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『傲慢と善良』を読んで思い出した、猛アタックした彼と2ヶ月足らずでお別れした話

結婚が上手くいかない理由は『傲慢さと善良さ』にあるような気がします。

辻村深月さんの『傲慢と善良』を読みました。

駅前のマックにて🍔 🍟

今日はその感想について書いていきます🙌


ざっくりした内容

婚活する男女が結婚を決めるまでの葛藤を描いた作品です。
ジャンルとしては恐らく、恋愛小説になると思います。

「なると思う」という言い方をしているのは、
2人の恋愛の結末を見守る中で、
自分自身の内面について深く考えさせられる作品だから。

朝井リョウさんの書評書評には、こう書かれています。

この小説はヘビーなのである。
それは恋愛や婚活にまつわる紆余曲折が描かれているから、というよりも、
何か・誰かを"選ぶ"とき、私たちの身の回りに起きていることを
極限まで解像度を高めて描写することを主題としているからだ

『傲慢と善良』書評 496ページ

恋愛よりもむしろ、
人が大きな選択をする時に起こっている内面が大きなテーマになっています。


共存する「謙虚さ」と「自己愛」

一番印象に残ったのは、冒頭にもあるこのセリフです。

婚活支援を生業にしている、やり手の女将が言うセリフです。

結婚が上手くいかない理由は「傲慢さと善良さ」にあるような気がします。

一人一人が自分の価値観に重きを置きすぎていて傲慢
親のいいつけを守って善良に生きている人は"自分がない"。

傲慢さと善良さが矛盾なく同じ人の中に存在してしまう。

『傲慢と善良』134ページ

女将曰く、結婚相談に来る人たちは皆、
謙虚で自己評価が低い一方、自己愛はとても強いといいます。


周囲の人の言われるがまま"善良"でいれば、良くも悪くも大きな失敗はしないため、
間違えない自分への自己愛が募っていく。

結果、何かを選ぶタイミングで「不正解を選びたくない」という"傲慢"な考えになってしまうのです。


『自分はこんなもんじゃない』という自己愛から、
減点方式で評価するような考え方。

自分の中にもそういう無自覚の傲慢さがあることに気付かされ、
うっ、、、、となりながら読みました😂


ふと思い出した元カレのこと

この物語を読んでふと思い出したのは、
大学に入って初めてできた彼氏のことです。

彼はとても頭が良く、仮面浪人をして京都大学をめざしていました。

遊び呆けているサークル仲間を他所に、
京大合格のために暇を見つけては勉強をしている彼は、
とても知的でかっこよく見えました。


好きになるのに時間はかからず、私が猛烈にアタック!笑

サークル仲間のサポートもあって無事お付き合いがスタートしました。


でも、わずか2ヶ月後、気持ちが冷めて振ってしまったんです。


きっかけは、彼が京大受験を辞めたことでした。

有名な進学校に通っていた彼の周りには、
名だたる有名大学に進学した友達が多かったそうです。

周りと比べて劣等感を抱いていたけど、
自分の学歴コンプレックスに折り合いを付けられた

そう彼から聞きました。

私も、苦しい思考から解放されてよかったねと、
喜ばしく思っていました。


でも、彼が受験勉強を辞めてから、
急速に彼への気持ちが冷めていきました。

私は、彼のことが好きだったのではなく、
『なにかに打ち込んでいるかっこいい人』に憧れただけだったんです。


私は無意識な自己愛から、
『この人は私にふさわしくない』と判断して、
わずか2ヶ月で別れを切り出したんだろうなぁと思いました。

その時の私は、
相手のいいところを見ようとするよりむしろ、
選ばない理由を探すような、減点方式で相手を見るような考え方をしていたんだなと、
小説を読んで気づきました。


まとめ

小説の中に、自分の見たくない内面を見つけると、
グサッときてうっ、、、となります(語彙力)

でも、同時に安心したような気持ちにもなるんです。

自分が過去に経験した出来事の根本を、
解説して貰えているような感じ。
小説を通して過去を捉え直せる喜びを感じました。

こういう感情になれるから、小説って面白いんだなぁ〜と改めて感じられた1冊でした。


婚活をテーマにした作品ですが、
結婚を考えていない人や、既に結婚している人にもおすすめです。是非読んでみてください😊

<あとがき>
辻村深月さんの作品は初めてだったけれど本当に良かった!
書評の中で「身の回りに起きていることを極限まで解像度を高めて描写」するのが辻村さんの魅力だと書いてあったけれど本当にその通りだなぁ。
内容はもちろん、表現についてもとても勉強になる作品でした。

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