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【雑記】けものみちは万里に通ず

 「おらんうーたんになりたい。」もしくは「おらゑもん」というアカウント名で、趣味活動の動物園・水族館訪問を発信するようになって、4年が過ぎた。

 4年というのは、本当に長い期間だ。小学6年生が高校に入学し、中学3年生が大学に進学するのと同じだけの期間。

 この4年間、私の趣味領域での関心は一貫して「霊長類を中心とした動物の社会」「社会の中の動物園・水族館」「文化としての動物園・水族館」に向いてきた。けれど、その中で同じことだけをぐるぐるとやってきた訳じゃない。

 動物園や水族館、そこで暮らしてきた生きものたちの歴史を知りたくて、大学時代以来久々に国立国会図書館に足を運んだ。様々な文献を渉猟しながら、既に書籍やレポートといった形で公にされていながらインターネットの海からは取りこぼされ、忘れ去られている事実があまりにも多いことを知った。

 自分の目で見なければ何事かを語ることはできないと感じ、遠い道のりを歩き、それまで訪れたこともなかった土地へ旅を繰り返した。動物園・水族館がなければ足を運ぶことはなかったであろう街もある。旅費節約のために高速バスも駆使して、路線網、交通手段の豊饒さに気付いた。

 霊長類や動物園の魅力をWebとはちがう仕方で形にしてよのなかに届けたくて、雑誌を私費でつくりはじめた。作品制作の進行管理や書誌編集・レイアウトのルールも、自分で手を動かして、はじめて身に付けた。色々な人から原稿を頂いたり、アドバイスを受けたり、「だれかと一緒になにかを創ること」の楽しさに触れた。

 「動物福祉」概念の普及、そして動植物の移動に対する国際的なリスク意識の高まりを背景に、動物園や水族館は今まさに変革の渦中にある。しかし、変革を阻むものがある。いったいそれは何だろうか。多くの動物園の「経営母体」である自治体の意思決定をつかさどる行政制度や規定、そして「予算」の仕組み――財務会計分野についてもっと学ばなくてはならないと感じた。

 まだ道半ばだ。理想を語ることはたやすい。けれど、社会の力学を踏まえたうえで未来像を描き出すとき、理想は夢物語から戦略に変わる。そう信じている。


 社会の荒波に揉まれて、こころの逃げ場を動物園に求めていたはずなのに、ずいぶん遠くまで来てしまった。でも、これでいい。ふたたびヒトの社会に立ち向かうための意志と気力を蓄えるまで、たくさんの動物たちから勇気と救いを貰ってきた。

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 思い出は尽きない。自分に何ができるか今は分からない。けれど、できる形で報いたい。彼らの生を「消費」するだけで、おしまいにしたくない。



 けものの道はすべての道に通じている。歩き続ける。これからも。