46.地風升(ちふうしょう)~若芽の生長②
六十四卦の四十六番目、地風升の卦です。
爻辞はこちらです。
https://note.com/northmirise/n/n845b6c856029
主爻
成卦の主爻は初六、主卦の主爻は九二と六五です。初六の根から養分を受けた九二と六五が伸び栄えていくのです。
初六
允(まこと)に升る。大吉。
象に曰く、允に升る、大吉とは、上、志を合はするなり。
まことに見事に(上の陽爻と志を合わせて)進み昇る。大吉。
巽卦は地中の木であり、初六は根の部分、九二と九三は幹の部分です。初六は巽卦の主爻であり、巽順の徳をもって坤の地から養分を吸収し、見事なまでに高く成長していきます。比する九二を通じて六五と連絡し、大なる吉を得るのです。
九二
孚あり乃ち禴(やく)を用ふるに利し。咎无し。
象に曰く、九二の孚は、喜び有るなり。
孚あり、簡素なる祀りの如く(贅沢な供物によらず誠意を尽くした祀り)であればよろしい。咎はない。
心の中に真実なる喜びがあるので、贅沢や礼儀を尽くすことなくして六五と通じ合うことができます。
九三
虚邑(きょゆう)に升る。
象に曰く、虚邑に升るとは、疑ふ所无きなり。
無人の村に昇る(ので障害は何もない)。
虚邑は外卦の坤を指します。九三は陽剛に過ぎますが、猛進することを阻むものはありません。上六と応、六四と比、応援するもの多く、勢い盛んなるものです。
六四
王用つて岐山(きざん)に亨(きょう)す。吉にして咎无し。
象に曰く、王用つて岐山に亨すとは、順にして事(つか)ふるなり。
周の文王は岐山に登って(柔順なる心をもって)神霊を祀る。吉にして咎はない。
岐山は周の西方にある山、沢雷随の上六にも登場します。正位の陰爻にして志正しく、九三の如き猛進を一旦は差し控えるのです。
六五
貞にして吉。階に升る。
象に曰く、貞にして吉、階に升るとは、大いに志を得るなり。
正しい道を堅く守り通して吉。(大いに人望を得て)階段を一段ずつ昇るが如く漸次に昇る。
柔順なる天子。九二と応じ、昇り進むこと中道を得ております。
上六
冥(くら)くして升る。息(や)まざるの貞に利し。
象に曰く、冥くして升りて上に在り、消(しょう)して富まざるなり。
目を晦ませて昇る(ので前が見えない)。(心身消耗して富むことはなく)(止まぬ欲心を改め)止むことなき正しい道を回復すればよろしい。
進み昇ること窮まり、心が曖昧にして明らかなる智慧を持ちません。ただ進むばかりで止まることを知らないのです。冥の字は雷地豫の上六にもあります。
まとめ
内卦は地中の木、初六の根は九二・九三の幹と共に昇り進み、九二は中正なる心をもって昇ります。九三は勢い盛んに過ぎてこれを阻むものはありませんが、要注意です。
外卦のうち六四と六五はむやみ進み昇らず、柔順なる徳を発揮して心静かにゆっくりと昇ります。上六は蒙昧にして止まらざる小人です。
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