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ノルウェーのこと、知ってる?

ノルウェー在住の僕が日本人と話してよく思うことが一つある。それは、「日本とノルウェーってあまり接点がない」と思われていることだ。

ということで今回は、意外に知られていない「日本とノルウェーの接点」と「ノルウェーの豆知識」を紹介します!

一 国土と人口

北ヨーロッパのスカンジナビア半島に位置するノルウェー王国。国土は日本とほぼ変わらないが、人口は神奈川県より少ない500万人。首都のオスロの人口は70万人で静岡市と同じくらいです。

二 キリンビールの創設者はノルウェー人

日本の大手ビールメーカーの一社である「キリン」はなんとノルウェー人によって創設されました。創設者の名前はウィリアム コープランドです。   (本名 ヨハン・マルティニウス・トレーセン)

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コープランドは1834年にノルウェー南部の町アレンダールに産まれました。ノルウェーでビール醸造を5年間修業してからアメリカへ渡り、ウィリアム コープランドと名乗った彼は、1864年に来日しました。

来日してから二年後(1866年)、コープランドは横浜で牧場と運送業の経営を始めました。経営業資金を貯めたコープランドは、1869年に横浜の山手に土地を買い、翌年に個人経営のビール醸造所スプリングバレー・ブルワリーを設立しました。この醸造所は日本で初めて商業的に成功した醸造所でもあります。

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コープランドが設立したスプリングバレー・ブルワリーはその後、ジャパン・ブルワリーなどの変遷を経て、1907年に麒麟麦酒(キリンビール)として新発足しています。

コープランドは日本で初めて商業的に成功した醸造所を設立したため、日本のビール産業の始祖と呼ばれています。

キリンの「一番搾り」はノルウェーの一般的なスーパーでも最近販売されるようになりました。日本のビールでキリンだけが店頭に並べられているのはキリンの創設者がノルウェー人であることが関係しているかもしれませんね。

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三 サーモン寿司はノルウェー発祥

日本の回転寿司で定番ネタと言えばサーモン。今では普通に食べられているネタですが、実は昔から日本で食べられているネタではなく、比較的最近生まれたネタです。そして、この定番ネタの誕生に深く関わっていたのがノルウェーです。

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当時、日本の市場で主流だった太平洋の鮭は衛生的に生で食べられないとされていたため、日本ではサーモンは焼いて食べるのが普通でした。


そこに切り込んだのがノルウェー。サーモンの養殖栽培が盛んであったノルウェーは、衛生的に生で食べられるサーモンを栽培していました。ノルウェー産のサーモンを日本に多く輸出するため、ノルウェーは日本で生のサーモンを食べる食文化を作るため徹底的なプロモーションを行いました。このプロモーションが成功したおかげでサーモン寿司は日本で定番ネタになりました。

2012年に来日したノルウェーのストルテンベルグ首相は、プロモーションの一環で、自ら回転寿司店でサーモン寿司を振舞いました。

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定番ネタの誕生の裏にノルウェーが関わっていたとは驚きですよね。

四 アメリカ大陸を最初に発見したのはノルウェー人

アメリカ大陸を最初に発見した人物を聞かれると、出てくる名前はイタリア人の航海者クリストファー・コロンブス。歴史の教科書に1492年にコロンブスがアメリカ大陸を発見したと習ったと思いますが、これは間違えです。

実はコロンブスがアメリカ大陸を発見する約500年前の西暦1000年にノルウェーのヴァイキングのレイフ・エリクソンが北アメリカに上陸しています。

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ではなぜ、レイフ・エリクソンより500年後に上陸したコロンブスが「アメリカ大陸の発見者」として扱われているのでしょうか。

まず、レイフ・エリクソンがアメリカ大陸に初めて上陸した時、彼が新しい陸地に到達したという情報はヨーロッパ諸国で広く共有されませんでした。そして、当時のヴァイキングたちは定住化に失敗したため、植民地化もされませんでした。そもそも、当時のヴァイキングたちに「新大陸」という概念があったかは疑問です。

実は1800年代、アメリカ国内では「アメリカ大陸の発見者」をめぐって対立がありました。イタリア系米国人はイタリア人のコロンブスを推した一方、北欧にルーツを持つ人々はエリクソンを推していました。


「歴史は勝者が創る」と言われます。イタリア系米国人が早くからロビー活動を行い、「コロンブスがアメリカ大陸の発見者」と定着させました。また、コロンブスの方がヨーロッパ人の米大陸移住により大きな役割を果たしたとことも大きく関係しているかもしれません。

そもそも、エリクソンやコロンブスがアメリカ大陸を発見する前から、アメリカには先住民が住んでいました。そのため、エリクソンは「欧米人で初めてアメリカを発見した人物」と称えるのが正確でしょう。そして、コロンブスは「アメリカ大陸を地図上で初めて発見した欧米人」と言うのが一番正確でしょう。

五 驚き!ノルウェーの発明品

皆さんが日常生活で使ってい物の中にはノルウェー人によって発明された物がいくつかあります。

一番有名な発明品は殺虫剤などで使われることの多い「スプレー缶」。これはノルウェー人のエリック・ロトヘイムによって発明されたものです。1927年に特許を獲得してから、現在に至るまで様々な用途に使用される日常必需です。

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チーズを多く食べるノルウェー人。そんなチーズ好きなノルウェー人のために生まれた発明品が「チーズカッター」。日本であまり見たことのない面白い形をしたチーズカッターは、発明家のソー・ビョークルンによって1925年に発明されました。朝食や昼食のパンにスライスチーズをのせて食べるノルウェー人には欠かせないキッチン用品です。


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今では農業で欠かせない「化学肥料」も1903年にノルウェー人のクリスティアン・ビルケランドとサム・エイデによって発明されました。

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以上、意外に知られていない「日本とノルウェーの接点」と「ノルウェーの豆知識」でした!

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