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人気のおこっぺ有機ヨーグルト、季節で変わる原料乳や製造のお話し

こんにちは。ノースプレインファーム広報担当の松本です。

隣町のお手伝いしている牧場で子牛の体調をチェックしていたら、マスクを持っていかれそうになりました

ノースプレインファームのある北海道、おこっぺでは雪も解け、春の放牧に向けて少しずつ準備を始めています。

雪が解けたらすぐに放牧できるのでは?

と聞かれることがあるのですが、雪解け後の放牧地はまだ牧草が伸びておらず、鹿の角や木の枝などの除去や、電牧線の確認もしなくてはならないので、放牧は4月下旬頃からです。

放牧中の夏はとても気持ちよさそうにのびのび過ごしています(昨年の放牧写真)

そんな放牧を心待ちにしている乳牛たちから搾った有機生乳を使い、同じ敷地内にあるミルクプラントで新鮮なうちに加工している「おこっぺ有機ヨーグルト」。

ノースプレインファームの商品の中でも、常に販売数上位にランクインする人気商品。驚くほど滑らかな食感で酸味も少なく、お子さんも食べやすいという声も数多くいただいております。

どうやら、オーガニックのヨーグルトという商品が国内でも珍しく「有機ヨーグルト」と検索され「おこっぺ有機ヨーグルト」にたどり着き、ご購入される方も多いようです。

もちろん、お腹が弱く酸味が苦手な私も腸活のため日々愛用しています!

このヨーグルトを食べ始めてから不思議と私のお腹の調子が良いのは、気のせいではないと思います。

元気な牛から搾った生乳で作られた製品を食べると心も体も元気になれる…そんな気がするお年頃です

本日はそんな人気商品でもある「おこっぺ有機ヨーグルト」の原料乳や製造のことをお話したいと思います。


原料の有機生乳は敷地内にある牧場から

私たちの牧場の朝は早く、4時半すぎから搾乳が始まります。4時半って…すごく朝早いね!と、他業種の方から言われることもあるのですが、酪農業界だと一般的な時間です。お付き合いのあるパン屋さんはもっと早いです。

搾乳で使うミルカーを準備しています

毎日のことなので搾乳の準備を始めると牛たちは気づき、「搾乳の時間が来たかな」と、ゆっくりのそのそ立ち上がり始めます。

もちろん、それぞれの性格もありますので寝ながら搾乳の順番を待っているのんびりした牛もいます。

準備の音を聞いて、立ち上がる牛もいれば、寝たままの牛もいます

その時は無理に起こさず、順番が来た時に立ち上がってもらい搾乳を行います。

順番がくるまで座ってまってるね by牛

このときにも一頭一頭、念入りに体調のチェックもします。毎日、牛の状態を見ていると少しでも違うとすぐに分かります。つなぎ牛舎のよい面ですね。

牛は体調の変化が分かりやすい動物のため、(表情、呼吸、立ち上がり方など)何か変化を感じたら見逃さず、念入りに状態を確認します。

搾乳しながら牛の体調もチェックします

全体での搾乳時間は1時間30分ほど。搾乳を終えた牛たちはいっせいに放牧地へ移動します。

冬の間は、放牧地は雪で覆われてしまいますので、軽い運動と日光浴が出来る「パドック」と呼ばれる場所へ移動します。

冬はパドックへ
夏は放牧地へ

日照時間が短い冬でも、日光にあたると牛たちも気持ちよさそうです。牛に気持ちよく過ごしてもらうよう、日々の運動と日光浴はできるだけ欠かしません。

冬の朝 陽の光を浴びると気持ちよさそうな顔をします

搾乳は朝晩の1日2回。365日、毎日かかさず搾ります。夕方の搾乳は15時45分ごろから始まります。牛は暑さは苦手なので、夏の暑い日は昼間は牛舎で涼ませて夜に放牧することもあります。

夏場は涼しい夜間に放牧します

牛ができるだけ快適で健康に過ごしてもらうことで、おいしいミルクになると私たちは考えています。

牧場で搾った生乳は
同じ敷地内にあるミルクプラントへ

農場で搾った生乳はミルクプラントと呼ばれる乳製品工場へ運ばれていきます。

ミルクプラント

運ばれると言ってもミルクプラントと牧場の距離は50メートルほど。生乳を新鮮なうちに工場へ届けられるのも、私たちの製品のおいしさの理由です。

運ばれた生乳は、ひとまず貯乳タンクへ。牛舎でも使われるバルククーラーに移します。

約3000リットル入ります

ミルクプラントではいくつかの製品をつくっていますが、ヨーグルトの製造は、計量→予熱→ホモジナイズ→加温→殺菌保持→冷却→乳酸菌投入→発酵→冷却→充填→検品→有機格付→出荷…の主な工程を経て出来上がります。1日ではできあがりません。

ミルクプラントの中はこのようになっています

加糖タイプやのむヨーグルトは、加温の時に「北海道産の甜菜糖」を調合し、のむヨーグルトはより滑らに飲みやすくするため、発酵後にかきまぜて液状にする工程が加わります。

そして、ヨーグルトを作る工程の中でも「発酵、充填と、洗浄殺菌」の作業はおいしいヨーグルトをお届けするためにとても気を遣う作業になります。

おいしい有機ヨーグルトを作るためのポイント
発酵・充填・洗浄殺菌

発酵について

私たちの牧場で搾っている生乳は季節によって風味が変わります

青草を食べる夏の牛の牛乳は後味がすっきりとしたさわやかな味わいに、干し草を食べる冬の牛の牛乳はミルクの風味が増しほんのりとした甘みを楽しめます。

ちなみにこれらは、季節によって変わるえさや環境のため、脂肪の量や成分が変わることが大きな要因です。

食べる草の状態や飲む水の量によって生乳の脂肪分などがかわります

殺菌をするだけの牛乳や季節感を生かすチーズは、この自然な生乳の味わいを残す製法ですが、ヨーグルトはできるだけ年間を通して一定の味わいに収める努力をしています。

とはいっても、成分の調整はしませんので、発酵の温度や時間の管理、冷却や充填時の状態を観察してつくります。

とくに発酵の工程は、ちょっとした乳酸菌の量や温度の違いで変化しますので、気が抜けません。発酵時間もその状態によって変わりますので、酸度計などを使って確認します。もともとの生乳の甘さを生かして、発酵の酸味とのバランスを整えてつくっています。

理科の実験のようです

充填(じゅうてん)について

おこっぺ有機ヨーグルト」のパッケージは一般的なカップヨーグルトと違い少し珍しいアルミパウチです。

光を通しにくい、食べきりサイズのアルミパウチ

最近はこの容器を採用した食品も増えてきましたが、びん入りのヨーグルトからスタンドパウチ包装にリニューアルしたときは大変珍しがられました。

これは、当社でヨーグルトの製造を増やす計画のときに、びん充填だと発酵のための設備が必要になり、またカップ容器にするには新しい機械が必要になることから、当時のミルクプラント内でできることを考えて採用しました。扱いやすさと、ごみの少なさも考慮しています。

その後、容量やデザインを改良し、またできるだけ作りたての味をお届けしたいと考え、光による劣化を防ぐために、遮光性のあるアルミ素材に変更しています。

一般的なカップヨーグルトは、カップに入れたあとに発酵させる製法(後発酵)が多いのですが、私たちのヨーグルトはタンクの中で発酵(前発酵)させたヨーグルトをアルミパウチに充填していきます。

発酵中のヨーグルトは一定の温度に保たれますが、ちょうどよい発酵具合になったのを確認したら、タンクの中でじっくり時間をかけて冷やしていきます。

冷やすときに、タンクの中のヨーグルトをゆっくり攪拌(かくはん)します。強い攪拌はカードを壊しますし、ゆるすぎると冷え方が均一になりません。
製造現場では、牛乳が凝固した状態のことを「カード」と呼びます。水分はみなさんもご存知の「ホエイ」ですね。

タンクの中のヨーグルト

私たちのヨーグルトが滑らかな食感なのは、このように充填より先に醗酵させて、やさしく攪拌して冷やしたヨーグルトを、カードを壊しにくいポンプを通して充填しているからです。

充填後は出荷作業を行います。カップのヨーグルトも振動などでホエイが浸出しますが、アルミパウチの容器は外からの力を受けやすいので、出荷の時まで大切に扱います。

出荷の時まで大切に

洗浄殺菌について

ミルクプラントでは、毎回丁寧に洗浄殺菌を行っています。牛乳は栄養も水分も多い食品ですので、乳酸菌のような有益な微生物だけではなく、人体や商品に悪い影響のある微生物も繁殖しやすいのです。

ヨーグルトやチーズ、醗酵バターは乳酸菌の力を借りますが、他の製品には使いませんので、乳酸菌が残らないよう、ヨーグルトの製造が終わったら使った部屋や機械、道具をすべてキレイに洗浄し、殺菌します。

殺菌は、次に使う前にももう一度おこないます。
この繰り返しで、安全で安心な食品がつくられます。

安全で安心な食品を作るため、洗浄殺菌は細かいところまで徹底します

本日はヨーグルトの原料である生乳から製品になるまでの流れをご説明しましたが、いかがでしたでしょうか。

原料の生乳がどのような現場で作られているのか、初めて知った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

オーガニックの生乳を使った"滑らかな食感"と"優しい酸味"の「おこっぺ有機ヨーグルト」。ぜひ皆さまも味わってみてください。

オホーツクおこっぺ有機ヨーグルト(砂糖不使用)
オホーツクおこっぺ有機ヨーグルト(加糖)
オホーツクおこっぺ有機のむヨーグルト

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