デザイナーの事業貢献を促進するために、「デザインチーム独自のOKR」を導入してみた話
こちらの記事は カケハシ Advent Calendar 2023 の 21日目の記事になります。
こんにちは。カケハシのサプライチェーン領域でUI/UXデザイナーをしている北岡です。
今回は、デザインチームが2023年上期にOKRによる目標管理に挑戦した理由やその軌跡をお伝えしようと思います。
なぜデザインチームがOKRを導入したか
サプライチェーン領域のデザイナーは昨年まで2名で、チームとして本格的な目標管理は実施していませんでした。しかしようやく3名となり(業務委託含む)、これから本格的にチームとして事業に貢献する準備をするために目標管理をはじめよう!と決めました。
カケハシは目標管理の手法として、全社的にOKRを採用しています。デザインチームも、そのKRの一部に参加しようと考えました。
しかし、事業目標から構成されたサプライチェーン領域のOKRの内容に対して、今のデザインチームの、組織の基盤を整備するための活動は、直接紐づけるには距離のあるものでした。
しかし、私たちは全社の目標の中でどうやって事業貢献するのかを表現していきたいという思いから、サプライチェーン領域のKRの1つに、デザインチームとしてのObjectiveを紐づける形でOKRを設定することにしました。
OKR策定のプロセス
OKRは以下のプロセスで策定を進めました。
チームのToBeの状態のドラフト(Objectives )
現状の課題ブレスト、Tobeとの差分をディスカッション
課題の分類と優先順位づけディスカッション(+voting)
ToBeを実現する幹であるKey resultsを決める
成果の達成度合いの計測方法を決める
達成のためのアクションプランとロードマップを引く
OKRで何を目指したか
Objective (通年): Musubi AI在庫管理のデザインチームから、事業部全体に貢献できるデザイン組織に成長している
私たちデザインチームは当時、社員2名+業務委託1名の3名体制の、AI在庫管理というプロダクト専任で動いていました。一方で事業部としては新規事業の他プロダクトもあり、今後はいろんなプロダクトを横断して、もっと広く貢献できるチームにしていきたい!という思いがありました。
これを通年のObjectiveとして採用し、この基盤ができている状態を上期の理想状態に設定しました。
Key Resultの軸
この理想状態にもっていくために特に課題となっていたのは、デザインデータのメンバーのオンボーディングなど、多くのものが属人性の高い状態であることを解決することをコミットKRにしようと考えました。
更にデザイナーの担当領域を更に広げるための施策や、プロダクト連携を強化することを野心的なKRとして、3つのKRを置くことにしました。
それぞれのKRとそのアクション
具体的な部分はぼかしている部分もありますが、以下のような内容を設定しました。
OKRには入れなかったこと
デザインチームの実際な業務は、向こう3ヶ月くらいでリリースされる機能のデザインが大半です。しかし、この短期的な作業を含む目標はOKRには入れず、一年後の組織のありたい状態に向けて進めたいことのみを入れました。
(これが後に自分たちの首を絞めることになるのですが、この判断は正しかったと思っています)
運用と計測
どうやって進めたか
たった3人のチームなのに盛り盛りのOKRを設定したので、アナログにガントチャート管理しました。通常の開発テーマのデザインと並行し、一部の工数をスクラムのSprintの中に組み込み進めていきました。
計測
KR1はオンボーディングプログラムやデザインデータのフォーマット作成、wikiなど、明確なアウトプットに重みづけをして完了状態で計測。
KR2は不確実性が高いため、プロセスの進捗で計測。
KR3には、アウトプットや発信回数などを指標として計測しました。
半年の取り組み結果
まず、いろんなプロダクトを横断して、もっと広く貢献できるチームにしていきたい!上期はその基盤を整える!の必達部分は達成できました。
必達KR:デザイン組織の強化(属人性排除)
下期現在、2つのプロダクトを兼務するメンバーがいる状態を作れたり、新規Joinメンバーの立ち上がりが劇的に早くなりました(当初の6ヶ月→3ヶ月の半分程度に。 ※但しこれはアジャイル開発プロセスのブラッシュアップなど他要因もあります)。
残り2つの野心的なOKRであるデザイン品質の向上、ブランドの全体最適については一部未完の項目もあり未達という形になりましたが、それぞれ下期につながる取り組みとなりました。
(ちなみにKR3に含めていた間に合わなかった発信の1つが、このOKR振り返り記事です。。上期の終わりに出す予定でしたが年末になってしまった・・・)
結果
やってみた感想
よかったこと
必達と野心的な指標が分かれていることで優先順位をぶらすことなく進められた!
OKRに入れるまでは中断しがちだった業務(ガイドライン整備とか負債解消とかそういうやつ)を、継続して取り組むことができた。
軸を明確にしたことで個々の活動が何につながるのかをよりイメージして取り組めた。
定期的なOKRレビューによる進捗管理により、経過や結果が可視化され、半年の変化をはっきりと認識できた。
デザインチームの活動を社内の別チームの人たちに知ってもらえた。(飲み会でもOKRレビューでデザインについて発表してた人ですよねって言ってもらえたのもとても嬉しかった)
デザインシステムの計画を立てるというのがなかなか時間をとれなくて難しかったが、HOWを変更し、叶えたかったゴールに到達できた。HOWを縛らず、生み出したい価値(開発ディレクターにならったアジャイルにおける「価値」をユーザーストーリーでするという話とつながった)でOKRを考えることが大事だとわかった。
改善したいこと
理想状態から逆算した結果、KRとアクションを多く置きすぎた。特に半年以上先を見据えた活動を通常業務優先の中入れ込むのは至難の業(わかってた)
何も無いよりは継続できたものが多かったが、通常業務を優先して後回しにしてしまうものも一定あった。
外部要因に影響を受けやすいテーマは、アウトプットが完成したけどお蔵入りしてしまったものがある(こういったテーマはOKRとして扱うことには向いていないという学びがあった)
知ってもらえる機会は得たものの、まだデザインの独自活動感が拭えなかった(これが下期の方針につながる)
今後もOKRを続けるのか
実は、上述の結果をふまえ、下期はデザインチームのOKRは設定しないという判断をしました。
それは、チームとしてのOKRの導入理由であった以下が上期の取り組みによって解決したためです!(拍手!)
特に、デザイン組織の強化(属人性排除)の部分が形になったことにより、以前よりもメンバーがフットワーク軽く動き回れるようになりました。
そこで下期は、事業部として策定されたプロダクトのOKRに直接、PdMや開発側と連携しながらデザイナーの活動も組み込むことにしました。
ただこれは今後ずっと全てこのやり方をすると決めたわけではなく、1つの実験として挑戦しています。
デザインチームの人数がもっと増えたときは、事業・組織それぞれの軸で目標管理できるように、またデザイン組織としてOKRの幹を持ちたいなと考えています。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!