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【対談】「大人」不在の旅が子どもを1000倍成長させるってことを話し合ってみた

みなさまの一人旅デビューはいつですか?

仕事柄、いろいろな子どもや中高生に会うのですが、早いうちに他の人がやらないような「旅」をしてきた子どもたちは自分の人生でやりたいことが明確かつ尋常ではない行動力が身についているように感じられます。

小学3年生に単身海外留学をさせたぶっ飛びお母さん・みんみんさんと18きっぷでたくさんの子どもたちと日本中を旅しまくるキタキタが「大人不在で旅をする魅力」について語りました。


お世話しすぎない人・キタくん。愛のある自由奔放な母みんみん

イベントはお互いの他己紹介から始まった。

みんみん:キタくんの 素晴らしいところは「お世話しすぎないところ」っていうのがうちの家族たちみんなの評価で、大体子供に対して、大人って甘やかすか過保護なのね。「トイレ行った?お腹空いてない?あれ持った?」みたいな。大体どこに行っても、子どもは子どもとして扱われるし、子ども自身もそれに甘えちゃうけど、キタくんはちゃんと大人として扱ってくれる。もちろん、本当に対等に接するから「なんで大人なのに自分を子どもとして扱ってくれないの!」と思うときもあるけど、子どもの魂的には心地いいみたいなんだよね。それでも、キタくんは子どもと同じ目線で本気で遊んでくれるのが最高なんだって。

キタキタ:ありがとうございます。僕からみたみんみんさんは「愛のある自由奔放な母」なイメージです。子どもが学校に行くかどうかも本当に子どもに決めさせている、というかそもそも子どもが学校に行きたい!って言ってからどの学校に通わせるかを探すくらいに本当に子どもに決めさせている。でも、それだけ自由にさせていても、県外どころか日本中から自分の子どもにあった学校を探してきて、そこに通わせてあげるような愛の深さだったり、子どもたちの食事に関してもかなり気を遣っているから、ただの放任主義とは違ってポイントでしっかり気を遣える愛のある放任主義なんだろうなぁという印象を持っています。

お世話しすぎないっていうところで僕らは気があったんじゃないかって思います。みんみんさんの子どもたちはみんなしっかり自立しているんですよ。しかも、「もう!お母さんちゃんとしてないんだから!」って言えるくらいに子どもたちと対等に話している。それがいいなぁって見てて思います。


子どもたちだけで旅をするメリット

みんみん:まあ、そんなお互いを褒め合う気持ち悪い時間は一旦終わりにして….(笑)

キタキタ:そうですね(笑)さっそく子どもたちだけで旅をするメリットについて話していきましょうか。みんみんさんの子どもたちはどんな旅をしていたんですか?

みんみん:1番上の娘(今年で25歳)が小学校からの寮生活を希望してて、まず片道3時間乗り換え2回の道を1人で通学することになったんですね。それまで、もう1人電車に乗るのはもちろん、親から離れたこともないっていう 子だったんだけど、それを彼女がどうしてもそこの学校にいきたいからって言って、それを1年やり通したんですよ。その後、やっぱり海外に行きたいって言って、2番目の娘が小2のときに2人でイギリスに行くことに。うちの最寄り駅でバイバイして子どもだけで行ってきたんっですよね。しかも2ヶ月。

キタキタ:それはすごい。

みんみん:もちろん、前の日は「私、海外行くの初めて!しかも 1人で行くなんて!」ってすごい大泣きしちゃってて。そもそもほとんどの子どもは海外に1人で行くっていうのはやってないことってのは黙ってたけど(笑)

だから、次の日に「やっぱり行かない!」って言われるのは覚悟してたけど、やっぱり「行く」ってなって、それで楽しく2ヶ月過ごして帰ってきたときにはもう自信満々よね。私はやり遂げたぞ!って感じで。

キタキタ:そういえば、似たようなことを一番下の息子さんも言ってましたね。奈良の山奥での過酷なサバイバルを2ヶ月やりきった後で。そういう意味で、親元離れて、自分たちだけでやりきったんだ!って子どもとしてはすごく自信がつくんでしょうね。

みんみん:それで「あ、これいいわ!」って思って、3番目と4番目の子には5歳か6歳くらいで一人旅に出させてたわね。メリットしかない!って思って。

キタキタ:ただ、1つに気になったのは子どもたちを1人でどこかに行かせるってのはだいたいの親御さんはやっていると思うんですよ。例えば、僕も小学生2年生?くらいのときにスキー教室とかに合宿で行ってたわけでですし。そういうところに出すのと、本当に1人で行かせるのって何が違うんですかね??

みんみん:やっぱり、お世話されない環境っていうのがいいんじゃないかって思う。だいたい、スキー教室とかって大人がつくったプログラムに沿ってやるじゃない?そういうのって、決まったスケジュールがあって、サポートしてくれる大人がいて、その大人たちが子どもたちに困らないようにサポートしますっていうのが当たり前。もちろん、ステップとしてそういうにはあってもいいんだけど、その次の段階で「自分で動かないと進まない」とか「予定外のことしか起こらない」っていうのがあると子どもたちは成長するのかなって。

キタキタ:なるほど…。そういえば、僕の企画する18きっぷ遠足とかって、その日の宿と終電以外全部予定決まってなくて、そもそも予想するものが一切ないってのがありますね(笑)平気で1日5時間くらい電車乗るんで、子どもから「まだ着かないの?」とかよく言われるんですけど、「ほんとそれ」としか返さない。そして、基本的に子供たちから「これやりたい!」って言われたら断らないので「じゃあ、3分だけ鬼ごっこやろうか!」って言ってギリギリまで遊んでみんなで泣きながら駅に向かってダッシュするとかって全然ある。

だいたい、なんでも困ったら大人が助けてくれるって思ってるからこそ、大人も一緒になって困ってたらもう覚悟決めるしかなくなるって感じで。

それがいいのか、うちの企画に来た子どもたち同士すごく仲良くなりやすいっていう特徴はありますね。

1分の自由時間の中で全力で楽しめるものを探したり、逃したら終わりっていう中でギリギリの勝負をするのがかなり楽しいようで、ある回で一番印象に残ったことを聞いたら7分観光(乗り換え時間7分の間に改札内にある観光スポットをすべて回ってその写真を撮るという遊び)と答えてくれていたくらいに自分でもどうなるかわからないことって楽しいみたいですね。

みんみん:それで遅刻すると(笑)

キタキタ:何回かありましたね(笑)子どもが絶対に必要なものを忘れてしまったり、集合時間にたどり着けなくて先に集まっている子にスマホを持たせて「絶対に電車から降りないように」と言って先に行かせて、後から遅れた子と特急や新幹線で追いかけて先回りして合流するなんて事件もありましたね。もちろん、そのときのタクシー代であったり、特急代はその子供に自腹で払ってもらうので、ちゃんと責任があるというのもポイント。叱る叱られるよりも、無理やり切り抜けていくから一緒にトラブルを乗り越えている感ありますしね。

みんみん:でも、それっていいよね。忘れ物しちゃったら本当にそれが取りにいきたいものなのか、それとも「まあいいや」で済むものかどうかってちゃんと気持ちがわかるっていうか。

人によって「安全」が違う。親の「安全」は遺伝する

みんみん:たぶん、予定にないってのがいいんだと思う。子どもって、基本的に親や大人の分かる世界にしかいられないじゃん?だからそれは安心と安全はあるけど成長はないのよね。でも、予定外のところに成長があって、それを親心が邪魔する。だから、親が関与できないような環境で「これくらいはやってくれるでしょう?」みたいな甘やかしから抜けられるんじゃないかなって。

キタキタ:逆に、僕が子どもたちを見てきた中で思うのは「親が自由な人であればあるほど、子どもがたくましくなる」ってことですよね。

親にとって子どもはやっぱり可愛いものですから、安全なところに置いておきたいっていうのは当たり前だと思うんですよ。でも、その「安全」というのが人によって異なるから、そこはかなり親の影響を受けてきますよね。

例えば、お友達の海外でバックパッカーをやっていた母がいる子は中学生のときにクラファンでお金集めて18きっぷで1人で東北一周をするなんてことをやってたし、名古屋から研究のために毎週夜行バスで東京に行くような友達の小4の息子さんは旅中に罰ゲームで全財産を失うことになった後で、ホテルの持って帰っていいものを片っ端から持って帰ってそれを道中で売り歩きながら最後に駅員さんに4円まけてもらって目的地に辿り着くなんてことやってましたしね。

もちろん、僕自身なにか企画をやるときに子どもたちの安全への配慮をしっかりするのですが、普通の人に比べて旅の経験が多い分、安全の基準がかなり違ってる。別の基準の安全の中で旅をさせるっていうのはめちゃめちゃ面白いと思うんですよね。

思い通りにならないからこそ「何か」が起こる


みんみん:さっきの話で言ったら、普通の親なら「お金足りなくなった!」ってなったら電車代出してあげるんだろうけど、あえてそこを「出さない」っていうのがよかったよね。

お金出してあげて安全に帰って来させることもできるけど、それって何か大事な体験を奪ってしまうことがあるよね。じゃないと、モノを売りながら電車賃を稼ぐなんて体験できなかっただろうしね(笑)

キタキタ:まさに「何かが起こる」ってやつですね。

みんみん:ところで、北くんは旅と旅行の違いってわかる?

キタキタ:「原っぱ」と「遊園地」だと思っています。旅は原っぱ。何もないけど、自分次第でどんな遊び方だってできる。旅行は遊園地。とっても楽しいけど、決まった遊び方しかできないって感じですかね。

みんみん:うんうん。うちの息子が面白いこと言っててね、親とは「旅行」しかできないって。楽しいことだけなのが旅行、楽しいこと以外もあるのが旅。旅行はあらかじめ全部決まってて、絶対に楽しいことがあるんだけど、逆に言えば楽しいことしかない。でも、旅って予想外なことがたくさん起こるからたくさんの成長がある。特に下の息子は小3のときに1人で北海道に1ヶ月旅をしてて、そこで人生が変わったって言ってたわ。

手ぶらでも旅はできちゃう

キタキタ:そういえば、去年一緒に下の息子さんと一緒に仙台まで行ってきましたよね。僕から18きっぷを買うために電車に乗ったらそのまま仙台に連れていかれちゃった回。

みんみん:あのときの話ね!北くんに旅代奢って!って言ったら断られたから、その代わりにいろいろお手伝いとかして片道分の切符代と宿代を奢ってもらったとかって。

あれ、その後の話も面白くて、当然切符受け取りに行くだけだと思って家を出てたから、着替えもないし、財布に全然お金も入ってなかったの。

その後、松島に行きたいから松島まで行ったんだけど、お昼ご飯食べてお金がなくなっちゃって、松島の入場料の100円が払えなかったみたいで。

自販機の前で待ち伏せして「電子マネーで100円払うから100円ください!」っていう手もあったけど、あえて道ゆく人にお願いして100円もらえないかを試してみたかったんだって。結果的に5人目とか6人目くらいでもらえたらしいよ。

で、その話を聞いたあとに道端でそうやって困っている人がいたら100円あげようって思っちゃった。

キタキタ:それ、いいですよね。困ったときにただ絶望するんじゃなくて、なんとかなるって自信がついたり。何よりもなんとかするってチャレンジの機会になったのもいいですよね。

みんみん:だから、今日の話聞いて新幹線の中でお菓子売っている子どもがいたら買ってあげようって思った(笑)

キタキタ:おもしろそうですね!


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編集後記

人生で初めての「旅」は大学2年生のときに東京から日光まで自転車で行って帰ってくるもの。そのときにも、いろいろなトラブルもあり、人に優しくしてもらえたりしたもので、そこに「生きてる」って感覚を見つけることができた。

かわいい子には旅させよ。旅をして、頼れる大人がいないから自分でなんとかするしかないときに、はじめて大人に近づけるのかもしれない。



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