多分それは間違ってるって話

可愛がっていた後輩から連絡が来た。

なんてことは無い。
我々のような精神病者に対する、理解のなさというハラスメントを受けたと悲しむ声だった。

精神病は「治る」ものじゃない。
どっちかって言うと、「治ってる」に「限りなく近い」病気が心の隅っこに、脳みその隅っこに居残りをし続ける。

治るなんて、ありえない。

医者だって「治りましたよ」なんて言わない。
「寛解しましたよ」という。

注釈:寛解とは
「病気の症状が一時的に軽くなったり,消えたりした状態です。このまま再発しないで,完全に治る可能性もあります。しかし,場合によっては再発する可能性もまだあるかもしれません。再発しないようによく様子を見ていただく必要があります。ですから,定期的に検査を受けたり,薬を飲んだりしてください」

https://www2.ninjal.ac.jp/byoin/teian/ruikeibetu/teiango/teiango-ruikei-a/kankai.html
より抜粋

ここにもある通り、精神病は治るもんではない。
限りなく普通には戻れるけど、Twitterでよく見る「不可逆な傷」って言うのが残る。
その傷がまた口を開けば再発。というふうになる。

我々はそんな精神病を抱えている訳だが、今回、後輩は「そんな病気が治るまでは職場へ来るな」というお達しが出たらしい。
(※詳しくは分からないし、伏せている部分もあるが)

先述の注釈、もう一度読んで欲しい
「治らない」って書いただろ?!

一生来んなってことか………………。
なんて、これは冗談だが。

でも、考えて欲しい。今、あなたは精神病を患っているだろうか?なくても、そうでも、一度考えて欲しい。

1.仕事に行きたくない時がある
2.誰とも会いたくない
3.できれば寝ていたい
4.まだ火曜日かあ。はやく土曜日にならないかな
5.なんであの人にはイライラするのかな

この項目、ひとつくらいは当てはまるでしょう。
まあ、当てはまるように書いてみたんですけどね。

精神病者だって、そうでない人だって、こういうことくらい思うでしょう。

元気な精神病者は本当に元気です。
いたって、普通です。患ってないあなたと何ら変わりはありませんし、むしろあなたより仕事ができるかもしれませんね。

でも、できない時はなんにも出来ませんよ。そういう事です。
「怠けか?」いいえ、そういう病気です。

「なんで元気ない時にゲームしてんの?」
楽しいからです。疲れてたら楽しい事したいでしょ?

「一日中寝てばっかり、日光も浴びないなんて」
日光浴びたら疲れちゃうんですよ。
寝てたら楽でしょ?窓から入る人目もないから心が休まります。

「筋肉だよ!筋肉つけな?!外出てさ!」
筋肉論者は巣に帰れ駄スレを立てるな。
外に出たら人目が苦しいです。日光もあるしね。
着替える気力も、人目に晒されるための服装を考える頭の中の余裕だってないです。

「せめてご飯食べたりお風呂に入ったり……」
無理です。疲れてるんで。
あなたもよっぽど疲れた日に「このまま寝たい…」なんて思いません?思いますよね?それの50倍疲れてるんですよ。

理解しなくていい。分からないだろうから。

だから、助けを求める前に、ちょっかいをかけに来ないでください。

元気な時にはなるべく普通に遊んでくれたら最高です。

無理に外に連れていかないでください。カーテンも閉めた方が身のためです。

憂鬱でも生きていていい空間があればいい。

だけど、拒絶されると本当にひとりぼっちなんだなって思うんで。やめてくださいね。

「治るまで来るな」なんて、論外です。

多分それは間違ってるって話。

「寛解までゆっくり一緒に行こうね。必要な時だけ、力を貸すから。」

多分、これが正解って話。

とりあえず、辛くなったら迷わず心療内科とか、精神科に行こうね。
主治医の先生が合わなかったら即チェンジしようね。
薬は合うまで探そうね。自分が辛くなっちゃうから。
きっといつか、寛解の時が来る。

酷いこと言う人はすぐに自分の周りからナイナイしちゃってさ、柔らかい空気に包まれて寝ちゃいなよ。
誰も君を咎めたりなんかしないよ。

きっと僕らがいなくても世界はそれなりに回っていくから、僕らはゆっくり生きて行こう。
映画館のエンドロールが始まったら上を見つめて涙を溜めるように、泣きたい日もあるけど。

僕らは一応生きていよう。

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