれない。そんなストーカーRTA世界ランカーであるアーサーは、対象からストークを感づかれてしまうという失態を犯してしまう。
さて、これのどこまでが妄想なのか。当日の夜「お前の尾行、バレバレ」とやっぱり煽りに来た彼女は妄想だということになっている。しかしどこからが妄想なのかはわかっていない。
まあ、ストーキングはしてるでしょ。アーサーやべえやつだし。やべえやつはストーキングするから、さ。
でもストーキングには気づかれてそう。ってか普通に近所からやばいやつ認定は食らってるよね、アーサー。いやどうなんだろう。自室での日常シーンが分からんからな。でも自室では笑いの発作全く起きませんなんて都合のいい話はないだろうし、やっぱ認定されてると思う。
認定されているとしてエレベーターのあの対応見ると、まあ確かに惚れてもおかしくないかもしれん。俺を恐れない上にジョーク(?)までかましてくるんだから。おもしれ―女……。
解雇通知
ファイア! ファイア! バババババババ……
縁日によく売ってる、銃身が光って回って前後するタイプの銃のおもちゃが発する音声のモノマネを度々やるんですけど、全然受けないんですよね。それどころか伝わってるかどうかさえ怪しい。
いや、多分そもそもが面白くないんでしょうね。僕がこれまでにこのネタを披露した方々に謝辞を申し上げます。すみませんでした。
このシーンはマジでしょ。失業してくれなきゃ話始まんないよ。
ここでアーサーが銃を常に携帯してることが示される。カバンに入れておけば、この失業も、のちの殺人も、起きなかったかもしれないのにねぇ……。
3人を殺したのは
多分、ここが一番意見が割れているところだと思う。いやラストの方が割れてるのか?
なんて世論はどうでも良くて、列車の中の3人を殺したのは誰なのか。映像ではアーサーが蹴られてキレて3人を撃ち殺しているけれど、そのあとの彼女……あれ、名前なんだっけ。ってか作中で名前呼んでたか? まあ便宜上彼女と呼ぼう。
とにかく、彼女との甘い夜も結局は妄想だったらしいので、そもそもこの夜の出来事自体が信用できなくなってしまうのだ。それに、警察が追っているは「ピエロの『仮面』の男」。目撃者は少なくないあの現場で、仮面とメイクを見間違えるだろうか。
そして発砲の数。列車から駅までで8発くらい撃ってる。自宅で発砲した1発も含めれば確実に8発は超えるだろう。僕は拳銃に明るくないが、リボルバーの相場って5,6発じゃないのか。かのリボルバー・オセロットも「6発だ!」って言ってたし。でもあれシングルアクションアーミーとかいう骨董品だしな……。あの彫刻にはなんの戦略的優位性もないからなぁ……。今のリボルバーは8発とか余裕なのかな。JOKERの時代背景とかしっかり知ってたら考証もできるんだろうけど、生憎無知無知マンなので。
あとアーサー全然捕まらないじゃん。現代の捜査ほど科学は進歩してないだろうけどさ、メイクとはいえ素顔で、衆人環視とは行かんけどホームレスの目が少なくない橋の下とか走ってる妖しいピエロとか、追える要素多すぎ。の癖に全く逮捕されない。それどころか超手がかりチャンスの事情聴取でも「笑うのもピエロの役作り?ワラ」とか聞いてくるって、余裕か?
それに照準良すぎない? 初めて手にした銃で、初発砲でアレはやばいでしょ。殺しの天才。
これらの点から、3人を殺したのはアーサーではないと結論付けました。僕は。
この前の小児科のシーンでアーサーが常に銃を携帯している様子を描いて、カバンが放り投げられたけど、懐にあるから撃てるしな、って思考の運び方がうますぎる。
じゃあ誰が撃ったの、っていったら。作品中でたまにクローズアップされるピエロ仮面いたじゃん。あの妄想デート中に満面の笑みをくれてやったタクシー乗りのあいつとか、押送されるアーサーを解放(下手すりゃ現世から)したときのあいつとか。あとバッメァン…(ネイティヴ発音)の両親ぶっころしたあいつとか。
多分、彼らのうちの誰かがやったことだと思う。結論がふわふわ過ぎるって? まあちょっと待ってて下さいよ。あとでちゃんと書きますよその辺は!
追記(2021/09/29)
アーサーが拳銃バンバン撃ったあとに耳がキーン……って感じの音響になるの、漠然といいなぁって思ってたんだけど、よく考えたら「この映画の音声はアーサーが聞いたものですよ~」っていう主張だったんだな。
幸いなことにJOKERについて語り合う機会があったんだけど、彼は「この映画はすべてアーサーの脳内を映したものだ」って言ってて、確かにそうだなと思った。このシーンはその根拠にふさわしい。
やっぱり別人の意見を聞くの、面白いっすね。着眼点が全然違うもの。
コメディアン、(推定)初めてのショー、デート
会場はバカウケ、思い人もにっこり。最高の一日だったね。
遠征、ブルースとの出会い
なかなか変質者ムーブが板についてるぞ、アーサー。もう一押しだ。
これの真偽は正直どちらでもいいと思う。病院にまで行って調べようとする決心の論拠の補強と、服の色が似ているブルースとの対比で本当の子供なのかどうか悩ませるためにシーンに見える。
あと知らんおじさんに口の中触られたら抵抗したほうがいいと思うよ、幼き日のバットマン。
母危篤
これは本当っぽい。かーちゃんも精神やべーし、警官に詰め寄られたら脳卒中の一つや二つ起きるでしょ。一緒に見舞いに来てた彼女だけが妄想だったみたいだし、比較で信憑性が上がる。ただそれすらも監督の掌の上だったら。
だったら、特になんでもないかもね。
コメディアン、TV進出
やったー! 大衆からの笑いものとしてテレビ業界に進出したぞ!
映像を見る限り、テレビでも、あの会場でも、笑いなんて起こってなかったみたい。己を守るための幻聴だったんだ。彼女の笑みも、きっと。
ここでアーサーがガチギレして、マレー殺害へと踏み切るわけだけど、まあ、本当なんでしょう。正直あんな辺境っぽいハウスで誰が撮影してたの、とか、わざわざテレビで取り上げるほどの映像か、とか、突っ込みどころはいろいろある。そんなご都合主義を感じずにはいられないシーンの癖に、終盤のシーンの根幹になってるから難しいね。
ストーリーを面白くするためのしわ寄せが全部ここにきてる気がする。まあ創作物のリアリティはどこまで極めるか問題の分水嶺って感じなのかな。知らんけど。
潜入
アーサー、尾行然り潜入然り、諜報員の適正高くない? クソガッバガバな変装でも誰にも気づかれないのは才能だよ。
このシーンは「他人のことなんて誰も気にかけない」っていう終盤の主張の肉付けだと思う。みんなスマホの小さな液晶を覗き込んで、仮想世界にかかりっきりで、自分のことで精いっぱいなんだ。うわー! 現代社会への投げかけだー! 今の僕、頭いいこと言ってる雰囲気出てませんか? 出てませんか。そうですか。
ただねぇ~これ、最後顔面にワンパン食らって自宅のカットに移るでしょ。
これどっちなんだ~。実は潜入も全部妄想でした~ってアピールなのか、単純にカットの流れを良くするために構図を同じにしたのか。わっかんねっす。さすが一流の監督さんはやることがちげーぜ。****!
冷蔵庫
なんですか、これは。さっぱり意味が分からない。暑かったのかな。
でもこのあとのシーンで珍しく上着を着てるのを見ると、ああ、寒かったんだな、って思った。
テレビ局からのオファー
これもねぇ~。TV進出の時みたいな強制力を感じるけど、仕方ないね。かませとして出るにしても、ちょっとトントン拍子すぎる気がする。
でも面白いが正義だから。
アーカム州立病院
アーカムだ! 聞いたことあるバットマンワードだ!
ここでアーカムが州の名前だということを知りました。こんな奴がJOKER見ててええんか?
このシーンは前に書いた通り事実っぽい。ただカルテがどういうものか、僕も実物をまともに見たことがないので全部アーサーの考えた最強の診断書である可能性も無きにしも非ず。知識浅男の限界は近い。
ただね、正式な手続きがないと出せないものを腕づくで奪われて、誰も追ってきてないってどうなのよ、って感じはある。いくら犯罪者だらけの病院っつったって狂ったように全力疾走してる痩せぎすの男は怪しさ満点では?
あと意味深な7の数字。階の表示なんだろうけど、なんかありそうなんだけどわかんねえんだよな~!
そのあとのペニー問診風景にアーサーが入ってきてるのもさ、なんなんだこれ。大事なところの妄想かどうかの区別を付きにくくさせるんじゃないよ。
濡れ鼠の帰宅
彼女との関係性が明らかになるシーン。知らん男が部屋に入ってて、しかもソファに座ってるの怖すぎる。ソファべちょべちょなんですけど。
まぁこれは本当と思いたいね。でっもぉ、嫌なこと続きでアーサーの妄想癖がバッドトリップしちゃってる可能性もあるよね。実はこれまでの甘い記憶が本当だった、的な。小さい子供連れのシングルマザーが一人で彼氏とデート、さらにその母親の見舞いなんて行くかよ、クソが!
そんでアーサーの頭撃ち抜くジェスチャーに怯える彼女。普通部屋に押し入ってきた男が自害のメタファー始めたら怯えるけど、これエレベーター内での会話すら嘘だった、ってコト……!?
マジでやめてくれ。考える基盤がボドボドです。
母殺害、同僚もね
一応元同僚の二人がお悔やみ申し上げてきてるから、本当でしょ。ナースコールも押せてなかったっぽいし。ゴッサムの病院では、寝たきりの患者が気付いたら死んでるなんてこと日常茶飯事なんだろうな。怖すぎる。
でもあの写真ですよ、問題は。アーサーママと思しき写真の裏に奇麗だね、みたいなメッセージとTWのイニシャル。ウェイン家とは結構近い人だったのか? 精神病んでる奴を名家の近くに置いておくか? 精神異常が発覚したのは働いてる最中ってコト? 確証がないやつばっかり! まあ僕が見落としてるだけなんでしょうけどね。
そんで同僚殺害、小人は見逃し。これがさっぱりわからない。
アーサーが顔血だらけにしてラなんとかを殺して、小人逃がしてからアーサーが身なり整えるまで、それなりに時間必要だよね。顔の血落としたりさらに上から眉とか口紅塗ったり。その間に警察来るやろ、多分。
あれか? 逃がしてもらったから告発するのは憚られるとか思ったのか? それはそれでアリだけど、別にアーサーの交友関係そうなるほど親密じゃないんだよな。
いっつも上ってた階段を踊りながら降りるアーサーを見つけた警察二人もさ、なんか逃げ出したからとりあえず追いかけたって感じじゃん。殺人してるってわかってたらハナから猛ダッシュで取り押さえるでしょ。
しかしあのメイクでアーサーと分かった警察の存在にも疑問が残る。目ぇ良すぎか? わかんねーだろ普通。ただでさえピエロがファッションのムーブメントになってるんだから。
っつーわけでわかんねー。ただ階段を下りる時のカットがバチクソ奇麗。ってかJOKER全体的におしゃれなカットが多すぎる。どこ切っても画になってるの、すごいっすね。
逃走劇
あぁー、冒頭で追う側だったアーサーが追いかけられてますわ。しっかりアーサーが車に轢かれて(冒頭では轢かれかけてただけだけど)わかりやすくなってる。そんで集団からの暴力を受ける警察。わっかりやすーい! こういう終盤で序盤の構図をなぞるの大好き。オタクはみんな好きだよなぁ!
警官を巻くために満員電車の中で瞬時に乱闘を作り出すアーサーも好き。やっぱ機転効かないとカリスマにはなれんのか。見惚れる手腕ですわ。
楽屋入りピエロ
マレー殺す気でいるのに大ファンムーブかませるアーサー怖すぎ。でも彼の中ではマレーが大好きな自分も嫌いになった自分も本当なのかな。ダブルシンクや。
鏡に書いてあるメッセージは誰が書いたんだ? ああいうのが普通なの? 業界人じゃないからわからない。なにも、わからない。
そんでピストルを自分の顎に突きつける。度々出てくるこのジェスチャー、絶対意味あるはず。でも知らない。あれか? お前は一度死んで、新しい人間、オンブレヌエボになった、的な意味合いなのか? でもそれじゃストレートすぎて詰まんないし、この映画だと少し陳腐な気がする。
ここらへんで確かなのは、幕の裏側に立ってるアーサーの画がきれいすぎるってことだけだ。マジですき。変な動きしてるのもね。
スタジオ入りジョーカー
ここ、多分本当。だってカメラに撮られてるし。画質がクソのフィルターをわざわざかけてるんだから、本当であってほしい。ジョーカーが世界に中継されていると思いたい。
TV初出演の癖に全く怖気づかず堂々と振る舞うジョーカー。こいつは逸材だぁ……。
座り方も、ソファでこそなかったけど事前練習の通りだね。よかったよかった。
そしてネタ披露。しかし披露するネタは序盤思わせぶりに出てきた「硬貨な死を……」のやつではなく、警官が事故報告にくるというもの。この「息子さんが飲酒運転で轢かれました」ってネタも元ネタとか、向こうでのスラング的な意味があるのかもしれないけれど知らん。ただ、太字で書く程度には気に入っていたはずのcentのネタを見た時ジョーカーはクスリともせず、ノック、ノックの方は自分で笑っていた。
これジョーカーの精神状態の移り変わりを表してるのかな。硬貨の方は自虐ネタじゃん。TVに取り上げられた時のネタもそう。だけど今のジョーカーのユーモアに合致したのは見ず知らずの誰かの不幸。矢印が外側に向き始めた感じがする。薬を止めたからかもね。
ほんでジョーカーが自分の意見を吐き出し始め、討論番組になり始める。ここでマレーがちゃんと一般人の意見を述べてくれるところがいいね。普通だったら「なにこいつ……」ってなってまともに話し合いにならんだろうに。
そんなこんなでマレーは撃ち殺され、番組はNice Boat。ジョーカーの思想がどうとかはちょっと怖くて話せないけど、個人的には殺人後のジョーカーが足を貧乏ゆすりしているのが気になった。貧乏揺すりといえば冒頭のカウンセリングのシーン、ウェインが犯人をピエロ呼ばわりしたシーンが印象深い。けどこれらはアーサーがストレスを感じてる場面のはずで、ジョーカーがマレーを撃ち殺した直後ってのはストレスが減ったものだと思っていた僕の考えとは相反する。単純にタバコ吸ってないからかな、とも思ったけど今確かめたらウェインのニュース見ながらタバコ吸ってたわ。
対してアーサーが誰かを殺した(妄想の中であろうとも)あとって割と落ち着き払ってるんだよね。手が震えてるとか膝が笑ってるとか、そういう描写があんまりない。ちょっと息が荒くなってるくらい。踊るし。
だからこのマレー殺害シーンはなんかちぐはぐな感じがする。殺しに満足してないのかな。やっぱずっとファンだったしね。可愛さ余って的な? 僕は人殺したことないので気持ちは分かりません!!!
押送ジョーカー
テレビ中継されたマレー殺害を機に、世の恵まれない者たちは反旗を翻した!(何に?)
パトカーの中から燃えるゴッサムを見てジョーカーは笑う。炎って奇麗だもんね。
ってかよくスタジオまでパトカーたどり着けたな。警察とか不満の矛先とちゃうんけ。まあ結局救急車に突っ込まれるんですけど。
大破した車から救助されたジョーカーは血で象った笑みを讃えて、ゴッサムのシンボルになったのだった……。一方そのころバットマン両親は殺されてしまいましたとさ。めでたしめでたし。
ほんとさ、ゴッサム治安悪すぎでしょ。DCとほぼ関わりない生活をしてる僕の耳にも治安の話が入ってくるくらいには悪い。
あとピエロマスクの市場独占されすぎ。ほぼ一種しかないじゃん。マスク業界はウハウハでよかったな。
ただこのシーンはそこまで重要じゃない気がする。
精神病院で栄養食を食べる事になる
ブロント語が通じなくなってきて久しいね(インターネッツ老害)
はい、かなり論争が起こっているらしいこのシーン。これのせいで映画全編が妄想で片付けられてしまうってんだから驚いた。
まあ、確かにね。これまで語られていたストーリーは全部イカレ脚本家アーサーの妄想で、バットマンもジョーカーも存在しなかったのさ! ってEndも魅力的っちゃあ魅力的。アーサーのキャラ付けにも脚本家、とか小説家、とかのインテリ的な要素が入ってきてそれはそれで面白そうだし。
でもやっぱり、混沌とした都市が現実であってほしいですよね。
ということで僕のスタンスは妄想ではなかった説支持です。再三かな、これは。
ただしアーサー本人がジョーカーそのものか、っていうと少し違う。
改めて僕の解釈をまとめると、3人を殺してゴッサム底辺の下剋上風潮を作ったのはアーサーではない。しかしテレビに出て、お気持ち表明して、マレーを殺したのはアーサーである。こんな感じ。
多分、アーサーってのは不満を感じるゴッサムの可哀そうな一市民に過ぎなかった。それが「ピエロの殺人事件」っていう、割と自分と近そうな存在による犯行に当事者意識を持ってしまって、しかもテレビに出れると決まって あれ? 俺結構イケるんじゃね? となった結果、「大衆の目に見える形で表出したジョーカー像」の一面となったのだ、みたいな。
分かり辛えな。ざっくりいうと、ジョーカーってのは群体だったんだよ! って話。集合的無意識、とか難しめの単語も使ってみる。
色んなところにゴッサムの狂気は漏れ出ている。殺人だってそう珍しいことじゃないらしいし、集団暴行事件は息をするように起きてるし。
そんな極限環境微生物たちが大雑把な傾向を持ってしまったのがジョーカーというピエロの偶像で、要はみんなの心に少なからずジョーカーはいるんだよ、っていう半ば子供向けの寓話めいた教訓。
その中でたまたま人前に出ることができて、しかもそれなりにカリスマがあって、なおかつおしゃれだったのがアーサーだった、というそれだけの物語。扇動の看板として有用だったのがアーサーだったというだけ。
だからこれから現れるバットマンと戦うジョーカーもアーサーである必要はないし、これまでのジョーカーが色んな来歴を語って、色んな役者が演じて、でもそれら全員がちゃんとジョーカーなんだよ、っていう後乗せサクサクな辻褄合わせとも思える。
別にだから面白い、面白くないとかじゃない。普通に楽しめたし。DCとは無縁の僕が楽しめるんだからDC玄人による解説とか聞いてみたい。
ただ最後のカウンセリング後、廊下を歩いているジョーカーの足跡。あれなんなんすかね。カウンセラー蹴り殺した?
さすがに病院内で殺人起こしたら死刑では? ゴッサムの州って死刑制度無いの?
あれだけちょっとわだかまりなんだよな。あの後看守みたいなのに追っかけられてたし、あそこでアーサーの物語が終わりかねないから。
まあ病院サイドをこっち側に付けて再度混沌を齎す、みたいな展開を妄想してもいいんだけど。それはアーサーのジョーカーに求めるストーリーではないかな、みたいな。
アーサー・フレックの神経病
これ。ちょっと思ったことがあったんだけど、わざわざセクションつけるほどのことでもないし、でもどっかに挿入すると流れがおかしくなるし、ってことで最後にした。
アーサーは脳神経系の損傷で変な時に笑っちゃう、って説明がなされてる。確かにジョーカーと言ったら変な笑い方がトレードマークかな、っていうのは僕ですら持っているイメージだ。
でも劇中の時代的に、そんな診断下せるのかな、って思った。
脳神経系なんて今でもよくわかってなくて、特に人権が絡んでくる部分だから進歩も遅いだろうし。本当に神経のせいなんですか? アーサーがただ面白いと感じて、そう思ったから笑ってるんじゃないんですか?
実際母親を殺すシーンでこういう内容の独白をアーサーがしている。マレーと話してる時も。ユーモアが人とずれているっていう描写はくどいほどあったし。アーサーママも(あのシーンの信頼度は低いが)虐げられてるのにずっと笑ってるって言ってたし。
やっぱり生まれついての外道だったんだよなぁ! おい!
対象が自分であれ他人であれ、暴力だの破壊だのの混沌に面白さを感じるナチュラルボーンキチガイだったんだよなぁ!
それが後天的な怪我のせいでそうなっちゃいましたとか許さねえぞ。生まれついての悪(ただしそれは世間一般の目で判断されたもの)の方が悪役として魅力的に決まってるじゃねえか。頭打ったせいにしたらアーサーがただの被害者になっちまうだろ。いやそれはそれでいいか……。
とにかく、僕はここら辺の話聞いてずっと「言峰綺礼かぁ?」って思っていました。それだけのはなしでした。
あとがき
このあとがきを読んでいるということは、僕の文章に適合したコンマ数パーセントの特殊体質だった、ということですね。これだけレアな体質ならTウイルスに感染してもゾンビ化しないと思います。
だってこのこの時点で11000字超えてるんですよ。正直自分でも読み返せるか怪しいもんです。
まあ読み返さないんですけど。後悔するに決まってるんで。自他共に認める悪文。
ただこういう文章書いてる時が一番楽しい。楽しいというか楽。たまにタイピングしたい気分になるんですが、タイピングする内容が決まっていないことが多くて。そういう時にこんな文章を書けると非常に楽しいわけです。結局楽しいんじゃねえか。
まあ、あとがきに何かメッセージがあるわけでもないんですけど。振り返ってみると僕の記事は大体あとがきだの補遺だのがついているので、形式を絶やさないようにしてみただけです。
おつかれさまでした。
ここはどこだ