宵っ張り～僕が僕であるために

僕は、午前0時から午前2時の静寂の時間がとても好きです。

僕は毎日その時間を自身の沈黙とともに過ごします。

自由になれる、なにものにも縛られない空間がそこには生まれます。

ひとりで過ごすその空間は、世界の中心になります。

暖色のライトを1つか2つ点けて、薄暗い部屋の中でパソコンのモニターの前に毎日座っています。

夕食後、電子タバコを吸いながら、コーヒーを飲み始め、22時が過ぎたことに気が付くと、お酒を飲み始めます。

映画を観たり、動画を観たり、アニメを観たり、調べ事をしたり、文章を書いたりしています。ちょっとだけ将来の事を考えたり、日々起こりがちな事務作業をこなしたりします。

朝活に憧れが無い訳ではありませんが、今の僕にはこの時間の使い方が有意義であり、なにより心地がいいものです。

僕はその時間に自由の民と化します。

自分で自分に問いかけます。「今日は、どんな時間を過ごしたい？」

「ただゆっくり過ごしたい？」

「先送りにしていた作業をしたい？」

「好きな音楽を聴きたい？」

「新しい映画を観たい？」

「アニメの続きが観たい？」

「文章を書きたい？」

「夢がみたい？」

「自分が正しいと確認したい？」

「笑いたい？」

「泣きたい？」

勿論すんなり決まらない夜もあり、そんな日は、気の向くままに過ごします。

変わらないのは、22時を過ぎたら、お酒を飲み始めること。

いつかは飲みたくなくなる日が来る、飲まなくても大丈夫な日が来るという自覚を、心の片隅に置いて今宵も酔っ払います。

酔いが深まる度、ぐちゃぐちゃな色をした悩みや心配事が、徐々に透明に近い色に変化していきます。そして、静寂もまた広がります。

そして、寝る間際、最終的には透明さえも消えてしまいます。

「この時間を過ごすために生きているのではないか。」と考える事があります。

「この時間があるから生きることを続けているのではないか。」と考える時があります。

どんなに疲れていても、寝不足でも、0時前に寝てしまうことを勿体ないと感じてしまいます。

たまに、本当にたまに、調子が良くない時はその時間を過ごすことなく、体調に負け、自分の不甲斐なさを感じつつ、あきらめて寝てしまう事がありますが、その時の失望感は半端ではありません。

奥さんは、僕がいくら御託を並べても、「単なるアル中でしょ。」と笑いますが、僕にとってその御託は僕が僕であるために必要な理由です。

父親が現役で働いていた頃、夕食時にビール、焼酎、ワイン、夕食後にウイスキー、寝る前にブランデーを毎日欠かさず飲んでいたのに、ある日を境にぱったりとお酒を飲むことを止めたのを知っています。

なぜかは知りません。今現在も全く飲みませんが、なんとなくわかる気はしています。なので僕は僕のことを心配していません。

人生において、この時間に考えたことや決心したことが、後々大きな結果となったことを僕自身知っていますし、信じています。

だから僕はこの時間を大切に感じています。

明日もいつも通り8時に目覚ましが鳴り、僕の日常が変わらず始まります。