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私には要であり急だった句会、「東京マッハ」

大いなる嵌め殺し窓鳥雲に (堀本裕樹)

一昨日「東京マッハ」の句会をオンラインで久しぶりに楽しんだ。冒頭の句は、そのときの選句用紙を眺めて「嵌め殺し窓」が最初読めず、調べてしまったことをきっかけに想像がふくらんで、じんわりと心に残った句だ。

「東京マッハ」とは、数年前に友人に教えてもらったエンタメな句会だ。新宿の紀伊国屋で開催された東京マッハを観て以来、久しぶりの鑑賞だった。なんども「また行きたいなあ」と思いながら、都合がなかなか合わずそれきりになっていたので、今回「オンラインで東京マッハが数時間後に観られる!」と偶然Twitterで知って、あわてて参加方法を調べて視聴した。

自宅の環境だったりなんだりが色々あって、ちょっぴり電波の悪いラジオみたいに断片的な視聴になってしまったが、「うわあ、久しぶりだこの感じ・・・」と批評を聴きながらほくほくとしてしまった。たった17音の中で吟味された言葉遣い、助詞のちがいやら語順やら音感やら表記のこだわりやらをまじまじと捉えて、各々が膨らませた想像の世界を、あーだこーだと真剣に話している大人達の姿は最高だった。それぞれの人がイメージする「嵌め殺し窓」の大きさも形もちがうし、見えてる景色もちがう。もちろんそこに正解はない。その「ちがっている」というありさまを心の底から楽しんでいる、繊細な感受性が愛おしい。そうだ、私にはこういう時間が必要だったんだ。ひたすらに感受性を頼りに生きる時間が、どれほど私を潤してくれていたことか。
私には、「東京マッハ」が ”要” だったし、”急” だったのだ。

大いなる嵌め殺し窓鳥雲に

というわけで、せっかく描いたし、自分の抱いたイメージをここに残しておく。
正解のない句を絵にするのも憚られるけど。

大いなる嵌め殺し窓鳥雲に (堀本裕樹)

さて、明日は「緊急事態宣言」。


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2020/4/8 追記:
この絵をTwitterの海に漂わせたところ、堀本裕樹さんご本人のところに漂着してくれて、しかもとても喜んでくれた。伝わったという事実がとても嬉しかった。
自分のための記念碑的に載せておこう。
ああ、インターネットのある時代に生きててよかった。


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