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ヘンテコな営業スタイルで自転車屋を開業した理由

こちらの個人用アカウントではハジメマシテ。
広島県広島市での『動く自転車屋』を営んでいるノーリーです。
ご覧いただきありがとうございます。

ショップ情報はコチラです。

このページでは私自身の経歴や体験等も交えながら、独立開業に至った経緯等についてご紹介します。


■元々はかなりのクズ野郎

私は自転車を生業とするまでは、恥ずかしながら人様に胸を張れるような生き方はしていませんでした。
20年くらい昔の話です。
学生時代は親不孝を繰り返し、世間の皆様に多大なご迷惑をおかけしてしまいました。
特に一番ひどかったのは親のクルマを勝手に乗り回して180km/h以上で単独クラッシュ→クルマは全損。
ケガ人こそいませんでしたが、親にもすごく迷惑をかけてりまいました。
学校をサボっては改造スクーターで峠をひたすら走り込み、非合法のタイムトライアルや賭けレースに明け暮れる日々を過ごし、出席日数が足りずに留年確定→学校中退。
スピード違反を積み重ねた結果、自動車運転免許取り消し処分を受けました。

交通安全についてはほとんど考えもせず、売られた喧嘩は買うぜ(やられたらやり返す!)というスタイルで生きていたので、現代ならネットで晒されて炎上していたことでしょう。
リアルに暴力も振るったり振るわれたりで、今思えば恥ずかしい限りです。
他にもいろいろな人や団体にご迷惑をおかけしてしまい、きっと私を恨んでいる人もいらっしゃると思います。

たしかに人は簡単には変われません。
しかし、大きな出来事やきっかけがあれば人は変われるものだとも思います。
今となっては私自身、社会に対してもご迷惑をおかけしたことを猛省し、少しでも社会貢献したいなどと思うようになったので、人間って不思議なものです。
多少なりとも変われた(更正できた)理由は後述します。

■自転車との関わり

平成時代は丸ごと自転車とともに過ごしました。
幼少期から自転車に乗るようになり、初めて自転車に乗れた時の感動は今でも忘れられません。
一気に世界が広がったような気さえしました。

小学生だったころは友達の家に行くのも自転車、住まいが田舎だったので中学生になると通学も自転車でした。
自転車店が無いような寂れた町でもホームセンターはあって、そこの店員さんには無茶な乗り方を説教されながらもお世話になったものです。
怒られるのがイヤで自転車の使い方でウソをついてもバレてしまい、
「このオッサン、なんでわかったんだ!?」
と当時は友達同士でも話していましたが、プロになった今の私ならわかります。
自転車の使われ方の痕跡って残りがちですからね。

高校生になって途中から街乗り系のマウンテンバイクで通学するようになり、雨でも雪でも片道1時間を毎日継続しました。
バイトで疲れた後に坂を上って帰った通学路は、今では良い思い出です。
友達といろいろな所へサイクリングに行くようにもなりました。

大人になってからはエンジン付きの乗り物が楽しくなりましたが、それでも自転車はやめられません。
特に運転免許取り消しになってからは自転車のありがたみを再確認しました。

ある日たまたま、高校生の頃に乗っていたマウンテンバイクと同じシリーズのマウンテンバイクが売られているのを見つけてしまい、再び乗るようになったのが自転車にどんどんはまっていったきっかけです。
その結果なのか令和時代になった今でも、自転車には職業としても関わっています。

■経歴

最初はスポーツ用品も扱う大手チェーン店にて、スポーツタイプ自転車をメインに一般軽快車も販売・整備する部門でお世話になりました。
上司にもお客さんにも恵まれ、様々な経験をさせていただき、自転車安全整備士や自転車技士等の資格も取得できました。

とある自転車の個人店でもお世話になり、一般軽快車の基礎を学び直し、改めて別の大手チェーン店にて電動アシスト自転車についても学ばせていただきました。
それまで触ったことが無いカテゴリーの自転車も経験でき、知識や技術の幅が広がったのはありがたいことです。

そしてスポーツタイプ自転車の専門店にてハイエンドモデルと呼ばれるものも販売、組立・整備を経験させていただき、多くのことを勉強させていただきました。

私がかつて勤務していたショップ(スタッフ)さんとは、ありがたいことに今でも良好なお付き合いをさせていただいております。

■「は?チャリごときに整備士?」

こんなことを言われることもたまにあります。
自転車に『整備士』というと大袈裟に聞こえるのでしょうか?
ただ、実際に整備士の資格制度はあるし、実務経験が無いと試験を受けることすらできません。
わかりやすいので私の職業を尋ねられたら私は
「自転車の整備士です。」
と言うことが多いです。
整備士の資格が無くても自転車の整備はできますが、少なくとも整備士資格を持っていないとできないこともあります。
『職人』、『チューナー』、『メカニック』等々、呼び方が違っても想いは同じです。

他にも嫌な思いをしたこともありますが、良かったことはもっとたくさんあります。

例えばある日のこと。
当時私が勤めていたショップに、50代くらいの男性がボロボロの自転車を持ち込んできました。
物理的に修理は可能な状態です。
正直に見積もりを出してこうお伝えしました。

「現在も流通している部品が使えるので、物理的に修理は可能です。
しかし、お客様の時間やお金のことだけを考えると、どうやっても新車に買い換える方が安上がりで早いのでメリットは大きいです。
ただ、この自転車に特別な思い入れや事情があるのでしたら、お金と時間をかけてでも直してみる価値はあると思います。」

するとその男性はこのようにおっしゃいました。

「どこの店に持って行っても即買い換えしか言われなかった。
修理の選択を提案してもらったのは初めてです。
お金がかかっても時間がかかってもいいので、できれば修理したい。
これは私の身内の形見なので。」

と。
もちろん私が作業も担当させていただきました。
実際に修理作業に取りかかってみると想像以上に大変でしたが、仕上がってからお渡しの際にその男性から

「素晴らしい技術者に出会えてラッキーだったし、あなたにお願いして本当に良かった。
ありがとうございました。」

と言っていただけたのは私にとって嬉しい出来事でした。
自転車のユーザーさんの想いを、これまで培ってきた知識と経験と技術でカタチにすることで喜んでいただける。
整備士としてやってきて本当に良かったと思えたし、これからも続けたいと思いました。

■人生の転機

当時20代前半という若さで実の弟が交通事故で他界し、『安全な運転とは』とか『交通安全とは』とかを改めていろいろ考えさせられました。
また、私自身2度目となる自動車運転免許を取得するために通った自動車学校が、もはや更正施設のような場所でした。
今となっては教官の皆様には感謝の気持ちしかありません。
交通安全について考えると、おそらく多くの人にとって身近な乗り物だと思われる自転車の使われ方も無視できない問題だと気付きました。
自転車には強制力のある車検制度も無く、いつ壊れてもおかしくないような状態のものが平然と走行しているシーンを多々見かけます。
例えばある日突然ブレーキが壊れ、止まれなくて事故が起きる可能性はあるわけです。
それで運転している自分だけが犠牲になるならまだしも(それも良くないですが)、何の罪も無い他人を巻き込むリスクもあるのは野放しにできません。
そういうことも考えるようになりました。

■自転車(店)業界に対して私が感じた課題

時代の流れと言うしか無いのか、インターネット通販等でも自転車が買えるようになりました。
自転車と言ってもちゃんとした製品から粗悪品と言わざるを得ない製品が混在しています。
そして対面ではなく通販等で自転車を買ってしまった人に対する罰であるかのように、そういう自転車の面倒は見ないというショップはたくさんあります。
もちろん、車体の販売が一番儲かるし、よそで買われた車体の面倒は見たくないという理屈も理解できますが、どこで手に入れた自転車でもメンテナンスや修理等は絶対に必要です。
自分の愛車に無関心なユーザーさんは多いですが、中にはちゃんとお金を払ってでもプロに診てもらいたいというユーザーさんもいます。
できる知識も技術も道具もあるのに、困っているユーザーさんを追い返すというのは、そこのケアが不十分に思えました。

そして、自転車は昼間だけではなく夜間に使われることも当然ありますが、深夜に営業している自転車店を見たことがありません
それが当たり前なのかもしれませんが、深夜に営業している自転車店があっても良いのではないかなとも思います。
点検や修理に出したいけど、仕事が終わるころには自転車屋が閉まっている。
そういうお困りの声もたくさん耳にしてきました。

安い自転車には雑な仕事をするしかないのか、販売店として利益を出すためにはとにかくたくさん売らなければなりません。
たくさん売るためには効率を優先し、どんどん組み立ていく必要があります。
メーカーさんに言わせればそれでOKでしょうが、そもそもメーカーさんの組み立ては非常に雑な仕事である場合がほとんどで、よほど良心的な販売店(またはメカニック)じゃないと雑に組み立てられたままです。
それが良いのか悪いのかは一概には言えませんが、あと少し、ほんの少し手間を加えるだけで車体の寿命が圧倒的に長くなるのにな、と思うこともしばしばありました。
しかし、組立工賃が別途発生しない販売店ではどうしても限界があり、必要最低限の仕上げで終わることが多いです。
これは多くの自転車ユーザーさんに知られていない事実かもしれません。

■自分がやるべきこと

①アフターケア難民を救う

どんな自転車でもアフターケアは必要です。
車体価格が安かろうが高かろうが関係ありません。
私の店でできる範囲であれば、いろいろな事情でアフターケアに困っているユーザーさんの力になりたいです。
スポーツ類形車(いわゆるルック車)も自己責任ブランドと言われる【CANYON(キャニオン)】の自転車も承ります。

②プロの技術で長く使える自転車を提供する

『神は細部に宿る』というように、ユーザーさんには気づかれなくても細かい部分の積み重ねが、結果として車体の寿命に大きな影響を与えます。
そのことを私は経験としてもよく知っています。
ならば私はきちんと代価をいただき、自転車を長持ちさせる作業をすることでユーザーさんのトータルでの支出削減に貢献しようと考えました。
車体が長持ちすればユーザーさんの後々の出費も抑えられるし、捨てられる自転車を減らすこともできます。

③培ってきた経験や体験をベースに幅広くご提案する

自分自身が自転車の愛好家としてあらゆるパーツや用品を使ってきたからこそわかることがあります。
理論だけではない実体験をもとにした幅広いご提案が可能です。

また、そもそも自転車購入の時点で、悪いショップ(または担当者)に騙される前にユーザーさんを可能な限り救いたいし、自転車で後悔する人を減らしたいとも思います。
そのためにもメディアでの発信等、微力ながらもできることはいろいろありそうです。

■ヘンテコな営業スタイルで開業

深夜に営業している自転車店を見たことがあるという方はいますか?
もしそういうお店があるなら、ぜひ教えていただきたいです。
飲食店と違い、自転車店の深夜営業は採算が合わないのだと思います。
とは言うものの深夜だろうと早朝だろうと、自転車に乗るユーザーさんはいますよね。
そういう人達が困りにくいようにするために、予約制ではあるものの深夜でも早朝でも対応できる店があっても良いのではないかと思い立ちました。

既存の販売店のやり方が決して悪いわけではありません。
やむを得ない事情だってあります。
ただ、既存の店舗がカバーしきれない部分が多いというのもまた事実です。
そのカバーできない部分を私が担うことができればいいなという思いで、それを実現するためには自分で独立開業するしかありませんでした。

そしてできたコンセプトが完全予約制【自転車の便利屋】です。
『動く自転車屋』というとわかりやすいかもしれません。
小回りが利くことで柔軟にきめ細かいサービスを提供できます。
『今すぐに!』という対応はほとんどできないのが当店の弱みである反面、ユーザーさんと1対1のお付き合いができるのは強みです。

こんなヘンテコな店が存在することで、ユーザーさんは状況に応じてベストな選択をすることができ、その選択肢を増やすことができると確信しています。
例え当店の利益にならなくても、ユーザーさんにとってベストな選択ができるよう、可能な限りお手伝いさせていただくつもりです。

自転車業界全体が盛り上がることで、ユーザーさんがもっと安全に、もっと快適に、もっと楽しく自転車を利用できるようになるでしょう。
私のこの選択が自転車(業界)への恩返し、仕事を通じた社会貢献に繋がると信じています。

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