見出し画像

【和訳】 Ashs, The Longest Johnsより


この曲はThe Longest JohnsのYoutubeチャンネルから聴けるのですが、
動画は海に沈んだメッセージボトルの山にサーチライトが当たっている絵が続いています。

解釈

海に沈んだメッセージボトルの山は過去の記憶、失われたものを想起させ、そこにライトが当たっているのは誰かが見ている、あるいは思い出していることの比喩と解釈できます。
この曲自体が落ち着ける曲であることと、歌詞を加味するに…
私は亡くなった人物を思い出す歌だと解釈しました。

この曲は大部分が比喩で構成されているので、いろいろな解釈が存在するのですが…まあ、筆者の特権ということで私の解釈を載せておきます。

和訳:

さて和訳に移る前に、ひとつ言っておくことがあります。
英語の原文のほうがすごく絶妙で繊細な言い回しをしているので、
日本語訳でかなり崩れています。
もとのニュアンスがわかるように、歌詞の解釈を載せておきます。

おっと、もう一つ。大いに意訳を含みます。


[Verse 1]
Watch that old fire as it flickers and dies,
That once blessed the household and lit up our lives.
It shone for the friends and the clinking of glasses.
I'll tend to the flame, you can worship the ashes.

老いた火がゆらぎ、そして灯火が消えるのを目撃する。
それはかつて家族を、皆の人生をを明るく照らしていた。
友の人生を照らして、メガネを鳴らしていた。
私は炎の世話するから、好きなだけ遺灰と向き合うといい。

ここの歌詞は物語の始まりでもあり、歌の始まりでもあります。
最後の一節、you can worship the ashes.
これを直訳すると「あなたは灰を崇拝することができる」なのですが、

worshipの意味が、宗教的な意味が強い崇拝、礼拝なんです。

死んでしまった人を思い出す時、
いなくなって初めてわかる大切さを知り、想起し「worship」する。
そう解釈しました。
このニュアンスは日本語じゃ出せないですね。難しい。

[Verse 2]
Capture the wild things and bring them in line
And own what was never your right to confine.
The lives and the loves and the songs are what matters.
I'll tend to the flame, you can worship the ashes.

残された思い出を一列に並べて
捉えられなかったものに気づく。
人生と愛と歌こそが大切なものだ。
私は炎の世話するから、好きなだけ過去と向き合うといい。

ここ、直訳すると「野生のものを捕らえて一列に並べ、あなたが閉じ込める権利がなかったものを所有する」になるんですが、意味わかんないでしょ。

wild thingsってのは、野生って意外にも
「激しい、やばい、ワイルドでかっこいい」みたいな意味があるので、
これはverse1との対比で、昔の豊かで楽しい状態と、失ったあとの落差を
表現していると取れます。
以前の輝かしい思い出を忘れないように「Capture」して、時系列順に並べて思い返すんでしょうね。

そして、失ったあとに初めてわかるものをこそが
own what was never your right to confine.
「あなたが閉じ込める権利がなかったものを所有する」ということ。
そう、失ったいまなら、当時わからなかったものに気づけるから。

[Verse 3]
Do you feel heavy? Your eyes drop with grief.
Your spirit is wild and your suffering is brief.
So never you buckle and bend to the masses.
I'll tend to the flame, you can worship the ashes.

大丈夫か?あなたは悲しそうにうつむている。
あなたの魂は力強い。苦しみはすぐに去る。
だから決して怯まず、現実に屈しないように。
私は炎を育てる。あなたは灰を祀ることもできる

bend to the massesの部分、直訳だと「大衆に屈しないように」なんですが、これはまあ、悲しい時は誰かのさりげない一言でダメージを負いがちだから、負けないようにってことでしょうね。人に限らず心を抉られがちなので「現実」と訳しておきました。

[Verse 4]
Get round the fire with a glass of strong ale
And tell us a story from beyond the pale.
Bury some seeds and expect some strong branches.
I'll tend to the flame, you can worship the ashes.

強い酒を持って火を囲み
蒼白の彼方から物語を語ってくれ
種を植えて、強い枝が育つように願おう
私は炎を育てる。あなたは昔を思い起こす。

paleって単語は、病人に使う「顔面蒼白」みたいな意味で、
うまい言い回しだと感心した一方、日本語訳だと表現しきれなかった。
残念。

[Verse 5]
Now show me a man that can meet all his needs,
For what we need most now is unity's seed
A common old song for all creeds and all classes.
I'll tend to the flame; you can worship the ashes.
I'll tend to the flame...

さあ見せてくれ期待に応えられる姿を
今一番求められているのは、団結の種火だ
全ての信条や身分に共通する古い歌
私は炎を世話する。あなたは灰に祈りを捧げられる。
私は炎を世話するが…

亡くなったショックから立ち直るのを期待してるとも取れますね。
seedは普通に「種」なんですが、「種火」にしときました。
その方が雰囲気に合いそうだったので。

[Verse 6]
What will we do when the world it is ending,
And time it is halted for friend and for foe
Try to hold on to the time as it passes.
I'll tend to the flame; you can worship the ashes.

世界が終わるとき、私たちは何をするのだろう
友の時間が止まる時がいつか来る。そして敵にも
過ぎ去っていく時間を掴んでいよう
私は炎を世話する。あなたは灰に祈りを捧げられる。

世界の終わりとか、時間が止まるとかがどういう意味なのかは
読み手の方に解釈に任せておきます。

[Verse 7]
I'll tend to the flame; you can worship the ashes.
I'll tend to the flame; you can worship the ashes.

私は炎を世話する。あなたは灰に祈りを捧げられる。
私は炎を世話する。あなたは灰に祈りを捧げられる。

これで終わりですが…
Youtubeにコメントに、面白いものがあったので、日本語訳にして貼っておきます。
コメント1. 「ドイツ語に『伝統とは遺灰を崇拝することではなく、火を引き継ぐことだ』というようなことわざがありますが、この曲はそれを思い出させます」
*ちなみにこれはグスタフ・マーラーの名言らしいですね。

コメント2. 「私の解釈:私が息子に注いだ愛情と思いやりは、どこかに消えてしまいます。すべての物語、すべてのお風呂の時間、私が彼に注いだすべての愛が、彼を将来の彼に変えます。彼が世界に必要とされるような人物になれるよう、私は彼の炎を世話しています。決して簡単なことではありませんでしたが、常にそれだけの価値は十分にありました」

最後に

みなさんも自分なりの解釈をするために和訳してみてください
初見だと翻訳難易度バカ高いですけど、
このNOTEを見たならとっかかりができて簡単になると思うので。

ところで、この曲はイギリスの民謡スカボローフェアに似せられて作られているのですが、その民謡では昔の恋人へ向けてお互いにもう一回恋人になるなら〜 と言って不可能な要求をしてきます。
Ashsがスカボローフェアに似せているというのはつまり…


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?