見出し画像

【動物園歌会ふたたび】短歌修行 いちにち一詠 #8

三十六日目


題「両」
両えくぼ欠けていく月満ちる月半分だけのほんの気遣い うーたん

題「月」
本棚に並ぶ詩集と哲学書きみと私が見る同じ月 ぽめ

 

三十七日目


題「戦争を止める方法」
戦争を止める方法 まずわたしそしてあなたと和解すること うーたん

題「牡蠣」
牡蠣殻に溜まった汁が美味しくて海に思想も教訓もない ぽめ

三十八日目


題「花火」
好きだってあとから気付く空が鳴るころにはスターマインの残像 うーたん

月光は花火の後の行き場ない煙をていねいに照らし出す ぽめ

三十九日目


題「パッチ」
浜に出て指ぱっちんをしようよと誘う爪 熱を持つ午後の砂 うーたん

題「ぱちぱち」
ポッピングシャワーの飴のばちばちに集中してて聴こえなかった ぽめ

四十日目


題「カステラ」
シンプルでいい。迷わない。カステラを手土産に立つ。終点渋谷 うーたん 

僕以外の皿に残ったカステラの紙僕の胃の中にある紙 ぽめ